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この世界がいずれ滅ぶことを、俺だけが知っている  作者: 灰島シゲル
二章

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91/351

あとは任せました



 ウェアウルフとの戦いは佳境に迫っていた。

 『剛力』を使用し上昇した筋力はウェアウルフの耐久を破り着実にダメージを与えていく。


 しかし、ウェアウルフもただでやられるわけではない。


 その拳や蹴りを幾度となく明の身体に叩きつけ、振るわれるその爪は明の身体を引き裂いた。



(『剛力』と『疾走』の残り時間は……。どちらも十秒未満かッ)



 スキルの名前を口に出して、明は素早くその残り時間を確認する。

 次にステータス画面を開くと、残された魔力値を確認した。



(残り魔力38。ウェアウルフの速度を上回りながら、剛力を使用できる回数はあと一回のみ。あとはもう、ジリ貧になってしまうッ!!)



 焦りが心の中に広がり、明は強く唇を噛みしめた。

 そうして、疾走の残り時間で最後の攻撃を与えようと拳を握り締めたその時だ。



「――――ショックアロー」



 戦場に響いたその言葉に、明は思わず息が止まった。

 同時に、自らの横をすり抜けるようにしてウェアウルフへと迫る光の矢に、誰が放ったのかすぐさま気が付く。

 矢は、明と同じく拳を握り締めて今まさに振るわんとしていたウェアウルフの顔にぶつかり、破裂した。

 同時に凄まじい衝撃が襲い、その身体を着実に仰け反らせる。

 これまでに見たことがないその威力に、明は思わず目を瞠った。

 しかし、このチャンスを逃すわけにはいかない。

 すぐさま動き出した明は、握り締めていた拳を引いて、その手に力を込める。


 ――ビキビキと。握り締めた明の手にいくつもの筋が浮かび、筋肉が肥大して膨れ上がった。



「――――っ!」



 足を、腰を、肩を、腕を。

 その全てを一つにつなげるように、明は『剛力』状態での全力の拳を、ウェアウルフの身体へと叩き込む。


 ――ゴッ、バキバキッ!! 


 肉を圧し潰す感触と、骨を砕きへし折る確かな音。

 ウェアウルフは声を出す暇もなく、吹き飛ばされると、地面を跳ねるように転がった。

 それを見た明は、すかさず奈緒へと指示を飛ばした。



「奈緒さんッ! 斧を衝撃で俺に飛ばしてください!!」


 その言葉に、奈緒もまた明の狙いが分かったのだろう。



「ショックアロー!!」



 すかさず吐き出されたその言葉によって飛び出した魔法は、狙い違わず斧の傍の地面へと命中して衝撃が弾ける。

 その衝撃によって吹き飛んだ斧は明の傍へと落ちて地面を転がった。


「ッ!」


 すかさず、明は斧を拾い上げる。

 同時に発動していたスキルが切れたことに気が付き、明は『疾走』と『剛力』を発動させて、地面を蹴った。



「ぉおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」



 叫び、頭上に掲げた斧を振り払う。

 ウェアウルフは突撃してくる明に気が付き、その斧を回避するように身体を捻った。

 だが、その行動を予見していたかのように、発動していた奈緒の魔法の衝撃が、ウェアウルフの身体を仰け反らせる。



「グルルルルァァァアァァァ!!」 


 ウェアウルフが怒りに燃える声を上げた。



「れんそう、しゅうげき!!」



 そしてまた、攻撃スキルを発動させる。

 振るわれるその爪の連撃に明の斧は軽くいなされるが、それでも明は、ウェアウルフよりも高くなったその筋力で、強引に斧の軌道を修正する。

 ウェアウルフの連撃による最後の蹴りと、明の振るった斧が互いの身体を捉えるのは、ほぼ同時だった。



「ガァ――――」

「ぐっ――――」



 蹴りは明の肋骨を砕きながら肺をも潰し、刃はウェアウルフの身体を半ばまで切断して止まった。

 強引に軌道を修正したことでその威力が削がれていたのだ。

 ウェアウルフは『残念だったな』とでも言いたそうな表情で、ニヤリとした笑みを浮かべると至近距離にまで迫った明の首へと手を伸ばした。

 おそらく、そのまま首の骨をへし折ってくるつもりなのだろう。

 そう思いながらも明は、身動き一つせずにニヤリとした笑みを浮かべると、ウェアウルフを見つめた。



「何か勘違いしているみたいだが……。俺()()の攻撃は、まだ終わっちゃいねぇぞ?」


 明がその呟きを漏らすのと、奈緒がその言葉を呟くのはほぼ同時。



「ショックアロー!!」



 銃口から飛び出した矢はウェアウルフの背中に突き刺さると、その衝撃によって刃がまたズブリと沈み込んだ。


「じゃあな」


 呟き、明はその腕を振り抜いた。



「グぁ――――」



 ウェアウルフの身体が両断されて空高く宙を舞う。

 だが、半身となったウェアウルフはまだ足掻く。驚異的な生命力は、簡単には絶やせない。

 怒りに燃えるその瞳は明を捉えると、噛み殺さんとばかりに牙を剥く。

 しかし明は、そんなウェアウルフから視線を逸らすと、疲労と安堵が混じった大きな息を吐きながら、満足げに笑った。



「あとは、任せました」

「ああ、任された」



 短いやり取り。

 けれど、互いを信頼したその言葉に、明は口元に笑みを浮かべた。



「ショックアロー!!」



 吐き出されたその言葉に、空を舞っていたウェアウルフの身体は地面に落ちることなく、衝撃で更に飛び上がる。

 同時に、それがトドメとなったのだろう。

 軽やかな音が周囲に響き渡り、その画面は明の前へと表示された。




 ――――――――――――――――――


 レベルアップしました。

 レベルアップしました。

 レベルアップしました。

 ……………………

 …………

 ……



 ポイントを13獲得しました。

 消費されていない獲得ポイントがあります。

 獲得ポイントを振り分けてください。


 ――――――――――――――――――


 C級クエスト:ウェアウルフが進行中。

 討伐ウェアウルフ数:1/1


 C級クエスト:ウェアウルフの達成を確認しました。報酬が与えられます。

 クエスト達成報酬として、ポイントが50付与されました。


 ――――――――――――――――――


 七瀬奈緒のシナリオ【あなたと共に】が進行中。

 七瀬奈緒と共に討伐したボスモンスター撃破数1/1


 七瀬奈緒のシナリオ【あなたと共に】の達成を確認しました。報酬が与えられます。

 シナリオクリアの達成報酬として、七瀬奈緒に固有スキルとポイントが与えられます。


 ・固有スキル:不滅の聖火 が七瀬奈緒に与えられました。

 ・ポイント100が七瀬奈緒に与えられました。


 ――――――――――――――――――


 ボスモンスターの討伐が確認されました。

 世界反転の進行度が減少します。


 ――――――――――――――――――


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― 新着の感想 ―
[良い点] やったぜ奈緒さん
[良い点] 奈緒さんの雌伏からの覚醒は熱いですね〜 [気になる点] シナリオ攻略で明に利点はないのですか? [一言] 2章完結?お疲れ様でした! とても面白かったです、黄泉がえりは無くなったが事情を理…
[一言] ほー?シナリオクエストの報酬に固有スキルでござるか
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