表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合×百合オペレーション  作者: 平井淳
第一章:ドキドキ放課後勉強会作戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/90

36

感想をお待ちしております。

 廊下で待つこと約五分。着替えを済ませた紗友里と由利香が部屋から出てきた。


「お待たせ。終わったわよ、麻衣さん」

 

 由利香は大きく膨らんだビニール袋と小さな黒い袋を手に提げていた。


 大きい袋の中には濡れてしまった紗友里のスカートや下着が入っているものと思われる。袋の口はしっかりと結んであった。


 黒い袋には濡れた体を拭くために使用したティッシュペーパーか何かが入っているのだろう。こちらも口は固く結ばれた状態である。


 由利香はこれらをすべて持って帰るつもりのようだ。衣類はともかく、ゴミは教室のゴミ箱にでも捨てておけばいいはずなのだが、自分で出したゴミは自分で始末するべきだと考えているのだろう。さすがは宮園家の令嬢だ。礼儀やマナーへの意識が高い。


「あの……すみませんでした。着替えを用意していただいて、ありがとうございます」


 おどおどした様子で赤いジャージ姿の紗友里が言った。

 彼女は麻衣に向ってペコリと頭を下げる。


 麻衣は紗友里を見て、純粋で大人しそうな子だという印象を受けた。

 こげ茶色のセミロングヘアをした小柄な少女。素朴でとても可愛らしい見た目をしている。


「初めまして。小田原麻衣と申します。いつも由利香様がお世話になっております」

「い、いえ……。こちらこそ宮園さんに仲良くしてもらえて嬉しいです。あ、私は松浪紗友里といいます」

「今後とも由利香様のことをよろしくお願いいたします、松浪様」


 麻衣は深々とお辞儀をした。

 主人の大切な友人だ。これからも二人には良好な関係を保っていてほしい。


「今日はお家まで送るわ。学校の前に車が停まってるから、松浪さんも乗って」

「え、でも……」

「もう外もすっかり暗くなったことだし、一人で歩いて帰るのは危険だと思うわよ。松浪さんは可愛いから、変な人に誘拐とかされないか心配なの」

「かっ、か、可愛い……?」


 顔を赤らめる紗友里。

 両手で顔を覆い、恥ずかしそうに俯いた。


 何だこの可愛い反応は……。

 麻衣は紗友里を見て、とある危機感を覚えた。


 これは反則だ。あまりにも可愛すぎる。


 あざとさを感じさせない天然な仕草。小動物のような愛くるしさと澄んだ瞳。

 彼女に惹きつけられない者などいないだろう。


 非常に心配である。由利香は紗友里に夢中になってしまうのではないか。いや、すでに夢中になっている可能性もある。ひょっとすると手遅れかもしれない。


 まだ間に合うなら、今ここで正気に戻すしかない。


 まずは由利香の状態を確認する。

 特に異常はなさそうだった。いつもと変わった様子はない。


 それでも油断はできない。要注意人物として紗友里をマークするべきだ。この先、由利香が変な気でも起こしたら大変である。


「松浪様。どうぞ遠慮なさらず、お乗りください」


 麻衣の方からも乗車を勧める。

 早速、車の中で紗友里の様子を観察しようと考えたからだ。


「は、はい……。じゃあ、お願いします」


 断り切れなかった紗友里は、大人しく宮園家の送迎車に乗ることにした。


「松浪さんのお家はどの辺りなのかしら?」

「えっと、学校のすぐ近くだよ」


 紗友里と由利香が廊下を歩き始める。

 麻衣は後方から二人の様子をジッと見つめながら、彼女たちをゆっくりと追うのだった。


お読みいただきありがとうございます。

感想をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ