表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第十章 複雑な大人の事情

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/206

第56話 背広組の役人が見せたいもの

「そんな連中の事件の話は別としてだ。なんだよ、見せたいものがあるんじゃないのか?俺の興味を引くものなんだろうな……つまらないものだったらいくら『駄目人間』の俺でも怒るよ」 


 その言葉を聞くと嵯峨の顔を見て恥ずかしそうに笑った後、高梨はそのまま作業を続けた。


「偶然なんですよね。たぶんこれは撮った方も撮られた方も気づいてはいないと思いますし、証拠としては使えない資料なんですが……もしかしたら兄さんの役に立つんじゃないかと思って……」 


 そこには労働関係の役所の資料であることを示す刻印のある中層ビルの崩れた鉄骨の写真があった。高梨はその一角、鉄骨の合間に見える外の光景を拡大していった。長髪の男が写っていた。これは以前誠達を喫茶店で襲撃したマルチタスクの能力を持つ法術師がまさに誠達を襲撃しようとしている瞬間を写した写真だった。


「確かに証拠資料にならないね。これがこの前ラン達を前に法術のデモンストレーションを見せた悪趣味な奴か?確かに悪趣味そうな面だわ。人間性の悪さがにじみ出てる。人間こうはなりたく無いもんだ」 


 そう言って嵯峨は引き出しに手を伸ばした。言葉はふざけている割に嵯峨の表情はどちらかと言えば緊張していた。


 舞う埃の中から取り出したのは三枚の写真。散らばる書類の上に嵯峨はぞんざいにそれを広げた。


 写っているのはどれも長髪の目つきの鋭い男だった。それは先ほど高梨が見せた画像と同じ人物が写っていた。


「同じ人物だな。どれも嫌な顔しているな。会いたくないよ、こういう面をした奴とは」 


 嵯峨はそこに写る長髪の男をじっと見つめた。


「兄さん。別に兄さんの好みを聞いているわけじゃ無いんだ。それよりこの人物……気になりませんか?僕もこの顔には見覚えがあるんですよ……確か、高校時代の歴史の資料集に出ていたような……」


 腹違いの弟である高梨の言葉に堅い表情を浮かべる嵯峨の顔に緊張が走った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ