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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第三十七章 用済みの研究者

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第169話 違法研究者の末路

 カウラは挑戦的な視線を送る片桐博士に感情を殺したような視線を送っていた。かなめはそもそも目を合わせることもせず、天井にタバコの煙を噴き上げていた。


「それが違法研究に流れたアンタの理屈か?つまらねえことで人生棒に振るもんだな。アンタにはこのマンションも租界のゲットーと変わらねえ価値しか無かったってことか」 


 ようやく落ち着いたかなめは片桐博士に冷たい視線を向けた。


 その時、外に響くサイレンの音が近くまで来て止まった。それを合図に片桐博士は静かに立ち上がった。そのままふらふらと半開きの扉に向かう彼女を立ち上がってかなめが監視していた。


「大丈夫よ、自殺したりはしないから。ちゃんと知ってることはすべて話すつもり。嘘を話しても今更どうなるものでもないですしね。それに私の供述程度ではあなた方は厚生局をどうすることもできない。役所の力関係と言う悲しいサガがあなた方を苦しませることになる。それに遼北本国が絡んで来るとなれば同盟機構の足かせがどうしても邪魔になってあなた達は身動きが取れなくなる。それは少し残念ね」


 その挑戦的な視線に怒りをこめたかなめの視線が飛んだ。


「こういうときが来たらこれを渡したくて。どうせ機動隊や一般警察の鑑識が知っても意味の無い情報でしょうからね。これを使えば、もしかしたら役所の力関係とやらが逆転する私としては面白い展開が見られるかもしれないわ。期待してるわよ」 


 そう言って部屋に入った片桐博士はそのまま一枚のデータディスクをかなめに渡した。外では物々しい装備の機動隊員が装甲車両から降車して整列している様が見えた。


「あんな連中を呼び出すような物騒なものの研究をしていたんだ。少しは反省……って。その面じゃ無理か」 


 頭を掻くとかなめは再びどっかと元のリビングの椅子に腰掛ける。その手からディスクを受け取ったカウラは自分の携帯端末をポケットから取り出してディスクを挿入した。


『こちら、東都第三機動隊!状況を報告せよ!』 


 ディスクの内容を確認しようと端末を操作中にカウラの端末から機動隊からの通信が入った。


「こちらは同盟司法局法術特別捜査本部第一機動部隊長、カウラ・ベルガー大尉。法術研究に関する同盟法規第十三条に違反する容疑者の確保に成功。別に違反法術展開の現行犯の容疑者が逃走中。データを転送します」 


 事務的に答えたカウラを片桐博士が皮肉めいた笑みを浮かべながら眺めていた。


「不思議ね、あなた達。人造人間、サイボーグ、異能力を持った非地球人類。なのになんでそんなに仲良くできるのかしら?コツでもあるの?私には無理。私はどこまで行っても力の発揮する見込みのない遼州人に過ぎないもの。力のある人と対等に話をするなんてできないわ」 


 誠はこのとき初めて片桐博士の本音が聞けたような気がした。


「馬鹿じゃねえのか?そんなことも分からねえなんて」 


 すぐさまかなめはタバコを片桐博士が差し出した灰皿ではなく自分の携帯灰皿に押し付けるとそう言ってよどんだ笑みを浮かべながら答えた。


「アタシ等がそんな身の上を思い出すときはそれぞれの長所が見えたときだけだからだよ。いつもはただの人間同士の暮らしがあるだけだ」 


 ドアが開き強化樹脂製の盾を構えた機動隊員がなだれ込んで来る。彼らはサブマシンガンを構えながら片桐博士を見つけると銃口を向けて取り囲んだ。


「あなた、名前は?」 


 取り囲む機動隊員が目に入っていないかのように静かに笑いながら片桐博士はかなめにそう言った。


「法術犯罪防止法違反について署までご同行願いませんか」 


 かなめの答えを待たずに機動隊を指揮していた巡査部長が片桐博士の手にそう言って逮捕令状を見せた。そのまま両脇を機動隊員に挟まれて部屋を後にする彼女を黙ってかなめは見送っていた。


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