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113/153

113.音を斬る



 氷猿を倒した私は、古竜を連れて東へと進んでいく。


「ううぅ……さみぃ~……」


 古竜が肌をさすっている。

 まったく。


闘気オーラで体を覆うのです」

「つってもよぉ……闘気オーラを出すと、すぐバテちまうんだよぉ……」


 古竜の体からは大量の闘気オーラがもれる。


「それは闘気オーラを体にとどめる技術が不足してるからです」

「とどめるっつっても……どうするんだよ……」


「自分の体を薄いラップで覆うような感じですね」

「らっぷ……?」


 古竜は地球人じゃないので、私のたとえ話を理解できていないようだ。


「薄氷で体を覆うみたいな感じです」

「うーん……わかるようなわからないような……」


 と、そのときである。


 ーーオアォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン……。


「なんだ? 犬の遠吠え……が……」


 がきぃん! と一瞬で古竜の体が凍り付く。

 そして次の瞬間には、ぱきぃん! と粉々に砕け散った。


「…………」


 私は白色闘気をすぐさま古竜に付与。

 砕け散った細胞達が、元通りに治っていく。

「な、な!? え、え!? な。何が起きて……? え?」


 ーーアオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


 がきぃん! 

 ぱきぃん!


 またも古竜が砕け散ったので、闘気オーラで彼女を元通りにする。


「ちょ!? マジで何!? 何が起きてるンのさっきからよぉ!」

「どうやら我々は攻撃を受けているようですね」


「我々っつーかおれひとりだけど……って、攻撃?」


 がきん! 

 ぱきぃん!


「ええ」


 ぽんっ。


「攻撃どっから……? つーかこれいったい……」


 がきん!

 ぱきぃん!

 ぽんっ。


「おそらくは音に藍色の闘気オーラ……凍結の闘気オーラを」


 がきんぱきんぽんっ!


「載せてるのでしょうね」


 がぱぽっ!


「さっきからおれどんだけ死ぬの!? てゆーか、がぱぽってなんだよ!?」


 がぱぽっ!


「あなたがさっきから氷、砕け散って、そして私が戻してるのです」


 それを省略した形だ。


「なんとかしてくれ! おっさん!」


 遠吠えのするほうがくに敵が居るのは確実だろう。

 問題は敵にどう接近するかだ。


 間違いなく近づけば凍ってしまうだろうし。

「どうやらあの音を聞いたものは氷付けになってしまうようです」

「でもおっさんはさっきから無事じゃないか」


「私も凍ってますが、その瞬間に闘気オーラで体温を上げて凍結を防いでますので」


 技量不足の古竜ではできないだろうけれども。

 ふむ……。


「近づけば音も大きくなるし。音なんて防ぎようもないし。どうすりゃ……」

「え?」


「え?」

「え?」


「あ、うん。いってらっしゃい、おっさん」


 私は普通に、遠吠えのした方角へと向かう。


 ーーアォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


 遠吠えが聞こえてくる。

 私は木刀を振り上げて、下ろす。


 パァンッ……!


「お、音がおくれて聞こえてきた!? なにいまの!?」

「ただ音を木刀で切っただけですよ」


「音を斬ったぁ……!?」

「ええ」


「いや無理だろ!? 目に見えないんだぞ!?」


 目で見えなくとも、たとえば地面。 

 今は雪で覆われている。


 だから音の衝撃波がくれば、地面に跡ができる。

 そうすれば、なんとなく攻撃が来るタイミングがつかめるのだ。


 音攻撃が来たら、それを切る。ただそれだけ。


「さ、あとは仕留めるだけですね」

「あいっかわらずあんたやべえな……」

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