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百合×百合オペレーション  作者: 平井淳
第一章:ドキドキ放課後勉強会作戦

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感想をお待ちしております。

 今から宮園さんにラインでメッセージを送る。


 これが正真正銘の初めてのやり取りだ。どんな文面にしようかと、あれこれ悩んでいたが、結局ユリエルさんからのアドバイスに従うことになった。

 

『松浪です。よろしくお願いします』


 出来上がったのは、何の捻りもない至ってシンプルなメッセージだ。

 本当にこんなのでいいのか不安になってくる。しかし、ユリエルさんは問題ないと言う。


 私はそれを何度も読み返した。誤字や脱字はないか。変なところはないか。


 何度見ても、これ以上は手直しする箇所が見つからなかった。


 ウジウジしていても埒が開かない。

 いよいよ私は覚悟を決めることにした。


「じゃあ、送るね……」


 震える指で送信のボタンをタップする。

 

「……送っちゃった」


 緊張のせいで鼓動が早くなっている。

 たった一言のメッセージを送っただけなのに、かなりの気力と体力を消耗してしまった。


「さぁ、どんな返事が来るでしょうか」

「無視されたらどうしよう?」

「向こうから誘ってきたのですから、さすがにそれはないでしょう」


 だよね……。

 宮園さんはきっと返事をしてくれる。私のアカウントを友だち登録してくれるはずだ。


 ラインを通して彼女と仲良くなれるかもしれない。大きなチャンスが転がり込んできた。これを逃してはならない。


 私は送信後もスマートフォンの画面を見ていた。すると、送ったばかりのメッセージに「既読」の文字が付いた。


 宮園さんがメッセージを読んでくれた。

 ここから彼女がどんな風に反応するのか気になるところだ。


 さらなる緊張が走る。

 宮園さんは今、どんな顔でメッセージを読んでいるのだろう?


 彼女は私のことをどう思っているのかな? ただのクラスメイト? もしかしたら、いつも一人で過ごしている暗い子だと思ってるかも……? 悪い印象を持たれていたら嫌だなぁ。


「あ、返事来た!」

「早かったですね。どれどれ……」


 二人でスマートフォンの画面をのぞき込む。


『連絡ありがとう。こちらこそよろしく。仲良くしましょう』


 仲良くしましょう。

 宮園さんは私と友好的な関係を築く気があるようだ。


「よかった……。ホントによかったぁ……」


 肩の力が抜けるのを感じた。

 私はそのままベッドの上に寝転がった。


 今日はとてもいい日だ。灰色だった高校生活が一気に彩られていくような気分である。


 宮園さんにほんの少しだけ近づくことができた。まだまだ道のりは長いけど、私にとっては大きな前進だった。


 ラインの「友だち」に「宮園由利香」のアカウントが追加される。

 彼女の名前がそこにあるだけで、私は胸が熱くなるのだった。


「ふふふっ……。友達かぁ」

「紗友里さん、嬉しそうですね」


 嬉しい。本当に嬉しい。

 あの宮園さんと繋がりを持つことができたのだから。


 明日からは学校でも宮園さんと話せるかな?


「そう。まずはそこです。宮園由利香さんとおしゃべりをするためには準備が必要です」

「準備って、何をしたらいいの?」

「作戦を考えました。今から説明します」


 作戦という言葉を耳にした私は再び緊張し始めるのだった。

 スマホからメッセージを送り合っただけで浮かれている場合ではない。


 本番はここからである。

 私は身体を起こし、ベッドから降りた。


お読みいただきありがとうございます。

感想をお待ちしております。

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