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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第二十章 遅すぎた襲撃と権限委譲

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第106話 因縁で強権を発動する女

 指揮車の中ではオペレータが数名手馴れた調子で端末を操作していた。


「わが国の駐留軍の部隊員は非番の隊員以外は全員身柄を拘束しました。非番の隊員も東都警察に手配して身柄を拘束する体勢はほぼ整っていると言えます。すべての隊員におそらく例の組織からの裏金が流れていた可能性があります。至急、尋問して例の組織との関係の裏を取ります」 


 手前にいた女性オペレータはライラに立ち上がってそう報告するとすぐに座って端末の操作に戻った。山岳連隊隊長リョウ・ライラ中佐は静かに頷きながら奥の席に腰をかけた。


「自己紹介が中途半端だったな。私が遼南山岳部隊隊長リョウ・ライラ……」 


「ちなみにバツイチだ!子供も居ねえ。これから寂しくなるねえライラの姐さん」 


 ライラの言葉をさえぎってかなめが突っ込みを入れた。明らかに殺気の込められた視線がかなめに突き刺さった。怒りを鎮めるべく大きな深呼吸をした後、ライラは鋭い目つきで誠達をにらみつけながら話を始めた。


「法術師の違法研究の容疑でこの基地の部隊の幹部。同盟厚生局の課長級の職員の手配を済ませて現在、その行方を遼帝国の特命憲兵隊が捜索中だ。よって、これからのこの事件の捜査権限は同盟軍事機構が引き継ぐことになる。これは同盟加盟国首脳の判断だ。今後一切司法局はこの事件に介入することを許さない。茜、かなめ、悪いがすべての資料はあの伯父……いや、嵯峨惟基特務大佐経由でコピーを取らせてもらった。貴君等はすでに用済みと言う訳だ」 


 突然のライラの言葉に誠は絶句した。かなめもカウラも呆然と立ち尽くしていた。誠がアメリアを見ると、彼女は後ろを向いていた。


 そこには口を開けたままライラを見つめている茜とその脇で立ち尽くすラーナの姿があった。


「そんな横暴です!それに……」 


 同じ遼帝国の国民としてラーナは帝室の威光をかさに着たようなライラの言葉に言い返そうとした。しかし、彼女の肩を茜は押さえて黙るように示した。


「捜査権限を軍や憲兵隊に任せるのは不安だと言うんだろ?しかし、司法局は嵯峨警部に人的支援をするわけでもなく、情報開示の権限も制限して捜査をさせてきたわけだ。そんな甘い体制ではこの事件の解決には程遠いと同盟上層部は判断したのだろう。だからこれからは私がすべてを引き継ぐ。茜、頑張ったな。もう仕事は終わりなんだ」 


 ライラの声明にかなめの顔に怒りの表情が浮かんだ。


「ライラの姐さん。叔父貴に復讐したいからってやりすぎだぞ。それに同盟首脳の電話会議の結論は姐さん達もこの捜査を独自に進めると言う内容だった。アタシ等が捜査を止めようが続けようが同盟機構は関知しないって話だったはずだな。ここまで来たのはアタシ等の手柄だろ?それを礼も無しに全権限を取り上げるって……私情で動くのもいい加減にしろってんだ!」 


 そのおそらくは同盟首脳の電話会談とその後の実務者会議の議事録でものぞき見たのだろう。かなめの言葉は断定的で、その表情は挑戦的なものだった。誠はただかなめとにらみ合うライラを見つめていた。


「かなめ。私はお父様の仇を討つのは諦めたって何度言ったら分かるんだ?あの男はこの遼州圏に必要な男だ。だから生かしておいてやる。必要が無くなったらどうするかはその時考える」 


 急に事務的で無表情に見えたライラの顔が厳しくなった。



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