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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第四章 東都都庁別館

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第21話 導かれる地下への道

「それじゃあ今度は地下ですわね」 


 全員がパスワード入力を済ませると再び廊下をエレベータへと進む。電子戦のプロである技術部の将校連でもない限り解けないと言うセキュリティーを施すほどの機密。誠は不謹慎な好奇心に突き動かされて茜の後ろに続いた。


 相変わらずエレベータルームにも人の気配が無かった。


「これだけの機密ってことは……本当に俺等が来て良かったんですか?法術特捜の権限で入れるとして……でも俺とサラは法術特捜の関係者じゃありませんよ」 


 前線部隊ではない技術部整備班長の島田が頭を掻く。そして運用艦『ふさ』の管制オペレータであるサラも同じように頷いた。


「ごらんいただければわかりますわ。遠くない未来、それは秘密でもなんでもなくなる。でも今は秘密にしておかなければこの社会が壊れる。丁度『法術』の存在が明らかになった時と似ていますわね」 


 それだけ言うと茜は黙り込んで誠の顔を見て笑った。


 法術の存在を明らかにした男。それが他でもない自分自身である自覚は誠にもあった。


 茜が自分を見た後訪れたその突然の沈黙に誠の好奇心は再び不安に変わった。エレベータのドアが開いて一同は乗り込む。最後に乗ったラーナがエレベータにポケットから出したキーを差し込む。


「隠し部屋かよ。さらに厄介だ」 


 島田の一言にランの鋭い視線が突き刺さる。驚いた島田はそのままサラを見てごまかした。動きだしたエレベータの中。浮いたような感覚、そしてすぐに押しつぶそうとする感覚。パイロットの誠には慣れた感覚だが、それがさらに不安を掻き立てる。


 そして当然のようにドアが開いた。薄暗い廊下。壁も天井もコンクリートの打ちっ放しで、訪れるものの不安をさらにかきたてる。あえて救いがあるとすれば若干の人の気配がするくらいのことだった。


 廊下に出た茜に続くと、誠はそこで白衣を着た研究者のような人達が行き来する活気に心が救われる思いだった。



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