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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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ロスラム傭兵団……③

「え? ああ、そう言えばそうだ。帝都で別れて以来だな」


「そうだよ、それより仕事はいいの? みんな成り行きを気にしてるみたいだけど」


 周囲の群衆はオダンが立ち去った後も、当事者の一方であるオレ達が居残っているので、ざわざわしながらオレ達の動向を気にしていた。


「しまった、早く説明しないと」


 気づいたディノンが集まった人々に、もう騒ぎは収まったので立ち去るように呼びかけると、見物客は「なんだ、もうお終いか」などと口にしながら三々五々散っていった。



「本当のところ、どうするおつもりなのですか?」


 オレがディノンの行動をぼんやり眺めていると、いつの間にかヒューが横に来て、心配そうにオレを見つめていた。


「うん、とりえずクレイに相談してみるよ」


 戸惑うオレを見るヒューの目が、ほんの少し笑っていたのをオレは見逃さなかった。



◇◆◇◆◇



「なるほど、だからこいつがここにいる訳だ」


「何だよクレイ。久しぶりに心の友と再会したっていうのに、その愛想の無いつらは」


 呆れ果てた表情のクレイにディノンが口を尖らせて絡む。


 例の宿屋に帰ってきてクレイと合流したのだが、事の顛末を聞いた途端にクレイは渋面となった。

 しかも、ディノンは事情聴取するという触れ込みで、ネフィリカはオレ達が大会に参加してくれるか確かめるためにオレ達に同伴していた。


「クレイ、怒りたい気持ちもわかるけど、まずはオレの話を聞いてくれ」


 オレはドゴスに会ったこと、オダンに喧嘩を売られたこと、その場にいた人々にアルサノーク傭兵団の一員だと思われたこと……包み隠さずクレイに話した。


「……それで、お前はどう考えているんだ」


 一つ大きなため息をついた後、クレイは真面目な顔でオレに問いかけてきた。意外にも怒ってはいないように見える。


「クレイがオレのこと心配してくれているのはわかってるつもりだ。ただ、ドゴスのことは正直、許せない気持ちも残ってるけど、いますぐどうこうしようとは思ってはいない。オレだっていつまでも子どもじゃないし、自分の立場は理解している」


 オレの言葉にクレイは黙って耳を傾ける。


「けど、それとは別にしても、ネフィリカを助けてあげたいと思ってる」


 オレがはっきりと自分の気持ちを宣言すると、クレイは一瞬だけ目を閉じ天を仰いだが、すぐにオレを見つめて言った。


「…………ああ、お前がそう考えたなら、それでいいと思う」




 クレイの返答にオレは驚きの余り二の句が告げずにいた。怒らないまでも絶対に反対されると思っていたからだ。


「ホントにいいの? 大会に参加しても」


「お前が考えもなしに参加したいと言うなら反対もしただろうさ。でも、よくよく考えて出した結論なんだろう。反対する余地はないと思うぞ」


 お前を信じてる――そんな風に聞こえた。


「私も人のことは言えませんが、クレイもリデルに対しては大甘ですねぇ」


 ヒューがニコニコしながら言葉を挟む。


「お前にだけは言われたくない」


 クレイが真顔で反論したので、思わずオレは吹き出した。


 どっちもどっちもだし、二人ともオレに甘すぎる。オレは笑いを抑えながら、ネフィリカに声をかけた。


「という訳でネフィリカ。聞いてのとおり、オレは大会に参加するつもりなんだ。だから、悪いけど、一時的にアルサノーク傭兵団に入らせて欲しいんだけど……」


「え……はい、こちらこそお願いします」


 あくまで、オレが大会に参加したいので、アルサノークに入団する形式をとった。

 ネフィリカからの依頼ではなく、こちらから入れてもらう流れの方が負担にならないだろうと思ったからだ。


「もちろん、俺も入らせてもらう」


「当然、私もです」


 クレイとヒューも同調する。


「は、はい……」


 ネフィリカは今にも泣き出しそうだ。


「で、ディノン。そんな訳で、今回のいざこざは、アルサノーク傭兵団とロスラム傭兵団との諍いで、決着は大会でつけることになったと報告してくれるか」


「ふむ、お前らがそう言うなら、俺としてそれで構わないが……」


 ディノンはあっさり同意した。

 なんていい加減な奴だ、オレとしてありがたいけど。



 その後、今後の具体的な方針を決めることになったのだけれど、一刻も早くユールとガイウスにオレ達の加入を伝えたいとネフィリカがアルサノーク傭兵団の本拠に戻りたがったので、一足先に帰ってもらうことにした。

 いろいろ秘密の打ち合わせもしたかったので、こちらも都合が良かったのだ。


 ただ、帰る途中でまたロスラムの連中に遭遇すると危ないので、ソフィアを護衛につけることを提案すると、ネフィリカに微妙な顔をされた。


「一応、私もこの大会に出場するつもりです。集団相手ならともかく一対一なら、そこらの傭兵に引けをとらない腕を自負しています」


 まあ、そうだよな。


 一見すると、ソフィアはたおやかで優しそうだし、ネフィリカの方がずっと強そうに見える。


「まあ、そう言わないで連れて行って欲しい。役に立つ優秀な女性だから……ソフィアもよろしく頼むね」 


「はい、リデル様。お任せください」


「リデルさんが、そうまで言うなら従います」


 二人は連れ立って、部屋から出て行った。



「さて、ところでディノン。あんたはいつまでここにいるのさ?」


 いつまでたっても一向に立ち去る気配のないディノンにオレは質問する。


「ん、俺か。俺は現在、事情聴取中なのさ。だかられっきとした勤務だ」


 どう見てもサボっているとしか見えないけど。


「それはそうとディノン。グビル団長が言ってたが、確かグレゴリ(傭兵団)は大会運営に参画しているんだよな」


 クレイが何事か考えながら、ディノンに確認する。


「ああ、そうだけど」


「それじゃ、今大会については詳しいか?」


「まあ、それなりにね」


「じゃあ聞くが、確か登録時に本名は必須だが、出場者名は通り名や二つ名でも良かったはずだよな」


「え? ああ、そのはずだと思うが……」


「なるほど、ではお前に頼みができた。ちょっと耳を貸せ」


 そう言うと、クレイは悪い笑顔でディノンに耳打ちする。


 何かまた、良からぬ悪巧みをしてるな、クレイの奴。


すみません。ストック切れと仕事が年末進行のため、更新をしばらくお休みします。なるべく、週一は確保したいのですが、ちょっと無理かもしれません。

申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

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