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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第三十六章 異質な襲撃者

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第164話 『革命家』との再会

 その瞬間だった。強烈なプレッシャーに襲われた誠はそのまま意識が引いていくのを精神力で無理やり押さえつけて立ち尽くした。明らかに力を持った何者かが誠が無意識に展開していたテリトリーの中に入って来た。しかもその存在は常に強力な法術を展開している。その感覚は日頃の閉所戦闘訓練で学んだ誠の得た新しい力だった。


『なんだ?この感覚……覚えている。たぶんどこかで感じた事が有る感覚だ……しかもこれはかなり強力な法術師の放つ感覚だ……相手に気付かれなければいいけど……』 


 脳に直接届くような波動。誠は深呼吸をした後、静かにその長身を生かして入り口に一人の男が立っていることを確認した。そしてその顔が誠の脳裏に刻み付けられた男のそれであることがすぐに分かった。


『北川公平……あの海で出会った自称『革命家』』 


 忘れもしない。夏の海への旅行の際に誠を襲った法術師であった。干渉空間展開を得意としたその戦い方は誠の比ではない実力を誇る法術犯罪者だった。そしてその男は誠に向けて法術師の支配する世界の為に一緒に働かないかと言ったのも思い出した。恐らく、今、この男は誰かそんな理想を持った強力な法術師の手下として動いているのだろう。そのことは紛れもない事実だった。


『なんであの男が?こんなところに?いや、決まってる。これは偶然なんかじゃないぞ。あの女の人のところに行く気だ……でも何をしに?アイツが探しているのは法樹脂であって研究者じゃない……つまりアイツは誰かの指示であの女のところを訪ねようとしている』 


 何も知らないというように北川は店内を見回していた。この男に襲われてから誠は法術の展開をするのに隠密性を重視した方法とるようにランから伝授されていた。実際、ちらちらと誠の顔は北川から見えているはずだが、北川はまるで誠の存在を知らないとでもいうようにかごを手に雑誌の置かれたコーナーへ向かった。


 感応通信で北川の存在をかなめ達に知らせようとして誠はためらった。


 北川の能力、それがどの程度なのかは誠も知らなかった。法術師の戦いでは自分の手の内を晒した方が負ける。それはランから聞かされた法術師の戦いの鉄則だった。事実、茜の法術特捜の覚醒法術師の保存データに彼の名前は存在しなかった。その顔が誠に知れたのは北川はかつて反政府学生活動家として活動しており、その逮捕歴が東都警察に残っていたと言う偶然があったからだ。


 誠はそのまま入り口に向かい、買い物籠を手にしながら北川を監視していた。北川は漫画雑誌を手にとって読み続けていた。そのまま誠は調理パンの置かれた棚に移動しながらちらちらと北川の監視を続けた。


 誰かに見られているということを悟った北川が振り向くのを見て誠はそのまま頭を引っ込めて棚に体を隠した。運良く北川は誠を察知できなかったようで再び雑誌に視線を落とした。


 誠はそのままかなめ用に焼きそばパンとコロッケパン、そして蒸しパンを手に取り、自分用にとんかつ弁当を手に取るとそのままレジへと向かった。


「いらっしゃいませ」 


 高校生くらいのバイトの店員が誠からかごを受け取って清算を始めた。その動きを見ながら誠は手に備え付けの紙皿と呼ぶには深さがある容器を手におでんの容器を見下ろした。


 とりあえず煮卵、はんぺん、牛筋、こんにゃく、大根。それを次々と掬い上げ、そのままレジに運んだ。バイトの店員は慣れた手つきで清算を進めていた。誠はちらりと振り返り、北川を見た。


 まるで何事も無いように北川は雑誌を見ていた。誠の存在に気付いたような様子は見受けられないのが誠にとっては幸いだった。


「2350円です!」 


 バイトの店員の前にカウラから貰った三千円を置いた。店員はすぐにレジに札を磁石で貼り付けた。誠はその動作を見ながらちらりと北川に目を向けて早足で店を出た。響く国道を走るトレーラーのエンジン音に押されてそのまま元来た路地に曲がって坂道を進む。銀色のカウラの『スカイラインGTR』を見つけ、そのままどたどたと駆け寄ると派手に助手席のドアを開いた。



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