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天使を名乗る怪しい女の子が私の恋愛を手助けしてくれる。
ありがたい話だけど、もし私の恋が叶ったとして、彼女に一体どんなメリットがあるというの?
「メリットなんて関係ないですよ。私は純粋にあなたを応援したいだけです」
まだ何も言っていないのに、ユリエルさんは私が疑問に思っていることに対する回答を述べた。
「ちょっ……、勝手に心を読まないで!」
「ごめんなさい。自然と聞こえてきちゃうものですから」
それはホントに勘弁してほしい。心の声が丸聞こえだなんて。
つまり、彼女には一切隠し事できないってことだよね? プライバシーとかガン無視じゃん! そんなのってないよ。あんまりだよ。
私は泣きたくなった。
「さっきも言いましたが、他の人にバラすことは絶対にしませんから、そこは安心してください。すべて私とあなただけの秘密です」
ユリエルさんが私を慰めようとする。
「そういう問題じゃないよぉ。自分以外の人に知られるのが恥ずかしいから、困ってるんだよぉ。ねぇ、私の心の声が聞こえなくなる方法とかないの?」
「うーん、そうですねぇ。こればかりはどうすることもできませんね」
「そんなぁ」
もう無理。どこかへ消えてしまいたい。
私は多分、他の人が思っているよりもずっとエッチな子だ。だから、普段から「そういう妄想」をしてしまうことが多い。
これからは、いやらしいことを考えないようにするつもりだけど、やっぱり宮園さんのことを頭から切り離すことはできないと思う。
今まで私は宮園さんに恋をしているという自覚がなかった。いや、もしかすると気づかないフリをしていただけなのかもしれない。けれど、ユリエルさんの言葉がきっかけで、とうとう認めざるを得なくなってしまった。宮園さんのことが好きだということを。
自分の気持ちには嘘をつけない。
だから、宮園さんと「そういう関係」になりたいと願ってしまった時点で、私の妄想はすでに暴走を開始しているのだ。今さらやめようと思ってやめられるものではない。
「やめなくていいんですよ。これからも、ドンドン好きなだけ妄想しちゃってください。それが恋愛成就に向けた原動力になるのですから」
「言ってるそばから私の思考を読まないでよぉ!」
最悪だ……。考えれば考えるほど、知られたくないことをユリエルさんに知られてしまう。鬼のようなシステムだ。天使とか言ってるけど、むしろ悪魔なんじゃないの?
「悪魔呼ばわりなんて失礼ですね。あんなのと一緒にしないでください。私はれっきとした天使ですよ?」
ユリエルさんが頬を膨らませる。
「じゃあ、天使っぽいことしてよ。言葉だけじゃ信じられないもん」
天使を名乗るだけなら私でもできる。もしユリエルさんが本物の天使だというのなら、それなりの証拠を示してほしい。
「あなたを天界にお連れしたことが証拠として十分だと思うのですが、それだけではダメでしょうか?」
「ここが天界だという証拠はあるの?」
「うー……。あなた、見かけによらず面倒くさい人ですね」
ユリエルさんは困った顔をしながら、私の方を見た。
「もういいよ。とりあえず元の場所に帰して。もうすぐホームルームが始まっちゃうから」
私はどうやってここに来たのか覚えていない。そのため、教室に戻る方法がわからない。
「わかりました。では、続きは放課後に」
「まだ続くの……?」
「もちろん。私たちの関係はあなたと宮園由利香さんが結ばれるまで、ずっと続くのです」
「えー……」
嫌だ。嫌過ぎる。
どうしてこんなことになっちゃったの?
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