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百合×百合オペレーション  作者: 平井淳
第二章:ワクワク遊園地デート作戦

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感想をお待ちしております。

 自室に一人残された私は、もう一度鏡の前に立って服装のチェックをする。何度見ても同じなのはわかっているけれど、どこかおかしなところがないか気になってしまうのだ。


 鏡に背中を向けて振り返り、後ろ姿も確認する。服に汚れや染みが付いているといったこともなさそうだ。


「大丈夫だよね……? うん、きっと大丈夫」


 これで問題ないと自分に言い聞かせるしかなかった。でも、不安は消えない。


 客観的に自分のファッションを考察、評価する才能が欲しい。何が似合って、何が似合わないのか、的確に判断できるようになれば、自信を持ってデートに臨めるだろう。


 それにしても、この私が自分の着る服について、これほど真剣に考えることは未だかつてなかった。


 今までオシャレに無頓着だった私が宮園さんへの恋をきっかけに変わろうとしている。

 好きな人によく見られたいという気持ちが服選びに大きな影響を与えているのだった。


 あとは服だけでなく髪型にも気を配るべきだ。今はただ真っすぐに地毛を伸ばしているだけで、パーマやカラーリングなどのアレンジは一切施していない。


 髪質はストレートで髪色は生まれつきの焦げ茶色。長さは肩にかかる程度だ。小学生の頃からずっと変わっていない。これより長く伸ばすことも短く切ることもなかった。


 私は変化を恐れている。急に髪型を変えたり、派手な服を着て出かけたりする勇気が持てないのだ。そのため、「イメチェン」とは無縁の人生を送っている。


 似合わない格好をして他人に笑われたり、悪い意味で注目を浴びるのが嫌だというのが、変化を拒む一つの理由だが、やはり「今まで通り」のスタイルが精神的に落ち着くからこそ、私は冒険を望まないのであった。


 もし宮園さんが今の私を肯定してくれるなら、これから先も変わるつもりはない。しかし、彼女が「他の私」を求めるのであれば、私はそれに向かって変身を遂げよう。つまり、私の外見は宮園さんの好みによって左右されるのだ。


 とはいえ、彼女の理想とする「私」を知るにはどうすればいいのだろうか。そもそも、彼女は私の外見にこだわりを持っているのだろうか。そんなものには端から興味がないのかもしれない。この私がどんな髪型や服装をしていようがどうでもいい、というのが彼女の本音という場合もあり得る。


 興味がない。それは最も悲しい答えだ。

 だが、その可能性は非常に高い。


 だいたい、友達に外見について指図する人なんているのだろうか。多分いないだろう。自分の恋人に対してならば、「こういう髪型の方が好き」とか「あの服が似合ってるから、もっと着てほしい」などと要望を述べることがあるかもしれないけど、私と宮園さんの関係はあくまで友人同士なのだ。


 一方、森さんはただのクラスメイトである私にファッションとメイクを覚えさせようとしてきた。私をイケてる感じの女子にしたいと考えているようだ。


 なぜ彼女は友達ですらない私の外見に興味を示したのだろう? 私のオシャレ度アップに貢献する義理はないはずだ。


 よくわからない。宮園さんの気持ちも森さんのこだわりも、私には知る術がない。


 ユリエルさんが私の心の声を聞くことができるのと同じように、私も宮園さんの思いを読み取れるようになりたい。もっと彼女を知りたいのだ。


 宮園さんは私をどんな風に見ているのだろうか。

 どうすれば宮園さんが私を好きになってくれるのだろうか。

 宮園さんは私と恋人になってもいいと思っているのだろうか。


 ねぇ、宮園さん。

 私たちは愛し合えるのかな? 私たちに未来はあるのかな?


 答えが知りたいなら、本人に直接訊けばいい。単純なことである。でも、それができない。

 彼女を強く求めているのに、彼女の領域に一歩も踏み込めないのだ。


 切ない。やるせない。もどかしい。

 これらの感情を紛らわせる必要がある。


「宮園さんっ……」


 気づけば私はベッドで横になっていた。

 火照る体を潤すため、彼女のことを思い浮かべながら一心不乱に指先で股を弄るのだった。


 そして、全身を走る強烈な刺激に身悶え、静かに果てた。

 

 

お読みいただきありがとうございます。

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