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鬼畜陛下の愛され侍女  作者: 瑜月
18/25

17・湯殿のひらめき(陛下目線)と湯殿の怪(キャロル目線)

・湯殿のひらめき


たゆたゆと湯が揺れるのをぼーっと見ている。


なぜ、キャロルはわたしの腕に落ちてこないのだろう。

どうしたら、私に満面の笑みを向けて笑ってくれるのだろう。

今日の反応を見ても私に興味がないのは明らかだ。


湯につかったままため息をつき、天を仰ぐ。

湯気と白塗りの天井しか見えないが。


「…ダメだ…」


小さくつぶやく。

ダメなことばかりで、もはや何がダメなのかわからない。

数日に1回は休憩用に流行のお菓子も差し入れる。

母上にお茶会に呼ばれたと耳にすればドレスやアクセサリーのプレゼントもする。

ちゃんと彼女を好きという事も……


あれ?


「好きだ」とちゃんと言ったことあったかな?


おや?


記憶にございません。

いや、ないことはないが、それは件の黒歴史プロポーズの時だ。当然キャロルの記憶にはないだろうし、すでに時効だろう。


このせいか?


キャロルにはちゃんと言わないといけなかったのか。

おバカな側女たちは放っておいても私に愛されていると勝手に思い込んでいるが、キャロルはきっとそんなことを思ったりしないのだろう。


だってキャロルだもん。


世界で一番かわいくていとおしい女性。

私はそんなあなたにちゃんと愛を伝えてなかったのだね。

なんと愚かな。


くふふふふ。


湯から出たらすぐに伝えよう。

キャロル、私は貴女が大好きだよ。

貴女だけを愛しているんだ。

私がそう伝えれば、きっと君はいつものように真っ赤な顔をして目を見開くのだろう。

そんな彼女を私はそっと抱き寄せゆっくりと、その唇を味わおう。何度も角度を変えてついばむような優しいキス。そしてそこから彼女を味わいつくそう。


くふふふふふ。


あぁ、考えるだけで…む、息子が大きくなる。

わかっているぞ、息子よ。

さっきの女では気分もイマイチ乗り切らなかったのであろう。

そーでしょー、そーでしょー。

好きでやってるわけじゃないからね。

これからの展開に期待大になってしまい、やる気に充ち溢れすぎた息子を鎮めるために、そこそこ時間がかかってしまったのは仕方のないことだ。


----

・湯殿の怪


万が一のお風呂の事故を避けるため、私は陛下お風呂から出てくるのをぼーっと待っているわけですが、これがどうして、なかなかに長い。「すぐに出る」と陛下はおっしゃっていたのに。

正直もぅ眠いよ。

そう思いちょっとウトウトし始めたときだ。


≪くふふふふ…≫


お風呂から聞こえた声に一瞬にして鳥肌が立つ。


ふおぉぉぉぉ。


陛下? 気でも狂ったのでしょうか?

なんかブツブツ言ってるっぽいけど、よく聞こえません。

いや、プロ侍女たるもの、主人の独り言に聞き耳を立てるなどはしたないことをしてはいけません。


≪くふふふふふ…≫


ぞわわわわ


二回目の笑い(?)にまたもや鳥肌が。

えーん、こわいよー、不気味すぎる。

とりあえず、私は少しお風呂から遠ざかる。

出てきた気配を感じたら拭きに行けばいいか。

変な笑い声が出るくらいには元気で生きているという事だ。

私はフカフカなソファーにぼふんと座る。


誰も見てないからちょっとくらいいいよね。


久々の更新になってしまってすみません。

またゆるゆると更新していきたいと思います。

よろしくお願いします。

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