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待ちに待った遊園地デートの日がやって来た。
今日が宮園さんと友達になってから初めて迎える週末だった。学校以外の場所で彼女に会うのも、これが最初となる。
いつもと違う彼女が見られる。そう思うだけでドキドキした。
同時に私自身も普段の自分とは違う姿を宮園さんに見せることになる。
いかにいい印象を与えられるかが、今回のデートにおける最大のポイントといえるだろう。
私とユリエルさんは今日のために色々と準備を進めてきた。デート中の作戦も練ってある。あとは私が作戦を実行し、無事に成功させるだけだ。
今朝は平日の起床時間よりも早い六時に目が覚めた。もうひと眠りしてもよかったのだが、興奮していたのでベッドから降りることになった。
部屋の床には今日着ていく服が綺麗に畳んだ状態で置かれている。
デートの服は先日ユリエルさんと相談して決めた。白いシャツとデニムのホットパンツ。動きやすさとシンプルさを重視したファッションである。
私は早速パジャマを脱いで着替えた。
鏡の前に立ち、全身をチェックする。
これは似合っているのだろうか。自分で見てもよくわからない。
めちゃくちゃダサいと思われることはさすがにないだろうけど……。
「はい、心配無用です。すごくいいですから。私の目を信じてください」
ユリエルさんが胸を張る。
彼女の言う通りにすれば間違いない。そう思いたいところだが、やはり私が気になるのは宮園さん本人からの評価だった。宮園さんが「いい」「可愛い」と褒めてくれなきゃいけないのだ。
脚の部分は肌の露出が多い。はしたない格好だと思われないか心配だ。
反対にシャツはデザインが地味だ。味気ないという印象を与えてしまうかもしれない。
そもそも宮園さんはどんな人が好みなんだろう? 私みたいな地味っ子は彼女のタイプじゃなかったらどうしよう。
「そんなこと始まる前から気にしてても意味ないですよ。とにかくベストを尽くしましょう。それから、焦らず落ち着いてください。紗友里さんは今日のデートを楽しむことに専念すればいいんです」
まったくその通りである。今さらあれこれ思い悩んだところで、物事は何も進展しない。
せっかく宮園さんと出かけるのだから、存分に楽しまなければ損だ。
遠い存在だった彼女と遊園地に行くことになるなんて、ついこの前までの自分には想像もつかない話だ。今の状況はとんでもない奇跡といえるだろう。
肩の力を抜いて、自然体でいることを心がけよう。そうすれば、きっと宮園さんと素敵な時間を過ごせるはずだから。
「九時に駅前で待ち合わせでしたね。家を出る時間まで、まだ余裕があります。私は一旦ここを離れますので、紗友里さんはリラックスしててください。一人で「アレ」をしてもいいんですよ?」
「し、しないもん! これから宮園さんに会うんだよ? 会う前にするなんて変だよ」
「ああ、なるほど。するならデートの後、宮園さんとの思い出に浸りながら……というわけですね」
「っ……!」
図星を突かれてしまい、つい黙り込んでしまった。
相変わらず私は宮園さんとの「絡み」を妄想する癖が抜けないのだった。
今日のデートがどんな感じになるのかわからないけど、今後のオカズに困らないような出来事がたくさんあればいいな、と思う。
今日は宮園さんを間近で感じられる。彼女の深い部分を覗き見ることができるかもしれない。
あわよくば、デートが上手くいって、宮園さんの方から私に……。
あ……、急に変な気分になってきちゃった。
身体の緊張をほぐすためにも、今から一回だけしておいた方がいいかな?
それに、デート中にいやらしい気持ちを抑えきれなくなったらいけないもんね。
「へぇ~、朝からやる気満々ですねぇ。やっぱり私はお邪魔でしたか」
ユリエルさんがニヤニヤと笑いながら私を見る。
「もう! 早く出て行ってよ!」
「ふふふ。それでは、ごゆっくり~」
ユリエルさんは部屋の窓をすり抜けて、外に出て行った。
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