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百合×百合オペレーション  作者: 平井淳
第二章:ワクワク遊園地デート作戦

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感想をお待ちしております。

執筆の励みになりますので、是非お願いいたします。

 お化け屋敷の次はいよいよジェットコースターに乗ることになった。

 しかし、人気のアトラクションであるため、待ち時間は三十分もある。目の前には長蛇の列ができていた。


「おしゃべりでもしながら、のんびり待ちましょう」


 宮園さんは嫌がることもなく笑顔で言った。

 私も彼女が一緒なら待ち時間だって少しも苦ではない。むしろ、おしゃべりができてラッキーだった。


「松浪さんの趣味について知りたいわ。何が好きなの? 最近ハマってることとかある?」

「私の趣味……」


 ガールズラブの漫画を読んだり、エッチな妄想をすることです……とは言えない。

 そんな趣味があることを知られたら、どんな反応をされるやら。


「映画鑑賞……かな」


 それっぽいことを言って誤魔化す。


「どんなジャンル?」

「れ、恋愛モノ……とか」

「へぇ、それは素敵ね」

「そうかな……」


 そう言って私は黙り込む。宮園さんも口を開かない。

 これ以上、映画のことで会話は続かなかった。 


 だが、私にとっては幸いだった。本当は映画なんてほとんど観ないからだ。恋愛モノに興味はない。どれも男女の恋模様を描いた作品ばかりなので、ガールズラブを好む私の守備範囲外である。話を深く掘り下げられずに済んで助かった。


「宮園さんは趣味とかあるの?」


 今度は私の方から質問してみる。


「私はそうね……。バイオリンかしら」

「すごい。バイオリンが弾けるの?」


 宮園さんは本当に多才な人である。

 私は感心した。


「小学生の頃、楽しそうだからやってみたいってお父様に言ったら、すぐにバイオリンを買ってもらって、先生の個人レッスンを受けることになったわ。それ以来、ずっと続けているの」

「宮園さんのお父さんって、行動力があるんだね」

「そうね。私がしたいことは何でも認めてくれる人だから」


 これがお金持ちの余裕なのか。バイオリンって結構高価らしいから、庶民が簡単に手を出せるものじゃないんだよね。しかも、身体の大きさに合わせなきゃいけないので、成長したら買い替える必要がある。小学生から大人になるまで続けるとしたら、全部でいくらかかるのかな?

 

「宮園さんの演奏、聴いてみたいなぁ」

「なら、今度私の家に招待するわね。演奏部屋があって、いつもそこで練習してるから」

「そんな部屋まであるんだ……」


 きっと物凄い豪邸なのだろう。設備が充実していて、部屋も一つ一つが広いはずだ。そんな家に私も住んでみたい。


「月曜日の放課後は私の部屋で勉強会をしましょう。バイオリンもその時に」

「お邪魔していいの?」

「もちろんよ。お友達を家に呼ぶのは普通のことでしょう」

「ありがとう……。それじゃあ、よろしくね」


 やった。宮園さんの家に招待されちゃった。


 これってもう完全にイケるよね。宮園さんの部屋でいい感じになって、そのままベッドで……。


 はっ……! 何を考えているんだろう私は。気が早過ぎる。


 あくまで勉強会とバイオリンの演奏を聴くことが目的なんだから、そういう下心に満ちた展開は想像しちゃダメだ。期待しても無駄である。


「せっかくだから、そのまま泊まっていってくれてもいいわよ。それで、次の日は一緒に登校しましょう」

「ええっ?! そんな、お泊りなんて……」

「嫌?」

「ううん。嫌じゃないけど、それはさすがに悪いよ……」


 家に入らせてもらうのはまだいい。しかし、一晩泊めてもらうのはちょっと気が引ける。


「遠慮しないで。お父様もお母様も私のお友達ならいつでも大歓迎だし、麻衣さんも松浪さんをもてなしたいって言っていたわ。だから、うちはいつでもウェルカムよ」

「ホント……?」

「ええ。私にそこまで仲の良い友達ができたと知ったら、皆喜んでくれるわ」


 私は宮園さんに認めてもらえたということなのだろうか。そうでなれば、お泊りなんてさせてもらえないはずだよね。


「勉強会の後は一緒にお夕飯を食べて、お風呂に入って、夜は私の部屋で楽しくおしゃべり。きっと楽しいわ」


 ちょっと待って。お風呂も寝る部屋も一緒なの?


 それはまだ早いよ。私たちは友達になったばかりだし、もう少し段階を踏んでからじゃないと……。


 私は躊躇った。こんなことをしてもいいのだろうか、と。


 いや、段階なんて関係ない。あくまでお風呂に入って寝るだけだ。友達同士ならことであるごく当たり前のことである。変なことを意識している自分がおかしい。


「ふ、不束者ですが……」


 深々と頭を下げる私。


「くすっ。かしこまらなくていいわよ」


 宮園さんは口元に手を当てて笑った。

 

お読みいただきありがとうございます。

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