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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第二十章 遅すぎた襲撃と権限委譲

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第105話 『駄目人間』を敵と呼ぶもの

「早速隊長の顔が効いた訳だ……いや、違うな。これは遼帝国軍……ここの基地の絡みで動いたって訳か……これはまた面倒なことになったもんだ」 


 ランは振り返ると部下達に乾いた笑みを投げかけた。そしてそのまま急ぎ足で階段を上りきり施設の出入り口を開けた。


 輸送ヘリから次々とラベリング降下してくる兵士が目に入った。駐留軍の兵士達が次々と黒ずくめの降下してきた兵士達に武装解除される光景が目に入って来た。


「ラン!いいえ、『汗血馬の騎手(のりて)』と呼ぶべきよね。遼南内戦の時は世話になったわね。まあ、お互い敵同士としてだけど」 


 一人降下した装甲車両の脇で部下からの報告を受けているような女性指揮官が誠達を見つけて手を振っていた。誠は苦笑しながら歩いていくランを見つめていた。ランの知り合いらしい女性部隊指揮官は余裕のある表情で時折引きつった笑みを浮かべるランと話し始めた。


「あの人……なんか見たことがあるような……」


 誠はそう言ってカウラとかなめを見た。


「遼南皇家の映像が頭に残っているんだな。リョウ・ライラ中佐か。つまりこの部隊は……」 


「遼南帝国近衛第一山岳レンジャー連隊ってことになるな。ちなみにライラは敵対する遼南共和国のエースであるうちの『偉大なる中佐殿』を倒すために叔父貴が編成した第二期『特殊な部隊』のメンバーだった女だ。アタシ達の先輩にあたるわけだ」 


 かなめの言葉に緊張が走る。弱兵で知られる遼帝国軍だが、一部の驚異的な強さを誇る部隊が存在することで知られていた。そして目の前で次々と降下し展開する山岳レンジャー部隊もそんな遼帝国を代表する特別急襲部隊として恐れられる組織だった。


 ランから一通り説明を受けたようで自信に満ちた笑みを浮かべながらライラは誠達に向かって歩み寄ってきた。


「おう、紹介しとくぞ。コイツが遼南第一山岳レンジャー連隊の連隊長のアルバナ……」 


 ランがそこまで言ったところで茶色い地が鮮やかな戦闘服の女性士官がランの頬をつねった。


「クバルカ中佐?その苗字は去年の話でしょ?あの人と私は一切関係ありません」 


 にこやかに笑いながらランの頬をつねるだけつねると安心したように敬礼をした。


「遼南第一山岳レンジャー連隊、連隊長のリョウ・ライラ中佐だ!」 


 その言葉に誠達は整列して敬礼した。


「苗字が『リョウ』と言うことは……」 


 誠はリョウを名乗る女性の顔に見覚えがあることだけが分かった。


「帝家の姫君だ。つまり遼帝家の帝室に連なるお方ってことだ」 


 つぶやいた誠の耳元でカウラがささやいた。


「それでこの状況の説明は?ライラ、なんでオメエがここに来た。理由を言え。誰の差し金だ。知ってたな、ここに商品が保管されてたってことを。同盟軍事機構か、情報の出どころは。連中、アタシ等が同じ同盟機構には手を出せないことを知ってて嫌がらせをしやがる。不愉快だ」 


 そう言いながらタバコに火をつけようとしていたかなめに、明らかに殺気を込めた視線を送るライラに、思わずかなめの手が止まった。


「それについては説明させてもらう。ここではなんだ、指揮車まで来てもらおう」 


 ライラはそのまま部隊展開の報告をしようとする部下を待たせて誠達を装甲車両の中へといざなった。


「あのー、警部……」 


 誠は遅れて歩き出した茜に声をかけた。そのいつも自信にあふれていた表情がそこには無かった。青ざめたような、弱弱しいような。そんな茜の姿に誠はその肩を叩いていた。


「私のせいで……今回の捜査はこれで終わりですのね」 


 茜は後悔していた。遼帝国本国にまですでに情報が流れていたと言うことは、情報の鮮度は極めて低かったと言うことを意味していた。そこに無駄な時間を使った。操作責任者として茜は自信を失いかけていた。


「うじうじすんなよ!間違いなくここで研究が行われていたのは確かなんだ。少なくともここを引き払うのにかかった手間と時間の分だけ被害者を減らすことが出来たんだ。それだけは自信を持っていー」 


 ランが入り口で茜を一喝した。ようやく気づいた茜が指揮車の後部にある司令室に歩き出した。



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