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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第二十二章 『特殊な部隊』の先輩

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第115話 遼帝国名物は『うどん』

 西のゲームが滅亡で終わったのを確認するとランが手を叩いてみせた。


「オメー等、西をからかうのもいい加減にしねーと昼おごってやんねーぞ!食通のアタシのおすすめの店だ。本当にうめーんだから期待しとけよ!」 


 にらみ合うカウラとかなめに向かってランはそう言って立ち上がった。全員の視線が彼女の幼い面差しに注がれた。


「クバルカの姐御のおごりか……旨い店なんだろうな。寿司か?ウナギか?天ぷらか?」


 かなめはランが食通なのを知っているので明らかにこれまでの不機嫌を吹き飛ばす勢いで元気よくそう言った。


「あのー僕達は?僕達にもおごってくれるんですよね?」 


 バッドエンドの画面が映し出される端末を見ながら西とアンがランを見上げた。


「オメー等はおごらねえ。西。お前は休暇中だろ?しっかり休め。アンもそうだ。いい加減その物騒な友達ともおさらばしろ。ここは平和な東和なんだ。戦争だらけのベルルカン大陸じゃねーんだよ」


 ランはそう言って西の肩を叩いた。そして視線をアンの持って来たカラシニコフライフルが入っている大きめのカバンに向けた。 


「また僕には秘密ですか?捜査の関係の事ですか?僕も一応司法局実働部隊の隊員ですよ。知る権利くらいあると思うのにな……」 


 西の反論を無視してランはそのまま部屋を出て行った。


「ランの姐御のおごりか……楽しみだな……何が食えるのかな……」 


 いかにも楽しそうな表情のかなめの顔を見上げたランの目には自信がみなぎっているのが誠にもわかった。ランは相当自信のある店に連れていこうとしている。誠はそのことを確信した。


「いつもすみませんね。おごってもらってばっかりで。でも、本当にランちゃんのエンゲル係数ってどうなってるのかしら?まあ、お金のかからない趣味しかないし、住まいはあの御仁が提供してくれているから家賃もかからないし……それにお給料もこの中では一番高いもんね、ランちゃんが。そう考えると食べることと飲むことにお金をかけるのは当然かもね」


 アメリアは部長職と言うこともあってランには何度もおごられているらしく、楽しげにそうつぶやいた。誠はランがどうやら『あの御仁』とやらのところに居候していることをアメリアの言葉で理解した。ランは特殊詐欺にすぐ引っかかるので誰か保護者が居ないと自立できないのは知っていたのでなんとなく納得した。 


「良いって!アタシが好きでおごってるんだ。気にすんな……おっと!」 


 アメリアのゴマすりににやけた顔をしながらジャケットのポケットでランは震える携帯端末を取り出す。かなめはおごりと言う言葉を聞いてからニヤニヤが止まらないような様子だった。携帯端末の上の画面には司法局付き将校明石清海中佐の禿げ頭が映し出されていた。


『謹慎中すいませんなあ』


 少しも詫びるつもりは無いというような笑顔で局付き将校である明石が話を切り出した。


「ライラの奴。オメーのところに連絡よこしたろ」


 ランの言葉に士官は少しばかり緊張した表情を浮かべた。


『まあクバルカ先任中佐がうちに上げてきた情報を全部よこせ言うてきましたわ。うちも面子がありますよってそないなことはできませんと軽くいなしときましたけど。連中はやはり狙いを同盟厚生局に絞ったようですわ。そのままうちの手の届かん所まで調べといてくれると助かるんやけど』


「……なるほどねえ、ライラも花形の山岳レンジャーとしての実績が欲しいだろうからな。そこんとこの調整はタコの腕の見せ所だろ?それに軍事機構なら同盟組織の中でも厚生局より格上だ。アタシ等が手に入れられなかった情報が手に入るかも知れねー。そっちの方で何かわかる事が有ったら教えてくれ」


『あんじょうやっときまっさ。いやあほんま。ライラの嬢ちゃんも、手柄が欲しうて焦ってるのは分かるんやけどねえ。ワシ等にも面子ちゅうもんが有りますさかいに』 


 明石はそう言いながら自分の禿げ頭を叩いて見せた。ランは彼の言葉に安心したように頷いた。


「別にあれだぞ。情報は小出しにする分には出しても構わねーぞ。下手に隠し事をして波風立てるのもアレだからな。それに連中はアタシ等が入れなかった施設にも入れる権限を持ってるんだ。それに関する情報は積極的にくれてやれや。軍事機構様の威光とやらを見せてもらおーじゃねーか」


『分かってま。ええ感じにしときますわ』


 明石はそう言って通信を切った。


「そう言えば飯をおごるって……車は?カウラのは4人乗りだろ?」 


「アタシとラーナは茜の車で出ればいいはずだ。島田、お前はバイクでサラと行くんだろ?」 


 ランに見つめられて島田とサラは仕方なさそうに頷いた。


「でもどこ行くんですかね」 


「おう、うどんに決まってるだろ?遼南と言えばうどんなんだ。じゃあ行くぞ!」 


 通信を終えたランが力強く叫んだ。出て行く人々をなみだ目で見上げる西を無視して一同は玄関へと向かった。



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