03
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「ご挨拶も済んだことですし、早速本題に入りましょう」
ユリエルさんは近くにあったテーブルの椅子に腰かけた。それから、私にテーブルを挟んだ向かい側にある椅子に座るように促す。
何が何だかさっぱりわからないままだけど、こうして突っ立っているわけにもいかないので、とりあえず言われた通り座ることにした。
着席して姿勢を正そうとしたところで、ユリエルさんが口を開く。
「松浪紗友里さん。あなたは今、クラスメイトの宮園由利香さんに恋をしていますね!」
ウインクをしながらユリエルさんは言った。
「こ、ここ……恋……?!」
私は動揺した。思ってもみなかったことを指摘されたからだ。
宮園さんに恋をしている? この私が?
そんなことあるわけないじゃん。いきなりどういうことなの?
「ふふふ。お顔が真っ赤ですね。可愛らしい反応を見せていただき、ありがとうございます。ユリエルは眼福です。それだけでご飯三杯はいけちゃいます」
「ち、違います! 恋なんかじゃありません! 私は宮園さんと仲良くなりたいだけで……」
咄嗟に否定する。この天使さんは勘違いをしている。
私は宮園さんと恋人同士になりたいと思っているわけではない。普通の友達になりたいのだ。
「おやぁ? 往生際が悪いですねぇ。恋じゃなければ何だというのです? あなた、さっき心の中で叫んでいたじゃないですか。宮園由利香さんとエッチなことがしたいって」
ニマニマと笑いながらユリエルさんが言う。
「なっ……!」
顔がカッと熱くなるのを感じた。
どうしてそんなことまで……。他人の心を読めるなんて聞いてないよ。
「恥ずかしく思う必要はありません。悪いことではないのですから。もちろん、誰にも言いふらしたりはしませんよ。私は恋する女の子の味方です」
優しいのか無神経なのかわからないけど、悪い人ではないみたい。
でも、恥ずかしいものは恥ずかしい。彼女は私が他人に知られたくないことまで知っているのだ。
「本当に誰にも言わないでくれますか……?」
「もちろんです。天使は嘘をつきませんし、人の心を弄ぶような真似はいたしません」
ユリエルさんのことを完全に信用したわけではない。だが、ずっと一人で悩んでいても仕方ないので、ちょっとだけ相談してみようかなと私は思った。
「どうすれば宮園さんと仲良くなれるかな?」
一番の悩みを解決したい。憧れの宮園さんとお近づきになるためには、具体的に何をすればいいのか。アドバイスがもらえたら、少しは前に進むことができるかもしれない。
「それを一緒に考えるのが私の役目です」
そう言って、優しく微笑むユリエルさん。
なぜだろう。彼女の笑顔からは心強さと不気味さの両方を感じてしまう。
ユリエルさんは私の味方だと言っている。多分それは本心だ。では、なぜ私に協力するのだろうか。
私は彼女には何か裏の目的があるような気がしてならなかった。
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