表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いつまでも可愛くしてると思うなよ!
37/655

一番人気はあなたですか?③

 続いて、レオンによる抽選が行われ、トーナメントの組み合わせが決まった。結果は次の通りだ。


1回戦

 第1試合

 イクス・サーフィル   VS アムダート・ノーリス


 第2試合

 サリストゴン・ゼク  VS リデル・フォルテ

  

 第3試合

 ローヴァス・シェイド VS ナグリッシュ・アミル


 第4試合

 オルラット・ナッソウ VS グビル・グレッグ 


2回戦

 第1試合

 1回戦 第1試合勝者  VS ヒュー・ルーウィック

    

 第2試合

 1回戦 第2試合勝者 VS シリル・ラトセル


 第3試合

1回戦 第3試合勝者 VS ジラード・キヴェル


 第4試合

1回戦 第4試合勝者   VS ラドベルク・ウォルハン


 オレは2日後に行われる1回戦2試合目が出番だ。案の定、ヒューは4日後の2回戦からのシード枠だった。


 やはり、実績がある人は違うね。


 オレの相手は……サリストゴンって人か。え~と……あっ、あの人だ。ラドベルクには及ばないけど、かなりの巨体だ。いかにも怪力自慢って感じだ。

 ちょうど、向こうもこちらを探していたようで、偶然目が合う。オレに気がつくと、奴は大げさな身振りで嘆息し、周りに聞こえるような大声で嘆いた。


「おいおい、何でこの俺様が子どもの相手なんぞしなくちゃならんのだ!」


 こ、子ども……貧相で悪かったな!


「いつから神聖な武闘大会は子どものお遊戯会になったのやら」


 そう言うと大口を開けて馬鹿笑いした。


「全くだ」


 第1試合のアムダートも同調する。手練の元兵士だ。


「俺の相手も何で、こんな坊やなんだ」


 そう言われた相手に目を向ける。


 イクス・サーフィル……確かに闘う人間に見えない。はっきり言って、美少年、いや美青年?

 ひょろっと痩せていて、なよなよしている。男としては線の細い身体で、円らな目はどこか愛玩動物を連想させる頼りなさだ。


「今度の大会は、ラドベルクが出るっていうんで、いい試合を期待していたのに……がっかりだぜ」


 吐き捨てるように言う。


「も、申し訳ないです。ボ、ボクもそう思います」


 怒るどころか平謝りするイクスに、オレは目を疑った。


 大丈夫なの? 見るからに弱そうだけど……。


「弱い犬ほどよく吠えるというのは、本当のことのようだな」


 そのアムダートに対し、辛らつな言葉を投げ掛ける者がいた。


「なんだと!」


 赤くなって息巻くアムダートを尻目に、イクスに対しても


「青年よ、言いたいことが言えないような者に、ここにいる資格があるとは思えんな」


 立派な髭を蓄え、頭髪はきっちり揃え、身だしなみも完璧な紳士然とした男が二人を眺めていた。

 エントランド連合王国の高名な騎士、ローヴァス・シェイドだ。


 喰ってかかるアムダートを制するように別の声が掛かる。


「ローヴァス卿、大会中の私闘は禁じられてますよ。確か、出場停止になるはずですが……まぁ、私はその方が楽できて嬉しいですけどね」


 芝居がかった大げさな仕草で、にやにや笑う色男はナグリッシュ・アミル、ローヴァス騎士の一回戦の相手だ。


「それよりも、この殺伐としたこの場所に君のような美しい女性がいることに、私は神に感謝したいねぇ」と、オレにウィンクする。


 ……なんだ、こいつ。殴られたいのか?


 オレが睨みつけると、ますます嬉しそうに言葉を続ける。


「やあ、怒った顔も素敵だね。まさに男所帯に咲く一輪の花だ」


 文句を言ってやろうと身を乗り出すと、後ろから野太い声がする。


「あんた、あたしが女じゃないって言うんだね!」


 振り返ると、猪……もとい、女戦士がいた。


 短く刈った頭髪に平たく四角い顔、大柄で筋骨たくましい体躯。どこをとっても、女には見えない。胸も大きいというより、胸板が厚いって感じだ。

 女性闘士部門、準優秀者のシリル・ラトセルだ。


「いや、これは失礼。大きすぎて目に入らなかったよ。私が愛するのは人間の女性だけなんでね」


 いきなり長剣が唸りを上げて、ナグリッシュの顔横を抜けて、後ろの壁に突き刺さった。

 まさに女とは思えない怪力だ。


「あんた、試合中に必ず殺してやるから、楽しみにしとくんだね」


 ナグリッシュが蒼白な顔で固まってる。


 1回戦に勝ったら、この化け物……いや、シリルさんとの対戦になるのか。

ちょっと、腰が引けるかも。


 そんなことを思っていると、シリルは憎しみのこもった目でオレを睨みつけた後、待機所から出て行った。


 えっ、オレ、なんか悪いことした? なんで睨まれるんだ?


 オレが首をかしげていると、他の者はシリルに毒気を抜かれた感じで、会話が消えていた。


「それでは出場者の皆様、これより宿舎に移動します」


 係官の案内で、オレ達は大会期間中に寝泊りする闘技場に併設する宿泊施設に移動を始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=687025585&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ