06
感想をお待ちしております。
もう死にたい……。こんなことになるとは思いもしなかった。
宮園さんの前で粗相をするのは今回が初めてではない。一度だけならまだしも、短期間で同じ失態を晒すなど言語道断である。
股の緩い女。本来の言葉の意味とは異なるけれど、そんな風に思われたかもしれない。
私は高校生だ。この歳で何度も失禁するのは異常としか言いようがないだろう。
今度こそ宮園さんは私に幻滅したに違いない。彼女が未だに沈黙を続けているのは、呆れて言葉も出ないからだ。
「ううぅ……。ぐすっ……」
地面に広がる水溜まりには私の泣き顔が映っていた。
頬をつたって零れ落ちた涙が波紋を描く。悲しみの雨が降り注いでいる。
顔を上げることができない。宮園さんの方を見るのが恐かった。
彼女は今、どんな顔をしているのだろうか。
「大丈夫? 松浪さん」
頭上から宮園さんの声がした。
「ごめん……なさい……」
私は謝ることしかできなかった。
みっともない姿を晒したことを。庭園内の地面を汚してしまったことを。
「いいのよ。私は気にしてないもの」
「でも……」
「むしろ、いいものを見させてもらって感謝しているわ。ありがとう。この光景はしっかりと目に焼き付けておくわね」
何を言っているのだろう? なぜ彼女は感謝するのだろうか。
そんなことより、目に焼き付けるってどういうことなの? できることなら早く忘れてほしいくらいだよ……。
「どう? やっぱり恥ずかしい?」
当然だ。恥ずかしくてたまらない。そんなことわざわざ聞かないでほしい。
私は恥ずかしさで頭がパンクしそうになっていた。
「でも、ちょっと気持ちよかったでしょう?」
それはないよ。ちっとも気持ちよくなんかない。
状況が理解できなかった。だって、いきなりだったもの。
自分の身に何が起きたのか、一切わからないまま漏らしていたのだ。
「ごめんね……。ごめんね、宮園さん」
「だから謝らなくていいの。これは全部、私が仕組んだことだから」
「え……?」
どういうことだろう。彼女は何をしたというのか。
「私のワガママなの。松浪さんのせいじゃない。普通ならあり得ないことよ」
「待って……。何言っているのか全然わかんないよ」
「わからなくていいわ。松浪さんは何も考えなくていい。ずっとそのままでいてね」
宮園さんは私の前で正座した。
彼女のスカートが私の生み出した水溜まりに浸される。
「宮園さん。スカートが……」
「平気よ」
戸惑う私を愛おしそうな目で見つめる宮園さん。
彼女の瞳に吸い込まれるような感じがした。
お読みいただきありがとうございます。
感想をお待ちしております。




