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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第四十二章 最後の敵を目の前に

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第195話 吊り橋効果ごっこ

「なんだ!またつり橋効果ごっこでもやる気か!まったくベルガーの奴は学習能力が島田並みだな」 


 そこにはいつものタレ目を吊り上げてカウラをにらみつけるかなめの姿があった。


「何を言い出すんだ!西園寺。私は諦めずに任務を遂行した部下をだなあ……」 


機動隊が一斉に残骸に向けて走り出し、計測器具を抱えた捜査員達が誠の機体に取り付いて調査を開始していた。


「でもよう。あんまりにもひどい結末だって思わねえか?おそらく人身売買の被害者の生存者はいねえ。しかも研究をしたスタッフも被害者に引け目なんて感じちゃいねえんだ。ほとんどの面子が刑期を終えても自分がやったことが悪いことだなんて言わねえだろよ。結果が厚生局の局員全員総入れ替えってことで済む話じゃねえ。問題は遼北のどこまで責任問題が波及するかだ。最悪、同盟からの遼北の離脱なんてこともあり得るな」 


 そう言いながらかなめはぬるぬると粘液を引きずりながら調査を続ける鑑識達を見ながらタバコに火をつけた。冬の北からの強い風に煙は漂うことなく流されていった。


「かもしれねーな。恐らく厚生局に多くの人員を派遣している遼北人民共和国政府は同盟加盟国から指弾されるだろう。でも、責任追及はそこまでしか出来ねーだろーな。遼北が同盟を離脱すれば同盟は終わる。厚生局の暴走が遼北の本国の指示で行われたのかどうかは永遠に闇の中だ……アタシ達にできるのはそこまでだ」 


 ランはそう言ってかなめの吐く煙に目をやった。埃が舞い、誠はそれをもろに浴びてくしゃみを連発した。ランはそんな誠を一瞥するとばたばたと身体に巻いていた銃のマガジンや手榴弾のポケットがやたらと付いたベストを外してはたいた。その後ろからはまるで亡霊のように表情もなく付き従ってきた茜や島田の姿も見えた。


「濁官の害、正官のそれに如かず。悪党や薄汚れた金を集めて喜ぶ連中は御しやすい。むしろ恐れるべき、憎むべきは自分を正義と信じて他者を受け入れない連中だ……と昔の人は言ったそうだが。至言だよなー」 


 そう言って幼女の見た目の割に読書家のランはベストを外して投げ捨てた。茜達もようやく安心したように装備を外してどっかと地面に腰を下ろした。


「ちっこい姐御。さすがにインテリですねえ」 


「褒めても何もでねーよ……と言うかそれ褒めてるのか?」


 ランににらまれてかなめは目をそらしてタバコをくわえた。誠の口にも自然といつものような笑みが戻るのが分かった。そして同時に誠の首に何モノかがぶち当たりそのままつんのめった誠はカウラの胸の中に飛び込んでいた。突然の出来事にカウラもかなめもアメリアもただ呆然と首をさする誠を見つめていた。


「お疲れ!」 


 それは誠に延髄切りを放ったランの右足のなせる業だった。島田は無反動砲の筒を手にして呆れている。西は出来るだけ騒動と関わらないようにと後ずさった。


「お疲れじゃねえよ姐御……神前もなんとか言え」 


「ははは……とりあえず平気なんで!」 


「あのさあ……誠……」 


 頭を覆う暖かい感触で誠は我に返る。それがほのかな膨らみのあるカウラの胸だとわかり、誠は彼女から離れて直立して敬礼する。


「失礼しました!」 


「ふふふ」 


 その様子がこっけいに見えたらしくカウラは笑顔を見せる。誠は空を見上げた。そこには丸い月が浮かんでいた。



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