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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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陰謀……③

「悪いが、そいつは聞けない相談だ」


 クレイは断固とした表情で拒絶する。


「何でだよ。昔話ならオレにだって出来るし……」


「さっきも言ったが、危険を伴うのは事実だ。そんなところへお前を連れて行けるわけないじゃないか。第一、昔話って言っても今のお前をどう説明するんだ」


 クレイはネフィリカ達がいることを気にしながら、男から女に変わった事実をぼかして言う。


「それは……そうだけど。でも、クレイが危険と感じてるなら、ますます一人では行かせられないよ。オレはお前の相棒だ。お前の背中はオレが絶対守る」


「…………」


 オレの真剣な瞳で見つめられたクレイは黙ってオレを見返す。


 見詰め合うというより、睨み合うという状態がしばらく続いたあと、クレイは長く深いため息を一つ付いた。


「……わかった。連れて行ってやる」


「やった!」


「その代わり、もしもの時は俺を置いて逃げろ。それが約束できなけりゃ連れて行くわけにはいかん」


「え?」


「お前一人なら、脱出は可能だろう。だから、この約束が出来なければ同行は認めない」


「クレイ……」


 どうやら意思は固そうだ。約束しないと交渉は決裂しそうだ。


「わかった、約束する」


 約束しても、そんな状況に陥らなければいい。何があってもクレイを守って見せるさ。


「確かに約束したぞ」


 クレイは疑い深げにオレを見たけど、安心させるように大きく頷いて見せた。


「それじゃあ、キース。あんたにはネフィリカ達の護衛を頼む。ソフィアは俺達のサポートに回ってくれ。俺とリデルはドゴスに会ってくる」


「クレイさん、私も一緒に…………いえ、わかりました」


 ネフィリカは心配そうに何か言いかけたけど、クレイの指示に従うことにしたようだ。



◇◆◇◆◇



「しばらく、こちらにてお待ちください」


 オレ達はドゴスの屋敷の使用人に案内されて、応接室へと入った。

 立派な部屋で、ロスラム傭兵団の財政状況が垣間見える。アルサノークとは雲泥の差だ。


 

 訪問の約束も取らず、しかも宵の口も過ぎた時間に突然、押しかけて会ってくれる可能性は低いと思いつつもオレ達はドゴスの屋敷を訪れた。

 明日も一日空いているので、日を改めるという手もあったが、少しでも可能性があるなら、早めに対応したかったのだ。


 そして、予想に反してドゴスの屋敷は快く受け入れてくれた。

 何でも、主人のドゴスから近々、古い知り合いが訪れるので、その場合には丁重にもてなすように指示されていたとのことだ。

 手回しがいいというか、歓迎され過ぎているきらいを感じ、ほんの少し警戒感が芽生える。


 けど、クレイは全く気にならないようで、部屋の調度品を品定めし、しきりに感心していた。


「なあ、クレイ。通されてから言うのもなんだけど、ドゴスの奴、よく会ってくれるよな。もしかしたら、オレ達を罠に嵌めようとしてるんじゃ……」


「本当に心配性な奴だな。安心しろ、ここに詰めている護衛が束になってかかって来ても、お前一人に敵わないだろうさ」


 クレイが俺を安心させようと笑って見せるが、オレの緊張はほぐれない。


 そうこうしている内に、先ほどの使用人が戻って来て、湯茶の仕度を始める。


あるじがすぐに参りますので、今しばらくお待ちを」


 オレ達に恭しく給仕したあと、使用人はそう言って頭を下げて退出して行った。


 豪胆なクレイも、さすがに出されたお茶には口をつけない。

 オレも当然のごとく同じ行動を取る。

 ここは敵地だ。一瞬の油断が命取りになりかねない。


 カップは静かに湯気を湛え、清々しい茶葉の香りがやんわりと部屋に広がる中、オレとクレイは黙ったまま、じっと待った。

 幾らも経たない内に再びノックがされ、さきほどの使用人が入室して来て告げる。


「お待たせしました。あるじが参りました」


 その言葉どおり、続いてドゴスが部屋に入ってくる。


「お待たせしてしまったようだね」


「いや、こちらこそ夜遅く突然押しかけて申し訳ない。良かったのか?」


「ちょうど団の本部から帰ってきたところだから、かまわないさ」


 ドゴスは少し疲れた様子だったが、オレ達には笑顔を見せようと努力しているようだ。


 相変わらずの悪人顔で、笑うと返って不気味さが増す。

 昔からドゴスの顔って、馴染めないというか、ちょっと苦手だった。


 べ、別に怖いとかそんなんじゃないけど……近づきたいとは思わなかった。


「おや、クレイ君だけじゃなく、お嬢さんも来てくれたのか。喜んで歓迎するよ、狭いところだが、くつろいでいってくれたまえ」


 狭い……とは、とても言えない広さだと思うし、くつろげる雰囲気とはとても言えない。


「しかし、クレイ君。彼女を連れて来て良かったのかね? 昔話ばかりすると話に入れなくて退屈するのではないだろうか」


「いや、こいつは常に俺の傍に居たいんだそうだ。黙って聞いているだけだから気にしないでくれ」


 クレイの言葉にドゴスはニヤニヤする。


「おやおや、それはご馳走様。幸せそうで何よりだね」


 惚気を聞いて苦笑しているだけなのかもしれないが、オレからすると何か企んでいるように見えてしまう。


「ところで、君達は夕食は済ませてきたのかね」


「ああ、だからお構いなく」


「そうかね……それじゃ何か飲み物でも……」


「それも気にしないでくれ」


 ドゴスの提案をクレイがやんわりと拒絶する。


短めですみません。


3連休も仕事だった上に、体調がまた下降気味なのです。

今は、とても倒れているわけにはいかない状況なので、とにかく頑張ります!


皆さんも気をつけてくださいね。

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