46.試し切りですら驚かれる
ファルシオンを手に入れた、その日。
私は王都ハズレの山の中に居た。
用事を済ませたので、ネログーマに帰る……。
その前に、ガンコジーさんからの頼みで、ファルシオンの性能を見せることになった。
ようは、私がファルを使っているところを、ガンコジーはみたいそうだ。
後進の育成のため、そして何より、相棒を直すきっかけとなったガンコジーの頼みだ、喜んで、私は試し切りすることにした。
さて。
やってきたのは王都ニィガから南東に行ったところにある、五頭山という場所。
魔物がいる関係で、あまり人は寄りつかないそうだ。
ここなら、好きに暴れても、他人に迷惑をかけることはないだろう。
「くぅ~! うれしいのじゃっ。久しぶりにあれくに握ってもらえるっ! うれしすぎるのじゃー!」
幼女姿のファルが、うれしそうに小躍りする。
私との久々の稽古にテンションが上がっているのだろう。私も、昂揚してる。
久しぶりに相棒を握り、剣を振ることができるのだから。
「ではさっそく! 変身!」
ぱぁ……! とファルが光り輝くと、そこには白銀の鞘に収まった、美しい日本刀が空中に出現した。
私はファルを手に取る。……うん、なじむ。
「副王様! おれも触ってみてもいいっすかっ?」
ワンタ君がわくわくしながら聞いてくる。
「どうだい、ファル?」
『いやじゃ、あれく以外に触れて欲しくないわ』
「まあそう言わずに。後輩の勉強のためにさ。頼むよ」
『んも~♡ しょうがないなぁ。あれくの頼みだから、仕方なく触らせてやるのじゃ!』
ファルの了承を得たので、私は聖剣を、ワンタ君に向ける。
「すごいっす、副王様。……この剣、なんかはんぱねープレッシャーを放ってるっす。こんな凄い剣を従わせるなんて……」
ワンタくんはおそるおそる剣を手に取った……が。
ズン!
「お、重いぃいいいいいいいいいい!」
剣を持ったワンタ君の腕が、ずしゃあ! と地面に突き刺さる。
「大丈夫ですか、ワンタくん?」
「はひいいいい! でも重いぃいいいいいいい!」
大変だ、すぐに回収しないと。
水の勇者水蓮がいち早く動いて、剣を持とうとする。
が。
「「重いぃいいいいいいいいいいいいいいいい!」」
『ふん、当然じゃ。貴様らのような細腕じゃ、我を持つことすらできんわい』
水蓮もワンタくんも闘気で腕力を強化する。
それでも、ファルを持ち上げることはできないようだ。おや?
「そんなに重いですか?」
ひょいっ、と私は右手で持ち上げる。
「ぜえ……はあ……こんな重いのを、軽々持つなんて」
「やはりアレク殿、すごいのでござるよ!」
うーむ……重いだろうか、これ。
「ふと思ったんだけどさ」
とスカーレット姫が手を上げる。
「その剣って、選ばれしものしか持てないんでしょ? それって、アレクだけは重さを感じない……というか、重くならないってことなんじゃない?」
するとガンコジーさんが首を振る。
「いや、違うぞ嬢ちゃん。聖剣は確かに選ばれしものしか持てぬ。が、別に選ばれしものが触ると重さが無くなるというわけじゃないのじゃ」
「え、そうなの?」
「うむ。ファルシオンを持てるのは、持てるだけの腕力が、アレク殿にはあるということ」
「なるほど……適正者だから持てるっていうより、持つに足りる実力があるから、聖剣を持てるってことなのね。さっすがアレク!」
しかしなるほど。
ファルは重かったのか。ん?
「ファル。私はハイターに君を渡した気がするのだが?」
あの子がファルを持てるとは到底思えなかった。
『あれくの闘気剣術、軽身功をわれにかけておったじゃろう? だから、しばらくは軽く持てておったのじゃ』
「なるほど……」
するとワンタ君が首をかしげる。
「けーしんこー、ってなんすか?」
「極光剣の奥義の一つです。闘気で体やモノを包み込むことで、それらの重さを軽くする」
私はひねり出した闘気で、ファルを包み込む。
それをワンタ君に渡した。
彼はまた落とすんじゃ無いかとヒヤヒヤしてるようだったが、私を信じて、ファルを受け取ってくれた。
「お! か、軽いっす! めちゃ軽! 羽毛みたいっす!」
「なるほど、副王様。これを使えばもっと速く動けるようになるんですねっ!」
とトイプちゃんが目を輝かせながら言う。
「ええ。軽身功を覚えておくと便利ですよ。基本は白色闘気での身体強化です。闘気を動かし、軽くしたいものを包み込むようにするんですよ」
トイプちゃんがふんふんとうなずいていた。
この子なら多分もうできるようになるだろう。
「ふ、副王殿! は、速く試し切りをっ! 神器の威力を見せて欲しいのじゃ!」
ガンコジーさんがわくわくを抑えきれない様子で言う。
おっと、そうだった。
しかし、ふむ。
周りにはワンタ君たちがいる。いきなり本気出すと、危ないな。
それに、ファルを振るのも久しぶりだ。
手元が狂ってまたやらかしてしまう可能性がある。まずは少しずつだな。
「ファル。いいな?」
『是非も無い。我の使い手はおぬしじゃ』
私は……鞘に収まった状態のファルを構える。
「副王様? 鞘を抜かないんすか?」
とワンタ君。
「ええ、危ないので」
「????????」
私は鞘に入った状態の剣を、【片手】で持ち、大木の前に立つ。
太さは直径3メートル、たかさ5メートルほどの木。
私は片手で、ファルを軽く振るった。
ストン……。
「うん、良い切れ味」
「「「えええ~~~~~~~~~~~~~!?!?!?!?!?」」」
皆さんが驚いてる。
「さ、鞘に入った剣で、大木を切ったっす!?」
「そんな……鞘に入った状態の剣なんて、棒きれに等しいのに!」
確かに、普通ならそんなことできない。
「ファルなら、たとえ鞘に入った状態でも大木を切れますよ。ほら」
私は大木に近づいて、片手で持ち上げる。
「ほんとに斬れてる! すごいっ!」
「てゆーか、その大きさの木を片手で軽々持ち上げてることのほうが凄いと思うんだけどっ!?」
トイプちゃんとスカーレット姫が驚いてる。
そして、木を元の状態に戻す。
ピタッ!
「なんじゃとぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
ガンコジーさんが木のもとへ駆けつける。
そして、ファルが斬ったあとを見て、驚愕の表情を浮かべた。
「す、すごいのじゃ! 木が完全にぴったりとくっついておる!? まるで、斬られたことなんてなかったのように!?」
ふふふ。
「ファルは凄いでしょう?」
「いやいやいや! これは、剣が凄いとかじゃなく、単純に剣士として副王殿が凄いってことですじゃ!」
「? そうでしょうか。どう思います?」
すると……。
「これは副王様がすごいっす」「前にも同じようなことしてたけど、やっぱり何度見てもアレクが凄いわよ」「やっぱりすごいっ!」
と皆さんがファルでは無く、私を褒めてきた。ううん……ファルがいるおかげだとはおもうのですが。
だって鞘に入った状態の剣でこれをやるんですよ?
『あれくは木刀でも同じことができるじゃろう?』
「それは……まあ」
『ではやはり、使い手の技量が半端ないってことじゃ! さすがアレクじゃー!』
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