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百合×百合オペレーション  作者: 平井淳
第二章:ワクワク遊園地デート作戦

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感想をお待ちしております。

 遊園地を出た後、由利香は紗友里とともにバスと電車を乗り継いで、姫山駅まで戻ってきた。


「あー、楽しかった」


 由利香は伸びをしながら言った。


 今日は二人で一日中遊び回った。たくさんはしゃいで、たくさん笑ったものだ。


 クタクタになっていてもおかしくないのに、まだまだ遊び足りないくらい元気だった。由利香にとって、初めての遊園地は刺激的で興奮する思い出となった。


 また行きたい。もちろん、紗友里と二人で。今度はいつがいいだろうか。

 早速、次回の日程を考え始めている。


「じゃあね、宮園さん」

「ええ。さようなら」


 駅前で紗友里と別れの挨拶を交わすと、そのまま自分の足で歩いて帰宅することにした。


 ここから自宅までの距離はそれほど遠くない。ゆっくり歩いても門限の十八時には余裕で間に合う。車で使用人に迎えに来させることもできたが、こんなことで彼らの手を煩わせるのも悪い気がしたので、やめておいた。


 夕日を背に受けながら、由利香は鼻歌交じりに団地の通りを歩く。家に向かう足取りはいつも以上に軽かった。


 今日一日の出来事を思い返す。すると、自然と笑みがこぼれてきた。

 あれもこれも、いい思い出だ。一生忘れないだろう。


 カラスの鳴き声が聞こえる。あの子たちも巣へ帰るところなのかしら、などと思いながら、空を見上げる。頭上には美しい夕焼け空が広がっており、まるで今の自分の心を映し出しているかのように思えた。


 今日は大きな収穫を得る一日となった。

 紗友里との絆が確固たるものであることを確信したのだった。


「ふふ、紗友里ちゃん」


 独り言をつぶやく。無意識のうちに紗友里の名を口にしていた。


「紗友里ちゃん♪ 可愛い、可愛い紗友里ちゃん♪ 大好き、好き好き、紗友里ちゃん♪」


 突発的に浮かんできた言葉を歌にする。その歌詞には紗友里に対する並々ならぬ愛が込められていた。


 十分ほど歩くと、宮園邸に到着した。

 現在の時刻は十七時四十五分。門限まで十五分を残しての帰宅となった。


 玄関のドアを開けると、メイドの小田原麻衣が帰りを待っていた。


「おかえりなさいませ、由利香様」

「ただいま」

「遊園地は楽しかったですか?」

「ええ。とっても」


 満面の笑みで由利香は答えた。


「それはようございました。では、お荷物をお預かりいたします」


 麻衣は由利香からバッグを受け取ろうとする。しかし、彼女はそれを手放さなかった。


「由利香様?」

「自分で持つからいいわ。私は一旦お部屋に戻るわね。お夕飯の時間になったら呼んでもらえるかしら」

「かしこまりました。もう間もなく準備が整いますので、少々お待ちください」


 麻衣に見送られながら、二階へと続く階段を昇る。

 

 踊り場を抜けて、数メートル先のところに由利香の部屋がある。

 彼女はドアを開けて中に入ると、すぐに内側の鍵を閉めた。


 窓からオレンジ色の夕焼け空が見える。

 由利香は背中から扉にもたれながら静かに笑った。


「クスッ」


 彼女の顔を夕日が赤く照らす。薄暗い部屋の中で彼女の笑顔が不気味に映えた。


 カバンの中から綺麗に折りたたまれた白いハンカチを取り出す。

 それを開くと、真っ赤な染みが姿を見せた。


 これは紗友里の血だ。

 血が溢れ出した彼女の鼻を抑えた時に付着したものだった。


「紗友里ちゃんコレクション、また新しいのが増えたわね」


 由利香は赤く染まったハンカチを両手で天井に向かって掲げ、それを眺めながら恍惚とした表情を浮かべる。


 そして、ハンカチの血が付いた部分を顔面に押し付けた。


「紗友里ちゃん、紗友里ちゃん、紗友里ちゃん、紗友里ちゃん、紗友里ちゃん、紗友里ちゃん、紗友里ちゃん、紗友里ちゃん、紗友里ちゃん、紗友里ちゃん、紗友里ちゃん!」


 スー、ハー、スー、ハー、と息を深く吸っては吐き、ひたすら血の匂いを鼻腔に擦り付ける。


「はぁ、はぁ。紗友里ちゃんの血、いい匂いがするぅぅぅ……」


 鉄臭いハンカチを一心不乱に味わう。

 今まで経験したことのない快楽が由利香を狂わせる。


 それからベッドにダイブし、仰向けになる。


「紗友里ちゃんっ……紗友里ちゃんっ……! んんんっ!」


 寝転がりながら、ハンカチの香りを嗅ぎつつ、自らの手で局部を刺激する由利香。

 すぐに絶頂を迎え、激しく身悶えるのだった。


「はぁ、はぁ……。まだ足りない。足りないわ。紗友里ちゃんの成分をもっと摂取しなきゃ……」


 ベッドから降りてヨロヨロと歩いて向かったのは、クローゼットの前だった。

 扉を開くと、中にはおびただしい数の紗友里の写真が貼られていた。


 登校する紗友里。下駄箱の前で上履きに履き替える紗友里。教室で席に座りながら窓の外を眺める紗友里。授業中、上の空状態の紗友里。昼休みに一人で弁当を食べる紗友里。食後、机で寝たふりをする紗友里。体操着姿でストレッチをする紗友里。更衣室で着替える紗友里。図書室で本を読む紗友里。一人で下校する紗友里……など。


 これらはすべて由利香がスマートフォンで隠し撮りしたものである。

 紗友里に気づかれないよう、陰からこっそりとカメラを回し続けてきた。


 撮影を始めたのは紗友里と同じクラスになった今年の四月。気づけば毎日、盗撮をしているのだった。


 クローゼットの中には小さな洋物のタンスが置かれている。


 一番下の引き出しを開けると、水色の女性用下着と黒いストッキング、制服のスカート、上履きがジッパー付きのポリ袋に個別包装の状態で保管されていた。


 これらは紗友里が学校で失禁した際に入手したものである。


 彼女には汚れた衣類を洗濯してから返すと言って持ち帰ったが、実際に返却したのは由利香が「特別な力」を使って用意したレプリカであった。よって、ここにあるものがオリジナルだ。


「紗友里ちゃん……」


 コレクションを眺める。

 どれを使って紗友里を味わおうか、と考えながら舌なめずりをしている時だった。


 背後に何者かの気配を感じた。


 由利香は振り返ると、「来たわね」と呟く。

お読みいただきありがとうございます。

感想をお待ちしております。

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