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27.戦神をキスして強くする

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。


 カメマンを退けた後、一同、聖域のある北を目指す。

 しかし道中、問題が発生した。


「…………」


 バーマンが、何か悩みを抱えてるようなのだ。

 闘気が激しく揺らいでるのがわかる。


 闘気オーラのゆらぎは心のゆらぎ。

 私は弟子のそんな顔を見ていられなかった。

 彼女を導く師として、私には彼女の悩みを解決してあげる義務がある。

 

「バーマン。何か、悩んでいるのですか?」

「! ……さすが、先生だぜ。なんでもお見通しか」


 バーマンは観念したように呟く。


「……アタシ、さっきから負けっぱなしじゃないですか」


 負ける?


「バーマン、いつ負けたのですか?」

「え、だ、だって魔物にやられっぱなしで」

「ああ、なるほど。それを負けだと思って、自分を責めているのですね」


 バーマンは大ざっぱな性格に見えるし、神経が図太いようにみえる。

 でもこの子も女の子なのだ。

 弱い部分もある。


「バーマン、あなたは負けてないですよ」

「で、でも……魔物になんどもやられて、先生に助けられてばかりで……不甲斐ない姿ばっかり見せてて……」


 私は立ち止まって、バーマンの頭を撫でる。


「このままじゃ、先生の評判をおとしちまうよぉ……」


 自分が弱いと、バーマンに教えていた私も弱いと思われてしまう。と思ってるのだろう。


「評判なんてどうでもいいですよ。あなたが気にする必要はない」

「けどよぉ」


 この娘は弱くない。

 今までたくさんの獣人たちを守ってきたのだから。


「自分のこれまでを否定してはいけないですよ。頑張ってきた今までの自分を、自分で否定するなんて、かわいそうじゃないですか」

「うぅ〜先生ぇ〜……」


 よしよし、と私はバーマンの頭を撫でる。


「……ありがと。先生。ちょっと楽になったよ」

「ちょっと、ですか」

「うん……やっぱり、アタシもっと強くなりたい」


 今でも十分強いのに、もっと強さを求める。

 シルフィードといい、向上心のあるいい剣士だ。


 しかし、これ以上の強さとなると……。

 ふむ。


「そうだ。バーマン。あなたに闘気を流していいですか?」

「え? でもそれって、闘気使えないやつを、目覚めさせるやり方じゃないんです?」


「実は……」


 私はシルフィードに闘気を付与した時のエピソードを、バーマンに語る。

 闘気使いに闘気を付与することで、もう一色の闘気が使えるようになると。


「す、すげえ! そんなことできるなんて! さすがだぜ先生!」

「試してみますか?」

「あ、えっと……」


 バーマンは顔を赤くして、もじもじしだす。


「どうしました?」

「え、あ、それって……その、て、手をつ、繋ぐってことですよね……先生と」

「? ええまあ。闘気は触れてないと付与できませんし」


 何か不都合でもあるのだろうか?

 バーマンは何度も手をゴシゴシとズボンのすそでふいて、恐る恐る差し出してきた。


「……お、お願いします」

「ふむ。では」


 私はバーマンの手を握る。


「あっ♡」

「あ?」

「な、なんでもない、です……」


 しゅうう、と顔から湯気が出ているバーマン。

 どうしたのだろうか。


 こんなおっさんに触られて嫌な気持ちになってる……?

 いや、でもバーマンの闘気からは私への嫌悪は感じられない。


 まあ、よくわからないが、さっさと付与しよう。

 白色闘気を彼女に流してみる。が。


「ふぅむ……」

「せ、先生……? も、もう終わった?」


「いったん中断しましょうか」

「え!? な、なんで?」

「どうやら、私の闘気が、バーマンの中に入っていかないのです」


 シルフィードのときはあっさりとバーマンの中に入って行ったのだが。

 ふぅむ、これはどういうことだろうか。


【おじさん、さっきから何やってるの?】


 精霊ちゃんが私に尋ねてくる。

 私は闘気を付与することで、相手を強くしようとしてることを言う。


【従魔契約みたいだね】

「? なんですかそれは?」


【魔法使いが魔物と契約して、下僕サーバントにする儀式のことだよ】


 なんと、そんな儀式が。


【んでね、契約するとき、主従がキッスするの。キスを通して魔力を従魔に流すことで、契約が完了。すごい量の魔力が手に入るの】


 !

 なるほど、そうか。 

 おそらくバーマンは、体外から闘気を取り入れるのが苦手な体質をしているのだ。だから、いくら外から付与しようとしても進化しなかった。


 ならば、口移しで直接エネルギーを流し込む。

 そうすれば、闘気を取り込める。


 が。


「ううん……」

「どうしたんだ、先生?」


 キス。キス……かぁ。

 この子は私に対して懸想している。


 一方で私は彼女の思いに、どう応えていいのかわからないでいる。

 そんな状態で、キスするのは、不誠実ではないだろうか。


「どうしたんだい?」

【おじさん、お姉さんにチューするか迷ってるみたい】

「ふぁ!?」


 かぁ〜〜! とバーマンがさっき以上に顔を真っ赤にする。

 闘気が揺らぎまくっていた。


「いやなら」

「いい、嫌じゃないです! でも……」

「でも?」

「……恥ずかしい」


 ……確かに子供二人と精霊に見られてる状況だ。

 そんな中でキスするのは、恥ずかしいのだろう。


「バーマンは、いいのですか? 私とキスして?」

「……はい。したい、です」

「そうですか……では、あちらの木陰で」

「…………」


 バーマンは顔を真っ赤なままこくんとうなずく。

 なんだか、従順すぎて、普段のバーマンと同一人物とは思えないほどだった。


 私はワンタくんたちに残るようつげて、バーマンを木陰につれていく。


「いいですか?」

「……はい。その、初めてなので、優しく、してほしいです」

「ええ、はい。わかりました」


 ……本当にこんなおじさんとキスしていいのだろうか。

 嫌がってないだろうか?

 パワハラみたいになってないだろうか。強くなりたければキスをしろ、みたいに。


「……先生。早く」


 んっ、とバーマンが目を閉じて、そのきれいな、みずみずしい唇をむけてきた。

 ……ここで拒否するのは、ダメな気がした。弟子を強くすると決めたばかりではないか。


 私はバーマンの肩をつかみ、唇を重ねる。


「んっ♡」


 バーマンが心地良さそうにからだをふるわせた。

 私は闘気を一気に流す。


「!?!?!?!?!?」


 びくびく、とバーマンが体を痙攣させる。

 すると。


 ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


「! ば、バーマン。あなた、三色も闘気がでてます」

「え? あ! ほ、ほんとだ! す、すげええ!」


 バーマンの体からは赤(炎)、橙(土)そして緑、(風)。

 三属性の闘気を、身に纏っていた。


 体外から流すやり方シルフィードのときは二色使えるようになった。

 まさか、キスして直接体内に闘気を流すことで、三色使えるようになるとは。


「す、すごすぎるよ先生! なんかアタシ、生まれ変わったきぶんだ!」


 三色の闘気を纏う彼女からは、今まで以上のプレッシャーを感じる。


「あ! バーマン兵士長! 大変だぁ! トレントだよ!」


 そのとき、ワンタくんが叫ぶ。

 どうやら地中から這い出てきたようだ。


 巨大な木のばけものが出現する。


「先生! アタシがやる!」

「ええ、お願いしますね」


 私でも簡単に倒せるだろうが、しかしバーマンは己の力を試したくてしょうがないみたいだ。

 ここは、活躍の場を譲ることにしよう。


「新・烈火の太刀! 一の型!」


 ごぉおお! とバーマンの大剣に炎がまとわりつく。

 炎は、青く変化した。

 

 火は温度が高くなると青くなるという。


「橙色闘気で武器の融点を高め、緑色闘気で酸素を送り、より高温の炎を使えるようになったのですね」

「うぉおお! 【青龍炎舞】!」


 バーマンが大剣をふるう。

 青い炎の龍が発射。


 それは地面を溶かしながら高速で飛翔。

 巨大な木の化け物を飲み込むだけで止まらず、木々を灼熱の炎でとかしながら、一直線に飛んで行った。


「や、やべえっす! なんすかこれ! 地面がガラスみたいになってますよ!」

「巨大な化け物が通った後みたいになってるよ! すごーい!」


 ワンタくんたちがバーマンの一撃に驚いている。


「先生!」


 バーマンは嬉し涙を浮かべながら私に抱きついてきた。


「ありがとう先生! おかげで、強くなれたよっ!」

「それはよかった」


 晴れやかな表情のバーマンを見て、私は満足だ。


「せ、先生。あ、アタシにキスしたんだからその、せ、責任とってくださいね!」


 …………ん?

 責任……?


「初めてのキスだったんですから! その、責任とってくださいね!」


 う、うん?

 責任ってまさか、その……え?

 もしかして私は、とんでもないことを、してしまったのではないだろうか……?

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[気になる点] 7話で自分からキスしてたと思いますが、初めて…?
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