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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第十五章 捜査開始から

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第87話 予想されていた衝突

 その時、突然カウラの携帯端末が着信を告げた。取り出したカウラの端末には発砲するかなめとそれを見ながら端末をのぞきこむランの姿があった。


「銃撃戦?中佐!大丈夫ですか!いったい何があったんですか!」 


 思わずカウラが叫ぶのを聞くとランは苦笑いを浮かべた。


『西園寺の馬鹿がやりやがった!アイツにはこっちからは撃つなって言っておいたのに!相手は甲武軍の駐留部隊だ!厄介な奴等とぶつかっちまった!』 


 そう言うとランは画面から離れてサブマシンガンで掃射を行う。そして全弾撃ちつくすとマガジンを代えて再び端末に向かった。


『隊長には連絡したから向こうの発砲も収まるだろうが……どうせ拘束されるから身柄の引き受けに来てくれ。あの馬鹿娘。何も自分の国の甲武相手に撃つことはねーだろうに。確かにアイツはお姫様だからそのままVIP扱いしてくれるかもしれねーが、付き合って営倉に入るアタシの気持ちにもなれって言うんだ』 


 ランは銃撃を続けながら通信を切った。


「駐留部隊と撃ち合い……何やったんだ?あの無鉄砲が。しかも相手は甲武か……ここの甲武軍は西園寺が嫌いな貴族主義者の『官派』の人間が多いと聞く。西園寺もVIP扱いは期待しない方が良いな」 


 そう言うとカウラはメロンソーダを飲み干してホルダーに缶を差し込む。そのままエンジンをかけて車は急加速で租界の入り口へ向かう幹線道路へと走り出した。


「甲武軍か。これは隊長の大目玉は確実だな。まあ隊長は怒るところを見たことが無いからどう起こるのか見てみたい気持ちもしないでもないが」 


 カウラはそうつぶやくとさらに車を加速させる。カウラの『スカイラインGTR』は瓦礫を運ぶトレーラーの群れを避けながら進んだ。再び端末に着信を知らせる音楽が流れた。


「頼む、見てくれ」 


 そう言われるまま誠はカウラから端末を受け取った。そこには死んだ魚の目の嵯峨が映っていた。嵯峨はいかにも面倒なことに巻き込まれましたと言っているようにけだるそうに頭を掻いた。


『おう、神前か。甲武軍の基地に向かってるところか?』


 間の抜けた嵯峨の声が端末のスピーカーから最大音量で響いた。


「ええ、今急行しています。出来る限り穏便に対応するつもりです」 


『うむ。そうしてちょうだいよ』 


 誠の返事を聞くと画面の中で嵯峨は静かに頷いた。


『駐留軍とはやりあいたくは無いんだけどな、いつかは世話になるかもしれないし。だが起きたものは仕方が無いよね。ベルガー、連中の身柄の引き取り、頼んだぞ。あくまで穏便にな。甲武の『官派』はあまり刺激するな。それとかなめ坊はあまり特別扱いするなよ。連中を刺激することになる。なんと言ってもかなめ坊は連中が対立している現宰相で『民派』の首魁、西園寺義基の娘なんだ。そのことを考えて対応してくれ』 


「了解しました!」 


 カウラはそう言うとマニュアルシフトのギアを切り替えた。


「理由は?なんで撃ちあいなんかに?」 


 誠は浮かんだ疑問を嵯峨にぶつけてみた。かなめは銃を持ち歩かないと気が済まない性癖は有るが、実際に発砲することはあまり無い。そのかなめがあっさり発砲したのにはそれなりに訳があるのだろうと誠は考えた。


『ああ、そうか。説明してなかったな』 


 画面の中で嵯峨が頭を掻いていた。急ハンドルを切ってカウラの『スカイラインGTR』は幹線道路に飛び出した。カウラはダッシュボードからパトランプを取り出すと天井に点灯させそのまま租界へと向かった。


『例の志村とか言うチンピラを追って甲武軍の資材管理の部署までたどり着いたんだそうだ。今日はそこの調査に出るって話だったんだが。定時連絡ではそこで不審な経費の明細を提出している士官がいるって事で二人はその人物の身柄の確保に動いたんだ。だが、この状況からしてその士官が所属している部署どころか駐留軍の部隊長クラスが経理の不正処理を指示していたんだろうな。恫喝交じりで当たってくる軍人さん相手に土壇場になってかなめ坊がたまらず拳銃を抜いたんだそうな。正当防衛って線で甲武軍とは話をつけたいんだが……難しいよね。まあ面倒なことになったら俺に振ってよ』


 そう言うと嵯峨は通信を切った。カウラのスポーツカーの向こうには租界の入り口のバリケードが見えた。急ブレーキで臨検の兵士の直前でカウラは車を停止させた。バリケードの影から殺気だった兵士達がわらわらと沸いてカウラの急停車した車を囲い込んだ。


「これは穏便には済みそうにないな……別の国の軍の話だと言うのにかなり殺気立ってる」


 さすがにいつもは強気のカウラも兵士達の緊張した面持ちに冷汗をかいているのが誠からも見えた。



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