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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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陰謀……①

「今日はお疲れ様でした。明後日は、いよいよロスラム傭兵団との対決です。このままの勢いで、あっさり倒してしまいましょう!」


 ネフィリカの言葉を皮切りに、オレ達は祝杯を酌み交わす。

 いつものごとく、例の宿屋の酒場で祝勝&反省会を行っているところだ。


 結局、オレはあの後、もしかしたら、5対1でも勝っちまうんじゃないか――という巷の風評をあっけなく事実に変えてしまった。

 実際、『イオソルツ傭兵団』が『ラチュロウ傭兵団』より手練れ揃いでは無かった上に、オレの出現に動揺して連携が上手く機能しなかったことが彼らの敗因と言えるだろう。

 兎にも角にも、結果的に多くの屈強な傭兵達を少女のようなオレが軒並み倒しまくったため、現在のオレの人気は天井知らずの様相だ。


 なので、『アルサノーク傭兵団』と行動を共にしている時は、変装用の仮面が手放せなくなってしまった。今も大勢のギャラリーが『桃色の口付け亭』に詰めかけ、オレ達の周囲を取り囲んでいる状況だ。


「前回に引き続いて前衛だったが、やっぱり何もしてない気がする。誰かが活躍し過ぎなんじゃないか?」


 ガイウスが憮然とした表情で、ぶつくさ言う。


 それに関して、オレに文句を言われても、正直困る。

 オレの前に敵がわんさか現れたのは偶然の産物で、決してオレが意図したものじゃない。


「運が良かっただけさ」


「運も実力の内ですよ!」


 オレが苦笑いしながら謙遜すると、ネフィリカはキラキラした目を近づけ、即座に否定する。


「え?」


「リデルさんは最高です! かっこ良すぎです…………」


 ネ、ネフィリカ……近い、顔が近いよ。いったい、どうした? ってか顔が赤いぞ。


「凄すぎです…………ああ、もうたまりません」


 テンションが上がりすぎたネフィリカが興奮のあまり、オレにひしっと抱きつくと、ギャラリーから「おお――っ!」どよめきが洩れる。


 何だ、これ?



「悪い、俺が飲もうとした酒を間違って一気に飲んじまったみたいだ」


 早くも酔いの回ったネフィリカをオレが持て余し気味にしていると、クレイが言葉だけは申し訳無さそうに言った。


 殊勝な物言いだけど、顔がにやけているので決して謝っているようには見えない。


「大丈夫なのか? これ」


 クレイの飲む酒なら、かなり強い酒に決まっているので、オレの胸に顔をうずめ「しゃーわせですう」と口走るネフィリカを心配そうに眺める。


「明日の朝の体調は保証しないが、死にはしないだろう」


 準決勝は一日空けて行うので、確かに明日は試合はないけど。


「まあ、たまには良いさ。これまでずっと、緊張を強いられていたんだから、何かも忘れて酔っ払うのも、ちょうど良いストレスの発散になるだろう」


 クレイの言い分もわかるけど、明日の朝のネフィリカを思うと気の毒になる。


「良く効く二日酔いの薬を持っていますので、明日ネフィリカに差し上げますね」


 悪酔いしているのを見たことの無いヒューが心配げに言ってくれる。


 ヒューでも二日酔いに苦しむことがあるんだろうか? いつも爽やかなイメージでどんよりした姿が思い浮かばないけど。


 って、それよりヒュー、何で普通に顔を晒してんだ?

 ヒューは有名人で顔が知られているから、あの恥ずかしい被り物をしてた筈なのに……。


 今のヒューは素顔を晒して優雅に酒を楽しんでいる。


「ちょっと、ヒュー。顔、大丈夫なの?」


「顔? いつもこんな顔ですが」


「そうじゃなくて、隠さなくて平気なの?」


「ああ、そのことですか。先ほども何人かが『もしかしてヒュー・ルーウイック殿では』と聞いてきましたが、『他人の空似ですよ』ときっぱり否定したら、すごすご帰っていきました。開き直ると意外に何とかなるもんです」


 ヒューはそう言うけど、本当に大丈夫だろうか。なんか、さらに悪い方向に噂が進みそうな気が……。


 オレが不安を感じながら、ネフィリカの頭を撫でてあげていると、外に出ていたソフィアが宿屋に入ってくるのが見えた。音もなく忍び寄り、クレイに耳打ちするソフィアはいつもに比べて、いくぶん焦っているように思えた。


 何か、あったんだろうか。


 オレが気にして見ていると、クレイは突然立ち上がってオレやネフィリカに声をかける。


「ちょっと、みんな聞いてくれ。火急な案件が発生した。悪いが、宴会を中止して、至急2階の俺達の部屋に集って欲しい」


 それだけ言うとクレイは飲みかけの酒を一気に呷ると先に立って部屋へと戻って行った。


「後はお任せください。残った料理はお部屋にお運びしますので」


 少し未練がましくテーブルの上の食べかけの料理を横目で見ていたら、ソフィアが表情を緩めて言ってれた。


「ですので、安心して二階にお上がりください」


 そう、速やかな退席を促してくる。

 どうやら本当に緊急な用件らしい。



◇◆◇◆◇



「すまん、少しドジを踏んだようだ」


 苦虫を噛み潰したような表情でクレイは頭を下げる。


「いったい、何があったんだ?」


 クレイの部屋には、オレとヒュー、ネフィリカにガイウス、そして当のクレイが集っていた。


「ユールが何者かに誘拐されたらしい」


 オレの質問にクレイが沈痛な面持ちで答える。

 ユールといえば、某所で襲われた怪我を療養中の筈だ。


「え、ユールはネフィリカの知人の家に預けられていたんだろ。それもここにいる者達しか知らない場所って聞いていたけど」


「その筈なんだが……。念のため、手の者を巡回させて注意もしていたんだが、甘かったようだ」


「別にクレイに責任があるとは思えないけど」


 オレが気休めを言ってもクレイは自分を許せないようだ。


「それでユールは……ユールは無事なんでしょうか?」


 ネフィリカが酔いが醒めたせいもあり、真っ青な顔でクレイに聞く。


「今は大丈夫だろう。十中八九、奴らの仕業だと思うから、何か要求してくる筈だ。それが叶うまでは身の安全は保証されると思う」


 要求か……おおよそ想像がつく。


「クレイ、どうするのがいいと思う?」


 クレイは腕を組んで唸った。


どうやら、簡単にロスラムに勝って大団円とはいかないようですw


3月が忙しすぎて、笑いが止まりません(←悪い意味で)


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