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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第九章 法術師対策と捜査

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第50話 リロード弾を使用する『特殊な部隊』

 そこでは技術部の女子下士官が弾丸を薬莢に差し込む作業を続けているのが見えた。


「一々リロードしてるのか?まあそうだろうな。神前のルガーだって弾は工場装弾じゃないって話しだし。毎月毎月ご苦労なこった」 


 かなめはそう言うと誠の顔を見た。厚い眼鏡の小柄な女性下士官がそれぞれの使用している銃を並べた。


「えーと、じゃあクバルカ中佐」 


 そう言って超小型拳銃を眼鏡の女性は取り出した。ランが歩み出るとそこには銃と予備マガジンが二本。それに見慣れないハングルの書かれた箱に入れられた弾丸が置かれていた。


「こいつか……。マジで使えるのか?」 


 ぎりぎりカウンターに届く背のランが銃を手に取ると、慣れた手つきでスライドを引いて超小型な愛銃PSMのマガジンを叩き込んでスライドを閉鎖した。


「一応、アメリカ陸軍の法術研究の資料から引いて作成したものですから大丈夫だと思いますよ。干渉空間をやや無効化できる効果があります。ですので、あの干渉空間の展開する銀色の壁をぶち破る効果があるのではないかと言うのが実験結果から分かっています。アメリカも法術研究にはかなりの予算を割いてますから。まあ最新のデータはくれるような国では無いですがね」 


 おどおどと眼鏡の下士官が答える。弾丸の弾頭は見慣れたフルメタルジャケットの金色ではなく鈍く光る銀色の弾頭だった。


「マジで銀の弾丸かよ。狩るのは吸血鬼か?それとも狼男か?本当に干渉空間をぶち破るのか?でもそれが普及して敵もこれを撃ってくるようになったら神前の特技が無くなるじゃねえかよ。技術の進歩って奴にも困ったもんだな」 


 かなめが皮肉めいた言葉を吐いた。だが、女性下士官は相手にしないでランにジャケットの下にもつけれるようなショルダーホルスターを渡した。


「じゃあ、次は嵯峨茜警部」 


 事務的な言葉に反応して茜が踏み出す。その目の前に女性下士官は大型のリボルバースミスアンドウェッソンM327を差し出す。


「おい、今時リボルバーかよ。そんなにジャムが怖いのか?」 


 そう言うかなめを一瞥すると茜も箱に入った357マグナムの特製の弾を手にする。


「一応これでもリボルバーとしては大容量でシリンダーに8発入るんですけどね……。スピードローダーは必要ですか?」


 火器担当の下士官の言葉に茜は笑顔を返した。


「それもお願いするわ。弾は多いのに越したことは無いですもの」 


 茜にさらに丸い器具が渡された。茜はすぐに弾薬の蓋を開け、素早く弾を手にした銃のシリンダーを開くと一発一発弾を込めていった。


「じゃあ、クラウゼ少佐」 


 待っていたかのようにアメリアが踏み出した。そしてごつい拳銃をカウンターの眼鏡の女性下士官から受け取った。


「何度見てもP7M13は珍妙な銃だな」 


 かなめはからかうような調子でアメリアの一見変わった見た目の銃をそう評した。確かに誠から見てもその銃の形は誠の見慣れた拳銃のイメージとは異なって見えた。


「珍妙?改めてそう言われるとしゃくに障るわね。これは正義の銃!私にぴったりの銃なの!何度言ったら分かるのかしら」 


 予備マガジンを見ると誠と同じ9ミリパラベラム弾が装弾されていた。


「ああ、神前曹長。この弾だともしかすると相性が悪いかもしれないですから、神前曹長のは別に用意しました」 


 まるで誠の心を読んでいたかのようにその下士官は言った。


「私のACP45弾は?」 


 カウラの言葉を聞きながら下士官は彼女の銃1911と予備マガジンを取り出してカウンターに並べた。


「45口径でないとストッピングパワーが期待できないってか?カウラも心配性だな。おう、アタシのは?」 


 急かすようなかなめの言葉にうんざりした顔の下士官が手にいつものかなめの銃、スプリングフィールドXDM40を持って現れた。


「おい、どこが……ってスライドがステンレス?そんなのメーカー在庫にあったのか?それともステンレスから削り出して作ったのか?叔父貴もマメだね……ステンレスの鋼材からスライド一つ削り出すなんて本当に叔父貴は暇なんだな。まあ、アタシ向けだ。良いものに越したことはねえ」 


 そう言って技官から銃を受け取るとかなめは何度か手に握って感触を確かめた。


「少し……いや、かなり感触が変わってるぞ。やっぱりスライドをステンレスにするとスライドの動きに粘りが出るな。これが吉と出るか凶と出るか……」


 かなめは銃を何度も構え直しながら、その重心のわずかなずれも感知してそうつぶやいた。


「まあスライドを替えたこともありますけど法術対応のシステムを組み込んだんですよ。前から西園寺大尉が頼んでたじゃないですか!」 


 火器担当下士官は忘れられたと言うような自分の言葉にムッとすような調子でそう言った。


「そうだったっけ?」 


 かなめの回答に下士官は呆れたように天を向いた。法術師としてすでに名が広まっている母の西園寺康子。そのことを考えればかなめに多少の法術師の素質があっても当然だと誠は思うが、一方でカウラは少しばかりさびしいような顔をしていた。部下の下士官がマガジンと弾を取り出したのを見ると言葉を吐こうとしたカウラの口が閉じる。


「40口径よね。いつも高いと思ってたけど、いくらぐらい9ミリより高いわけ?」 


 自分の銃とホルスターがなじむのを狙って皮製のホルスターから銃を出したり入れたりしていたアメリアが先ほどの眼鏡の女性下士官に詰め寄る。


「このシルバーチップなら同じくらいだと思いますよ。ケースはどちらもリロード品ですし……プライマーの値段もたいしたこと無いですから。最近は遼州星系じゃあ銃関係の規制が緩くなっていますから。市場ではかなりだぶつき気味なんですよ。ああ……拳銃持ち込み禁止の東和には関係ないですけどね」 


 そう言う相手を疑うような目で見た後、アメリアは何度も手にした銃にマガジンをいれずに構えの型をとるかなめを見つめた。


「すると、コイツで撃てば干渉空間を撃ち抜ける。それなりの法術効果が得られると言うことなんだな」 


 かなめの言葉に下士官はおっかなびっくり頷く。それを見てかなめは手にした拳銃にマガジンを叩き込みスライドを引いて装弾した。


「じゃあ、班長」 


「銃ねえ……俺は苦手なんだよな……」 


 下士官がにんまりと笑った。その顔を不審そうに島田が見つめた。技官からは島田に見慣れない小さい銃が渡された。


「確かにコンパクトな奴を頼んだけどさあ。こんなに小さいの?もっと銃らしい銃が良いんだけど」 


 そう言って島田はまじまじと自分に渡された銃を見つめた。それはラーナの使っているシグザウエルP230に似ていたがどこと無く古風な雰囲気の拳銃だった。


「ああ、それはモーゼルHScです。一応弾は380ACPだから護身用としてはぎりぎりのスペックですから。どうせ班長は前線部隊じゃないんだからそれで十分ですよ」 


 下士官の言葉が終わると再び彼の部下が弾薬とマガジンを取り出した。


「なるほどねえ。確かにこれなら持ち運びは便利そうだわ。威力は期待できそうにないけど。やっぱり隊長の私物か?」 


「そうですよ。あの人の嵯峨屋敷には相当な量の銃のコレクションがあるらしくて、そこから引っ張り出してきているみたいなんです。まああの人は小遣い三万円ですから新しく買うなんてできるわけがありませんが」


 そうたずねる島田に下士官は返事をするとブリッジクルーが使っている銃であるベレッタM92FSを取り出してサラを呼んだ。


「弾だけの交換ね。私は楽ちんでいいわね」 


 サラはそれを受け取るとジャケットを脱いでショルダーホルスターをつけた。


「それでは神前」 


 そう言って神前の前に特徴的なフォルムのパラベラムピストルが置かれる。


「いつも思うんだけどこれってルガーじゃないのか?どっからどう見てもルガーじゃん。ルガー以外の何物でもないじゃん」 


 島田の言葉に呆れたように無視して下士官は誠に予備マガジンと弾のケースを渡した。


「神前。これは専用だからなお前の。他の銃のと混ぜるなよ……まあお前の銃の弾は他の人のでも撃てるけどお前の銃に関しては俺は保障しないからな」


 技術部の下士官はそう念を押して誠に銃を手渡した。誠はおっかなびっくりそれを手にと取ると不器用にマガジンに弾の装填を始めた。


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