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ジェットコースターの最前列で宮園さんは私を昇天させた。
他の乗客がいるにも関わらず、彼女は淫らな行為に及んだのである。状況が状況なので、私は抵抗できなかった。
「ねぇ、あの子どうしたんだろ……」
「具合でも悪いんじゃない?」
後ろの女性客がヒソヒソと会話している。悶える私の姿を見て言っているようだ。
こんなところで気持ちよくなってることがバレたら、絶対に変態だと思われる。ここは意地でもやり過ごそう。
「はぁっ……はぁっ……」
息が荒くなった私はしばらく安静にする他にない。
ところが、意地悪な宮園さんは再びイタズラを仕掛けてきた。
「もう一回ね」
「やめて、宮園さん。これ以上はっ……」
「やめない」
彼女の指が私を襲う。
さっきよりも一段と速い動きで、小刻みに刺激を与えてくるのだった。
「だめぇぇぇ……」
私は涙目になった。
こんなことしていたら、余計に怪しまれてしまう。
もうやめよう。せめて違う場所で……。
「ちょっと! あなたたち何してるの?」
ついに見つかってしまった。
真後ろに座っている女性が私と宮園さんに声をかけてきたのだ。
「えっ……。マジで何やってんの」
「ウソでしょ」
今ここで繰り広げられている淫行にドン引きする女性たち。
私は頭が真っ白になった。
社会的に死んだ瞬間である。
宮園さんは後ろを振り返ると、女性客二人に向かって言った。
「申し訳ございませんが、静かにしていただけますか? 紗友里ちゃんがビックリしちゃいますので」
紗友里ちゃん……?
私のことを宮園さんが初めて下の名前で呼んだのである。
新鮮な響きだった。視界が揺れるような感覚がした。
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