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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『悪夢の研究』と『今は無き国』  作者: 橋本 直
第十九章 捜査権限の限界

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第100話 与えられた急襲任務

 その日の深夜。誠は一人、アサルトライフルHK53を抱えて、路地裏のごみの山の陰で待機していた。


 東都租界、同盟駐留軍第三基地。東都駐留遼帝国軍の駐在基地は目の前に見えた。魔都と呼ばれる東都租界の住民達もさすがに表立って軍の施設に近づくのは気が引けるようで、基地の入り口でたむろする警備兵以外の人の気配は感じなかった。


『なんだよ、敵兵が起きてるぞ。遼帝国軍の見張りは眠いと眠るんじゃないのか?噂を信じるとろくなことがねえな……まったくついてねえぜ』 


 感応通信でかなめが愚痴る。光学迷彩を使用して待機している彼女の姿を当然ながら誠は見ることが出来かった。


『そんなネットにしか出てこないような都市伝説をあてにするとは、腕が鈍ったんじゃないですか?連中だって給料もらってるんだ。しかもここには危ないブツが有る。そうなったら緊張で眠りたくても眠れねえのが普通でしょ』 


 裏口からの襲撃の機会をうかがっている島田の声が響いた。正面部隊への対応の指揮はラン、カウラとかなめ、そして誠が攻撃を担当する。裏門の対応には指揮は茜。それにラーナとサラ、島田が待機していた。裏門が陽動で正面部隊が今回の人身売買被害者の救出に当たる。それが今回の作戦の内容だった。


「寒いですよマジで。こんなことならカイロぐらい持ってきておくべきだったかな」 


 そう愚痴る誠だがそこに不意に光学迷彩を解いたかなめが現れて誠は驚いて銃を向けた。


「おい、その物騒な物を下げろよ。二度目のフレンドリーファイアーは許さねえからな。そん時は神前だろうがぶっ殺す」 


 実地偵察を終えて帰ってきたかなめは、誠を押しのけると後ろでライフルを抱えているランに声をかけた。


「連中目は覚めてはいるが緊張感はゼロだ。あの衛兵達、規則どおりに銃の薬室には弾が入っていないみたいだぞ。恐らくここに人身売買の被害者がため込まれているなんてことは教えられちゃいない。連中はただ決められた場所に立ってるだけだ」 


 そんなかなめの言葉にランは右手を上げた。影を静々と進む誠達。警備兵達は雑談を続けるばかりで気づくわけも無かった。


 直前、30メートル。衛兵達はまだ気づく様子は無い。ランに二回肩を叩かれたかなめは軍では禁止されているものの警察任務としては使用の許可されている光学迷彩を展開した。


 衛兵達の談笑が突然止まる。眼鏡の衛兵の首をぎりぎりと何かが締め付けていた。話し相手をしていた色黒の伍長が驚いたように銃に手をやるが何者かの足がそれを蹴飛ばした。


「今だ!一気に行くぞ!」 


 ランの声を聴くとカウラは突入する。カウラがベストから取り出した薬剤を警備兵の顔面に散布すると彼等はそのまま意識を失った。


「さて、結果はどうなるのかねえ。ちゃんと商品の管理には十分気を使っておいてくれよ。こちらとしてもその方が都合が良いんだ」 


 そう言いながら光学迷彩を解除してかなめは基地のゲートをくぐった。


 その時かなめの動きと同時に裏手からも発砲音が響き始めた。



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