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百合×百合オペレーション  作者: 平井淳
第二章:ワクワク遊園地デート作戦

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感想をお待ちしております。

 しばらくおしゃべりをしていると、思っていたよりも早くジェットコースターの順番が回ってきた。楽しい時間はすぐに過ぎてしまうようだ。


 私と宮園さんは先頭の車両に乗った。左側が私で右側が宮園さんである。

 ここは一番迫力を感じることができる場所だ。ジェットコースター初心者の宮園さんは大丈夫だろうか。


 とはいえ、彼女の心配をしている余裕はなかった。私も平気かどうかわからないのだ。

 絶叫系マシンは苦手ではないけれど、少しだけ恐さを感じていた。


 宮園さんの前で再びみっともない姿を晒すわけにはいかないので、泣かないように努力したい。ちゃんとトイレも事前に済ませておいた。多分漏らす心配はないと思う。


 小学生の頃にもこのジェットコースターには乗ったことがある。普通に楽しかったし、泣いたりすることもなかった。今の私はもう高校生だ。今回もきっと問題ないはず。


「それでは出発です! 行ってらっしゃーい!」


 係員の合図でコースターがゆっくりと動き出した。

 ガコンガコンと音を立てながら、コースの頂上を目指して昇っていく。


 急降下に備えて私は身構えた。こういう時は思い切り叫んだ方が楽しいのかもしれないけど、宮園さんの隣ではしゃぐのは恥ずかしい。


 最も高い所までやって来た。これから私たちは真っ逆さまに落ちる。


 来る……。うう、やっぱり恐い。


 緊張が走る。肩に力が入った。

 これから訪れる恐怖に耐えられるだろうか。


 ガチャン!


「え?」


 ここで車両が急停止した。数秒経っても動かないままだ。

 後ろに座っている他の乗客がざわつき始める。


「これって、いつ動き出すの?」


 宮園さんが尋ねてきた。


「わかんない。本当なら途中で止まったりはしないんだけど……」


 何かトラブルがあったのかもしれない。

 よりによってコースの最上部で止まるなんて。


 地上よりも強く風が吹いている。車両が煽られて揺れる度に悲鳴が上がる。動揺と不安に襲われた乗客たちは落ち着きを失い始めていた。


 私も手足が震えている。声には出さないが、かなりの恐怖を覚えているのだった。


 大丈夫……。きっと大丈夫。

 心の中で自分にそう言い聞かせる。


 しばらく待てば動き出すはずだ。それまでの辛抱である。


 右手の甲が急に温かくなった。

 宮園さんが手を添えてきたのだ。彼女は震える私の手を優しく抑えてくれている。


「恐くないわ。二人一緒だもの」

「宮園さん……」


 彼女の言葉は私を勇気づけた。

 

 たとえ、このまま永遠に車両が動かなかったり、助けが来なかったとしても、宮園さんがそばにいてくれる。もしこの高い所から落ちて死んでしまうことになっても、その時は彼女も同じだ。


 二人は運命を共にしている。生きるか死ぬか、それはもはや重要ではない。

 私が恐れているのは宮園さんと離れ離れになることだけだ。彼女と一緒に死ねるなら、何も問題はない。


「さっきのお話の続きをしましょう。明後日の月曜日、お夕飯は何が食べたい?」


 恐怖を紛らわせるために会話をすることにした。

 黙り込むよりも、リラックスしながら時が来るのを待った方がいいだろう。


「リクエストしてもいいの? じゃあ、オムライスがいいな」

「今日食べたばかりなのに?」

「そうだった……」

「松浪さん、よっぽどオムライスが好きなのね」


 その通りである。オムライスは私の好物で、お母さんが定期的に作ってくれる。特にハヤシライスソースをかけて食べるのが好きだ。


「やっぱりオムライスはナシ! ハンバーグがいい」

「わかったわ。麻衣さんに伝えておくわね」

「小田原さんがご飯作ってるの?」

「いいえ。麻衣さんは献立を決めるだけで、調理をするのはうちで雇っている料理人の方よ」

「その料理人さんって、いつも宮園さんのお弁当を作ってる人?」

「そうよ」

「楽しみだなぁ。宮園さんのお弁当、すごく美味しいもん」


 昼休みは宮園さんとお昼ご飯を食べているが、私は毎回何かしらのおかずを彼女に分けてもらっていた。どれも美味しいものばかりなので、ハンバーグも期待できそうだ。


「お夕飯の後は何をして遊びましょうか。うちにはトランプと双六すごろくとオセロがあるわ。どうかしら」

「うん。全部やろうよ」


 お嬢様の家にテレビゲームはないらしい。どれもアナログばかりである。かくいう私の家にもないけれど。


「その後はお風呂ね。私が松浪さんの身体を洗ってあげるわ」

「ひ、一人で洗えるよ……」

「まぁまぁ、そう言わずに」


 宮園さんに身体を洗ってもらうなんて、恥ずかし過ぎて死んでしまう。

 でも、宮園さんの頼みは何でも答えてあげたい。


「……どうしても?」


 モジモジしながら私は問う。


「ええ、どうしても。松浪さんの裸が見たいの」

「宮園さん?!」


 また私を揶揄ってるでしょ。

 もうその手には引っかからないからね。


「松浪さんも見たいでしょ? 私の裸」

「う……」


 見たい……。

 でも、そんな欲求なんて正直に言えるわけないよ。


「松浪さんって、実は意外とエッチな子よね」

「な、何言って……」


 ウソ?! バレてる?


 終わった。もうダメだ。

 宮園さんに私の正体を知られたら、二人の関係はそこで断ち切られてしまうかもしれない。


 彼女に嫌われることだけは避けたかったのに。


「さっきもずっと私の胸に顔を押し付けてたわね。感触はどうだった? 気持ちよかった?」

「ごめん……なさい……」


 私は俯いた。

 顔が熱い。宮園さんの方を見ることができない。


「責めてるわけじゃないの。私はただ、感想が聞きたいだけ。率直に答えてほしいわ」

「気持ちよかった……です」

「本当? 嬉しい」

「嬉しいの?」

「それはもう。気に入ってもらえてよかったわ。これからはいつでも私の胸を借りていいのよ。遠慮しないでね」


 どういうこと? わけわかんないよ……。

 宮園さんは何を考えているの?


「わ、私は……」

「松浪さんは私のことをエッチな目で見てる」

「なんで……わかるの?」

「見ればわかるわ。目は口程に物を言うって言葉があるくらいだもの」


 ああ、今すぐここから飛び降りてしまいたい。

 隠しておきたかったことを本人に知られてしまったのだ。


「うっ……うう……」


 目からポロポロと涙が零れ落ちる。

 私はただ泣くことしかできなかった。


「泣かないで。私は嬉しいの。松浪さんがそういう人で、本当によかったと思ってる」

「私のこと、嫌いにならないの?」

「ならないわ。むしろ、もっと好きになった」

「ホントにホント?」

「ええ。大好きよ」


 よかった……。

 宮園さんに嫌われちゃったら、もう生きる意味などないのだ。


「私も松浪さんのこと、そういう目で見てるから」

「えっ」


 耳を疑う内容だった。

 宮園さんが私を……?


「どう? 気持ちいい?」

「あっ……。ダメだよ、こんなところで」


 宮園さんは私のホットパンツに左手を突っ込んできた。

 その指で私の大切な部分を弄り始める。


「ほ、他の人もいるのにっ……。んんっ」

「バレなければいいのよ」


 何これ? どうしてこうなってるの?

 宮園さん、大胆過ぎる。


 快感が抑えきれない。宮園さんの手でこのまま……。


「今の松浪さん、最高に可愛いわ」

「んあっ……はぁっ……」

「我慢しなくていいの。さぁ、身体の力を抜いて」

「ダメっ……。宮園さんっ……!」

「ふふふ」


 意地悪な笑みを浮かべながら、宮園さんは私をまさぐり続ける。

 無理だ。もう耐えられない……。


「ああああっ」


 大きな声を上げてしまった。

 絶対に他の乗客にも聞こえているだろう。


 腰を浮かせながら、身体を痙攣させる私。


「はぁ……はぁ……。宮園……さん……」


 彼女はうっとりした表情で私を見つめながら、左手の指先をペロリと舐めた。

お読みいただきありがとうございます。

感想をお待ちしております。

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