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宮園さんに何もされなかった私は、悶々とした気持ちのままベッドで横になっていた。
誰もいない保健室は妄想を掻き立てる絶好のスポットだ。保健の先生が来るか来ないかというギリギリの状況で、宮園さんと色々なことをしてみたかった。
「彼女が隣の席でよかったですね。遠い場所だと気づいてもらえなかったかもしれません」
ユリエルさんが姿を現して言った。
「もしかしてだけど、席替えのくじ引きもユリエルさんが操作したの?」
お母さんが福引で遊園地のチケットを当てた時のように、天使の力を使って私と宮園さんが隣同士になるように仕組んだのではないか。
「いいえ。私は特に何もしていませんよ。今回は本当に偶然です」
ユリエルさんは否定した。
たまたまラッキーな結果になっただけのようだ。
「そっか。まぁ、そういうこともあるよね。よいしょ……」
私は身体を起こし、ベッドの上でパンツを脱いだ。
少し漏らしてしまったので、濡れていて気持ち悪いのだ。これを履いたまま過ごすのは嫌だ。
「早く乾かす方法ないかな?」
「いきなり下着を脱ぐなんて、紗友里さんも大胆ですね。誰もいないからって油断し過ぎでしょう」
もちろん、恥ずかしいという気持ちはある。
だけど、ユリエルさんは別だ。すでに彼女にはもっと恥ずかしいところを見られてしまっているので、今さらパンツくらいで気にしたりはしない。
自分の下着姿を見られるのは嫌だけど、下着を見られるだけなら構わないのだ。
「ユリエルさん、これ乾くまで持っててくれる?」
「私を物干し竿扱いしないでください! ……と言いたいところですけど、仕方ないですね。しばらく預かっておきます」
「ありがとう」
ユリエルさんは私からパンツを受け取る。
「結構濡れてますね。二十パーセントくらい出てしまったんじゃないですか?」
「そんなに出てないよ! っていうか、分析なんてしなくていいから!」
「クンクン……。はい、普通に臭いです」
「匂いも嗅がないで!」
「あのですね。こんなものを押し付けられた私の身にもなってください。誰が好き好んで他人の尿が浸み込んだパンツを預かるというのです? これで喜ぶのは変態だけですからね」
「わざわざ匂いを確かめる時点で変態だよ」
「私が匂いを嗅ぐのは嫌がらせ目的です。こうすれば紗友里さんが恥ずかしがるのではないかと思ったので」
「やめてください……」
私は急に恥ずかしくなってきた。
「いいですか? くれぐれもノーパンであることを忘れないでくださいね。もし履いてないことが他の人にバレたら、今度こそ紗友里さんの学校生活は終わりです。変態の烙印を押されてしまいます」
「わかってるよ。教室に戻る前にはちゃんと履くから」
ユリエルさんの言葉を遮り、再びベッドで横になる。
仮病を使って休んでいる身なので、病人っぽく振る舞ってみようと思う。
私の演技力が試される。
そんなことを考えていると、ガラガラと保健室のドアが開く音がした。
先生が戻ってきたのかもしれない。
足音がこちらに向かってくる。
私は大人しく寝ているフリをした。
シャッーと仕切り用のカーテンが勢いよく開いた。
その先にいたのは保健の先生ではなかった。
「も、森さん……?!」
クラスメイトの森亜矢奈さんであった。
彼女がどうしてここに?
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