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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第六章 誠がもたらした『世界』

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第35話 人口法術師計画

「僕が何か?」 


 見つめられた誠はただランの意図が読めずに立ち尽くすだけだった。


 誠は何も言葉にできずに立ち尽くしていた。黙り込む誠達を見てランは難しそうな顔をして話を切り出した。


「これから話すことはアタシの憶測だ。かなり希望的要素があるからはじめに断っとく」 


 見た目はどう見ても小学校低学年の女の子のようなランが極めて慎重な物言いをするのに違和感を感じながら誠はランがラーナの端末に手を伸ばすのを見ていた。


「そもそもこの法術暴走を人為的に繰り返している組織が東和で行動を始める必要がどこにあったのか。アタシはまずそこを考えたわけだ」 


 そういうとランは再び言葉を選ぶように黙り込む。彼女は小さな腕を胸の前に組んで考え込んだ。


「どこの組織も管理していないと言うことならベルルカン大陸の失敗国家のレアメタルの廃鉱山や麻薬の精製基地なんかでやるのが一番だ。利権だの国際法規だの、人体実験マニアをとっ捕まえるのに障害になることは山ほどある……何より『ビックブラザー』の監視から逃れることができる……良いことずくめだ」 


 ラーナの手元のモニターにベルルカン大陸が映る。先日のバルキスタン事変でも同盟軍の治安維持行動をめぐり西モスレムと東和が同盟会議で非難の応酬を繰り広げるようになったことは、その同盟軍の切り札として動いた誠にもベルルカンに介入することがいかに難しいかを感じさせていた。


「それに手っ取り早くデモンストレーションをするならはじめから覚醒している人材を使えば良いだろうな。誠に突っかかったアロハの男。東和でアタシ等に挑戦するように法術のマルチタスクを見せ付けた奴、そしてバルキスタンでなぜか誠を助けた炎熱系法術に長けた術師」 


 そこまで言うと再びランは深呼吸をした。緊張が誠を黙らせている。ランは言葉を続ける。


「アタシ等に喧嘩を売るってことなら例の連中みたいに完成された法術師をぶつけるのが一番手っ取りばえーよ。でもこの事件では法術を実用的に使えるような人物は表には出てきてねーわけだ」 


 そこまで言ってランは頭を掻きながら誠を見つめた。


「つまり今の段階ではこの組織……まあアタシはある程度のでかい組織が動いていると見ているんだがね。その組織の連中には正直そこまでの技術はねーだろうな。確かに実験のラインには乗らなかった規格外品だとしても、司法執行機関も馬鹿じゃねーからな。そう遠からず手は後ろに回るわけだ。だがばれたとしてもすでに十分成果を挙げている……それかばれても問題を握りつぶせるようなお偉いさんがつるんでいる……なんて状況を考えちまうんだよ」 


 そう言ってランは頭を掻いた。


「現在の彼等の技術ではこれまで私達を襲撃したような法術師は作り出せない……以前神前を襲った法術師のグループとは別の組織が動いていると?」 


 カウラはいつにない強い調子でランに迫る。


「でも、つながりがねえとは思えないな。どちらも活動開始時期が誠の法術の使用を全宇宙に中継したころから動き出したわけだ。しかもこの東和を中心に動いている。バルキスタンの件も司法局実働部隊の活動を監視していたって事は東和の地と無関係とは思えないしな」 


 かなめの指摘に誠も頷いた。


「となると、アメリア。さっきお前さんが言ったローラー作戦は危険だぞ。研究の成果がばれてもいいとなれば自棄になった連中が虎の子のより完成度の高い人工的に作られた法術師が動くことになるだろーな。対応する装備の無い所轄の捜査官に相当な被害が出ることも考えなきゃいけねーや」 


 そう言ってランはこの事件の捜査責任者である茜を見上げた。


「そうですわね。とりあえず捜査方針については同盟司法局で再考いたしますわ。それと、誠さんにはしていただきたいことがあってここに来ていただきましたの」 


 茜は真剣な視線を誠に投げた。そしてその意味が分かったと言うようにかなめとカウラ、そしてアメリアが沈痛な面持ちで誠を見つめる。誠はその目を見てそしてランが見つめている誠の剣を握りなおした。



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