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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第二十四章 汚れた出資者

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第129話 出資への見返り

「口約束?書面なら取り交わしたはずですが。完成されて制御可能な法術師になります。三人ほど選びましたよ。従順でありながら的確な判断ができて、それでいて好戦的な性格。遼州人にはなかなかいない性格の持ち主ですよ。同じ法術師としてはあなたのような無力な人間に従うように調教するのに骨が折れました。俺ならあの連中の教育なんてものはとてもじゃないが勤まらない仕事だった。我々の専門スタッフに感謝してもらいたいものですね」 


 桐野の笑みにカーンも満足げにディスクをかざして見せた。


「それは重畳(ちょうじょう)。だが、能力的にはどの程度のものなのか、それが気になってね。実際に私の目の前でその能力とやらを見せるためにこのロケーションを用意したわけだから、それなりの成果を上げることが出来る程度の性能は持っていると考えるべきかな?私を満足させることが出来るのかな?厚生局と違って、君達には」 


 カーンはディスクを胸のポケットに入れると興味深そうに桐野を見つめた。口を手で拭う無作法を自覚しているような笑みを浮かべる孫四郎はその視線を外へと向けた。


「なあに、その為にうってつけのデモンストレーションとして厚生局の役人を騙してあの化け物を起動させたんですから……あの醜い塊を作り出した厚生局の連中は自分の非力を察することでしょう。連中はこちらの用意した覚醒済みの法術師に対抗できる駒は作れない……技術の限界って奴ですか。連中とはこれでおさらばしましょう。役人は所詮役人。犬は犬。里心がついて飼い主の元に戻られては後々面倒だ。遼北人民共和国それと東和陸軍もそうだ。連中も所詮は飼い犬だ。飼い犬は飼い犬らしく飼い主の言うことを聞いていればいいのに、たまに逆らってみせる。そのツケはその命で贖ってもらう。それが家畜の運命と言う奴ですよ」 


 その言葉でカーンも桐野が主である『廃帝ハド』の意図ではなく、独自の判断で今行動し、法術師の納入までこぎつけたのだろうと言うことを悟った。そして立ち上がったカーンは階下で東和警察の機動隊とにらみ合う制御に失敗して暴走を始めた法術師の成れの果てに視線を向けた。


「なるほど。君の上司には感謝しなければな。いや、感謝以上の事を君にしてあげる必要があるようだ……君は何を望むかね。もし君のもたらすものが私を満足させるものだとしたら何でもしてあげて良いくらいだ」


 カーンの問いに桐野はただ不敵な笑みを浮かべるだけだった。


「感謝……金で買える感謝は感謝のうちに入るんですかね。それに俺個人の望むものなど何もない。少なくともあなたは俺の欲するものを持っていないし今後も手に入れる見込みもない」


 桐野はそう言って笑った。カーンはその様子を一瞥すると満足げに笑みを浮かべてワインを飲み干した。


「じゃあ、見せてもらおうじゃないか。出資に見合う法術師の活躍とやらを」


 カーンはワイングラスを窓際のテーブルに置くと、暴走する法術師の成れの果てにカーンが望む変化が訪れるだろうと気がやってくるのを楽しみに待つことにした。


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