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宮園さんはにこやかな表情のまま、再びお弁当を食べ出した。
私の一言で彼女が喜んでくれた。私の発言が彼女に影響を与えたのである。
ただのクラスメイトに過ぎなかった私が彼女の心を動かした。これはとても大きな前進だった。
いい流れだ思う。しかし、まだ満足はできない。
いずれ宮園さんの頭の中を私との思い出で埋め尽くしたい。寝ても覚めても私のことを思い続けてほしい。彼女には私だけを見てほしい。
そのためには、もっともっと努力しなくちゃ。
私は宮園さんに気に入ってもらうためなら、どんなことでもするつもりだ。
彼女のために私は生きる。
彼女が私のすべてなのだ。
もし宮園さんが一緒に死んでほしいと言ったら、私も死ぬ。
殺してほしいと言ってきたら、彼女を殺して私も死ぬ。
病気や事故で宮園さんが亡くなったら、私もすぐに後を追う。
彼女がいなければ生きる意味などない。
――永遠に一緒だよ。
たとえ、魂がこの世から離れても私は宮園さんと共にありたい。
地獄の底でも私は彼女を愛し続けるだろう。
死んでも絶対に彼女を離さない。
行き過ぎた愛だと自覚している。どう考えても私は異常だ。
でも、自分の想いに嘘はつかないと決めた。
後悔だけはしたくないから。
私たちはほぼ同時にお弁当を食べ終えた。
食欲が満たされた宮園さんは「ふぅ」と息をつく。
この時を待っていた。
やるなら今だ。
「あのっ……宮園さん」
私は進む。この恋を必ず実らせるために。
「何かしら?」
言うんだ。私の方から。
ここで勇気を振り絞らなければ、自分は幸せになる資格なんてないと思っている。
だから、逃げない。
「私と友達になってください」
宮園さんとの関係を進展させる。
まずは友達から始めるのだ。
「何言ってるの……?」
「え?」
宮園さんは不思議そうな顔をした。
私はサッと血の気が引いていくのを感じた。
彼女に申し出を拒否されると思ったからだ。
「私たち、もうとっくに友達でしょう」
「あ……うん」
杞憂だった。
彼女はすでに私を友人として認めてくれていた。
なんだ、よかったぁ……。
身体の力が抜ける。
さっきまでの緊張が嘘のようだ。
「一緒にご飯まで食べてるのよ? 友達じゃなかったら、これってどういう関係になるのかしら」
「あはは……。そうだよね」
言われてみればそうだった。
私は苦笑いをする。
「言っておくけれど、私は本当に仲良くなりたい人としか食事をしないわよ。誰でもいいわけじゃない。それに、部活に勧誘したのも松浪さんだけ」
「他の人は誘わないの?」
「誘わない。松浪さん以外の人はいらない。松浪さんだけがいればいいの。この部活を作ったのは、放課後に松浪さんと二人きりになるためだから」
宮園さんはとんでもないことをサラリと言ってのけた。
私は危うくそれを聞き流すところだった。
私と二人きりになるために部活を作った……?
どうしてそこまでするのだろうか。
そして、なぜ私なのか。
「ごめんなさい。やっぱり我慢できそうにないわ」
宮園さんは椅子から立ち上がる。
顔が紅潮しており、息も荒かった。
「我慢?」
「全部私が悪いの。私が臆病で意気地なしだから、こうすることしかできなかった」
何が言いたいのかまったくわからない。
彼女は急にどうしてしまったのだろう。
「弱くて情けない私を許してね、松浪さん。今だけ……今だけだから……」
「みっ、宮園さん?!」
彼女が私に覆いかぶさってきた。
勢いに押された私は椅子から落ちて背中から床に倒れ込んだ。
仰向けに寝転がる私に宮園さんが馬乗りになる。それから、両手で私のそれほど大きくない胸を鷲掴みするのだった。
少し痛い。だけど、すぐに握る力は弱くなった。加減をしてくれているみたいだ。
「んあ……」
消え入りそうな声を上げる私。
今までに味わったことのない感覚が神経を伝い、脳を刺激する。
宮園さんはこれから私をどうするつもりなのだろう。
戸惑いと不安の裏に潜む期待と悦び。
好きにしてほしかった。こうされることをずっと望んでいたのだから。
「抵抗……しないのね。それって、受け入れてくれたってことでいいのかしら?」
興奮混じりの笑みを浮かべながら、宮園さんは言った。
いつもの彼女ではない。あの清楚で穏やかな優等生は、ここにはもういない。
彼女は私のブレザーのボタンを外した。続けて、その下にあるワイシャツのボタンも外す。
私の胸元が露わになった。彼女はそこを目がけて顔を埋める。くすぐったい。
いつかはこういう関係になりたいと思っていた。でも、まさかそれが今日だとは微塵も考えていなかった。
宮園さんの手は私のスカートの中にまで及んだ。
誰かに触られるのはもちろん、これが最初である。
スルスルと下着を脱がされる。私は腰を浮かせて脱がしやすい体勢を取る。
気が早い、なんて言うつもりはなかった。
すべては宮園さんの思い通りにしてほしい。
彼女の指は止まらない。
私は黙ってそれを受け止めた。
味わったことのない強烈な刺激が全身をビリビリと駆け巡る。
もしも私の身体が電気回路だったら、今頃とっくにショートしていただろう。
「んくっっっっ!」
両手で口を塞ぎ、声を抑える。
やがて快感は頂点に達し、私は背中を逸らしながら痙攣するのだった。
衝撃が過ぎ去った後は、しばらくぼんやりとしていたが、やがて意識が遠のいていった。
まるで強制的に眠らされるような感じがした。
その後のことはよく覚えていない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「松浪さん。そろそろ起きて。昼休みが終わってしまうわ」
宮園さんの優しい声で私は目を覚ます。
なんと私は彼女の膝の上で寝かされているではないか。
慌てて飛び起きる。
宮園さんの前で居眠りしちゃうなんて……。
寝顔を彼女に見られていたのかと思うと恥ずかしくてたまらない。
「ご、ごめんねっ!」
「いいのよ。それにしても、とても気持ちよさそうに眠っていたわね」
そういえば、さっきまで夢を見ていた気がする。
でも、よく思い出せない。
「教室に戻りましょうか」
宮園さんは笑顔で言った。
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