決着……①
とりあえず、グビル団長の部下が戻ってくるまで昼食にすることとなった。
と言うのも、例の正午までに済ませなければならない手続きを優先したので、ネフィリカ達もまだ昼食をとっていなかったのだ。
運営所の近くに評判の店があるというので、ネフィリカ達と一緒に部屋を出ようとすると伯爵に呼び止められる。昼食を用意するのでオレに残って欲しいとのことだった。
けど、どんな美味しい料理だったとしても、堅物の伯爵と同席じゃ息が詰まりそうで、美味しさも半減するというものだ。
正直な話、ぜひともご遠慮したい申し出だった。でも、相手はここでの最高権力者である伯爵様で、オーリエのお父さんであるグビル団長からも頭を下げられると、さすがに無下に断ることはできなかった。
オレが残ることを了承すると、クレイはもとよりヒューも一緒に残ると言ってくれたが、ネフィリカをお願いできるのはヒューだけだからという説得と、ネフィリカ自身の白銀の騎士様のお話が聞きたいという要望に渋々納得し、部屋から退出していった。
ソフィアも口には出さないが、残りたそうに見えたが、あえて何も言わず、ネフィリカの先に立って案内を始めた。
そして、オレとクレイを残して皆が出て行くと、部屋にはオレ達と伯爵、それにグビル団長が残った。
「さて、わざわざ残ってもらったのは他でもない。君にいろいろと聞きたいことがあるのだ」
オレ達だけになったのを確認すると、伯爵は重々しく言った。
「え? さっきも、さんざん聞かれた気がするんだけど」
「ふむ、そうであったかな……まあよい。改めて尋ねたいことがあるのだ」
「はあ……」
何か面倒そうな予感がする。
昼食はまだ出てこないけど、仮に出てきたとしても美味しく食べられる自信がなかった。
「それで……まず聞きたかったのは、何故大会に出ようと考えを変えたのかだ。確かグビルから聞いた話では、すぐにカンディアを立つ予定であった筈だが?」
むむ、なかなか核心をつく質問だ。
ドゴスの存在に気付かなければクレイの思惑通り、早々と出発し今回の件にどっぷりはまる事もなかったかもしれない。
まあ、オレとしてはセンテネクワス動乱の真実を知ることができたし、曲がりなりにも心境の変化もあったりしたので、決して無駄ではなかったと思ってる。
「どうしたね、何か答えられぬ理由でもあるのか」
「いや、別にそんなことはないけど……。え~と、大会に出場したのはですね。いろいろ事情が絡みまして……出ざるを得ない状況だったんです」
答えられない理由はないと言いつつ、ふわっとしたオレの答えに伯爵の片眉がピクリとする。
いかん、また怒らせてしまう……。
「で、でも直接の理由はネフィリカの力になってやりたいと思ったからです」
これは本当のことだ。ドゴスのこともあったけれど、ネフィリカの窮状を救ってやりたかったのも事実なのだ。
「なるほど、義侠心によるものだとはわかる……けれど、君は私の武闘大会の真の目的を聞いていた筈だ。君達のような外部の人間が手伝うことで、本来の企図を損なうとは思わなかったのかね」
それは大いに思ったけど、大会規定上はセーフだったし、ロスラムに売られた喧嘩から逃げるのも癪だったというのが本音だ。
全てはオレの我がままのせいだから、申し開きのしようもなく、オレは素直に謝ることにした。
「ごめん、伯爵。そう思わないでもなかったけど、自分のわがままを優先してしまったんだ」
「それは違う、リデル。全てを許した保護者である俺の責任だ」
横にいたクレイが発言の許可も得ず、オレを擁護する。
伯爵はチラリとクレイを見るが、咎めだてはしなかった。
「ふむ、それについて別に処罰しようなどとは考えておらぬから安心したまえ。それにしても、本当に君等は仲が良いのだな」
伯爵の口から指摘されると何とも面映い気分だ。
「それでは、次の質問に移ろう」
伯爵の質問は続く。
「君達は、この後いったいどうするつもりなのか教えて欲しい」
伯爵の質問の意味がわからず、オレが怪訝な顔をしていると、伯爵は補足を加える。
「このまま勝ち進めば優勝も考えられるだろう。私としてはかなり高い確率でそうなると思っている。さて、仮にこのままの勢いで優勝したとしよう。リデル殿、君はアルサノーク傭兵団に残るつもりかね」
「いや、最初にネフィリカと約束したけど、団員でいるのは大会期間中だけなんだ。大会が終わったらカンディアを出立するつもりだよ」
「私もネフィリカからそう聞いた。だが、リデル殿。果たしてそれで良いと思うかね?」
「どういう意味?」
「アルサノーク傭兵団が今大会に出場したのは、上位入賞を果たし解散寸前の団を再興するためであったな」
「……そうだけど。上位入賞で団の武名を高めたら新規の団員を募集する予定になってる」
「ふむ、しかしだな。もし、優勝などすればスポンサーも新入団員も当然、お前達込みのアルサノーク傭兵団を考えて募集に応じるだろうな。それなのに、アルサノーク躍進の原動力であるお前達がいないと分かれば、どうなるであろうか」
「そ、それは……」
最初から危惧していたことだと言っていい。
とにかく当初は、大会に出場することだけを最優先にしたので、大会後の団についてのことはあまり深く考えていなかったのも事実だ。
けど、そうした懸念は大会が終わった後に当然想定される事態であり、放っておくべき問題ではなかった。伯爵に指摘されるまでもなく、わかっていながらずっと棚に上げて考えないようにしてきたとも言える。
オレが口ごもると伯爵は残念そうな表情を見せ、
「そうした状況で、団を抜けて旅立つのは、いささか無責任に過ぎるというものではないかね?」
あまりの正論にオレが答えられないでいると、またも横合いからクレイが口を挟んだ。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
私はすっかり暑さにやられ、ぐったりしてます。
すでに夏バテ状態です。
お互いに気をつけましょうね。
……どこかに才能、落ちてないですかねぇ。
それか、時間貯金箱w
無駄な時間を5分づつ貯金して、後でまとまった時間が使えるってアイテム。
いつも、才能と時間に不自由してますw




