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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第十四章 官庁街と租界

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第80話 核心へはまだ遠く

「租界の中、あそこで何かあったみたいですね。地獄だ地獄だ言いますが……やっっぱりあそこは本当にアウトローだらけの無法地帯なんですね」 


 島田がカウンターで大盛りの白米だけを盛ってかき込み始めたかなめに声をかけるが、かなめは無視してそのままテーブルの中央に置かれていた福神漬けをどんぶりに盛った。


「まあ、かなめちゃんがあの調子ってことは何か掴んだみたいね」 


 隣でカレーを食べていたサラもそのかなめの奇行を眺めているだけだった。


「こっちはぼちぼちってところだ。期待していた程度の成果はなんとか挙げられた。で、そちらの首尾はどうなんだ?」 


 カレーを盛ってきたランがそう言って茜の正面に座った。明らかにご飯の量が異常に多いのはランが辛いものが苦手だということも誠は知ることが出来ていた。


「正直芳しくはないですわね。管轄の警察署や湾岸警察、海上警備隊の本部にも顔を出して情報の共有を計る線では一致したんですけど……まあ、あえて言えば協力を断って来た同盟厚生局が目立ったくらいですわね。あの断り方は何かありそうですけど……同じ同盟機構の組織としてはあまり疑いたくない組織ではありますわね。それに厚生局の背後には遼北人民共和国が有ります。東和とは前の大戦で支援を断った事が有る因縁の国です。できればそこにたどり着くことだけは避けてもらえるとありがたいのですが……」


 茜の表情は冴えなかった。予想していたこととはいえ、役所同士の折衝となるとどうしても摩擦しか生じないものなのは誠にも最近分かってきた。お互いの領分を犯されることに異常に恐怖するのが役人の性格と言うものだった。そして役人は背後に強い権力があるとなると豹変して高圧的な態度で臨んでくる。恐らく厚生局の役人達も祖国の影響力を背景に威圧的に茜達に接してきたのだろうと誠は思った。 


「租界に絡むことは同盟駐留軍の領域だから駐屯軍に聞いてくれって煙にまかれたわけだ。たしかに租界があそこまでの無法地帯なのは汚職万歳の駐留軍のおかげだからな。それを見てみないふりをしてきた責任を今更取らされると聞かされていい気になる方がどうかしている」 


 どんぶりを置いたかなめの一言。茜は力なく頷いた。


「駐留軍の汚職のお金の一部も恐らく今日行った監督官庁の役人には流れてますわ。あそこは東和でも本来は清廉潔癖な人が選ばれるべき部署であるべきなのに。来ているのはどれも左遷された二線級ばかり。本当にこの国の在り方に怒りを感じる一日でしたわ。それに厚生局のあの高圧的な態度。一応、医療と人の命を守るお仕事をしているのに、その自覚があるのか疑いたくなるような対応でしたわ」


 正義は弁護士として活動してきた過去を持つ茜はそう言って折衝相手の役人達の腐敗堕落した様に憤りを隠すことが出来ずにいた。


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