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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第三十三章 科学と進歩のもたらすもの

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第153話 策士からの手向けの品

 退職願を提出し終えた誠達に嵯峨は一枚のデータディスクを手渡した。


「こいつは餞別……枝、つけるんじゃねえぞ……俺なりのヒントって奴。狙いは同盟厚生局って決まってるんだ。そこんところを考えて行動してみなよ」 


 その言葉を聞くと敬礼して見せたランに付き合って誠達は敬礼をした。その表情は厳しいものだった。誰もしゃべらずにそれぞれの車で寮に戻った。


 真剣な表情で図書館に向かう。非番の隊員が二人でゲームをやっていたがそのランの厳しい表情にすぐに頭を下げてゲームの電源を落とすとそそくさと出て行った。


 アメリアのゲーム機コレクションに本体を出したもののまるでソフトが出ずに終わったゲーム機。当然コレクションのためだけにアメリアが買ったというわけで通信設定はされておらず、しかもデータのスロットはぴったりのものだった。


「隊長もよくこんなの知ってたわねえ。誰がバラしたのかしら?もしかして金がなくなった時にここの食堂に食べ物をたかりに来たこととかあるの?」 


 設定をしている島田を見ながら誠達は映像が映し出されるであろう大型モニターに目をやっていた。


「コーラ持ってきたんすけど……飲みますか?」 


 ラーナが気を利かせてサラと一緒にコップを配った。一同はコップを受け取りながら笑顔で画面を見つめていた。


「こういう時は紅茶の方が良いんですけどねえ。私は炭酸は苦手なのよ」 


「贅沢言うなら飲むなよ。下の食堂に行って自分で紅茶を入れろ……ってこの食堂に紅茶なんて気取った飲み物はねえか」 


 茜とかなめが笑いあう。アメリアはいつものようにBL同人誌を堂々と読んでいて隣ではらはらしているカウラを挑発していた。


「はい!電源!何が映るか見モノってところだ。駄目隊長!頼りにしてますよ!」 


 島田の一声でモニターの正面に正座していたランが身長が足りないので伸び上がった。


 画面が灰色に染まった。それが暗い実験室のようなものと分かるのに十秒くらいの時間がかかった。


「隠し撮りだな……通信はつながってるな。だから枝はつけるなってことか……島田、慎重に操作しろよ。これはリアルタイム映像だ。この通信に厚生局の連中が気づけばすべて終わりだ」 


 かなめの言葉にさらに緊張が走った。音声は無かった。画面は人間の腰あたりの高さくらいだった。暗いのはカメラの性能のせいであるらしく、手術台や実験器具が鈍く光り輝いているところから見て暗い場所ではないことはわかった。


「これじゃあ場所の特定はできないんじゃないですか?何のためにこんな場所に付けたんですか?もう少し見やすい場所に付ければいいのに」 


 誠はそう言ってまだ画面の内容が分からないことに不満を漏らした。


「馬鹿だな。特定できる証拠を掴んでいたらとうに遼南レンジャーが突入しているはずだろ?ライラさんには叔父貴も一目置いてるからな。このデータも持っていると考えるのが妥当だろう。山岳レンジャーはこの画像を見てもその意味を理解できなかった。でもアタシ達ならできる。叔父貴はそれだけアタシ等を買ってくれてるんだ」 


 そう言うとタバコに手を伸ばそうとするかなめだが、その手をランが叩いた。


 急に画面が変わったカメラの前にドアが映り、さらに廊下が見えた。人影は無く静まり返る廊下をカメラの視線はただ映しつづけた。


「結構な規模の施設だな。ここの寮よりよっぽど壁も新しい。手入れや掃除がしっかり行き届いている。闇研究の場所としてはふさわしくないな」 


 黙り込んでいたカウラが言葉を呑んだ。沈黙が支配する画像の中でどこまでも続いていくように暗く染められた廊下が続いている。ところどころに銀色のカートのようなもの、そして白衣の人影がその周りに動いているのが分かった。


「隊長は言いたかったのは……」 


「そう言うことなのね」 


「なるほど……見方を変えろってことか」 


 ラン、茜、アメリアが納得したような表情を浮かべたことに誠は驚いてその顔を見比べた。



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