8話
村が見えてきた頃、私はようやく考えをまとめきっていた。
そう、別にテオに出会ったことは悪いことじゃないなと思い直すことができていた。
とりあえず、昔馴染みが元気で暮らしてこんなに立派になって私に会いに来てくれた、そのことは喜ぶべきことじゃないか!
私自身、半ば忘れかけていた思い出ではあるものの……思い出せば再会できて嬉しいと思う気持ちは存在するのだ。
ただまあ、彼がどういう感情から私と再会したいと思ったのか……それはやっぱりよくわからないけど。
それに、キラキラした彼を前にすると劣等感を感じるけど……まあ、しょうがないよね。
(そもそも私がもしも令嬢として着飾っていたとしても、テオにはこれっぽっちも勝てないと思うもの)
いやいや、うちの美形な義母と義妹が完全武装で並んでもきっとテオには勝てない。
そのくらいテオはキラキラした美青年だもの!
なら多少見た目がボロボロだったとしても、結果は同じだと自分を慰めることにしたのだ。
後ろ向きなんだか前向きなんだか、自分でもよくわからないけど……無駄にぐじぐじ思い悩むよりはいいかなって!
私たちは道すがら、なんてことない話をした。
言葉の端々にテオが苦労したんだろうなってことはわかるけど、彼は大勢に囲まれていろいろ教わってきたんだ……というのを感じた。
それを素直に良かったと思える自分と、羨ましいなと思う自分がいてなんとも言えない気持ちになったのは内緒だ。
「……リウィアは村に着いた後はどうするの?」
「えっ? ええと……私よりもテオは? テオは首都の方に行くんだよね。落ち着いたら手紙を出そうと思うから、大体の場所を教えてくれたら……」
「リウィア」
テオが歩みを止めたので、私も足を止める。
彼の馬が不思議そうに足を止めた私たちを振り返ったけど……テオはすごく真面目な顔をして私の方を見ていた。
「ねえ。もし良かったらだけど、僕と一緒に来ない?」
何を言われたのか、一瞬わからなかった。
一緒に来ない? って、どこに? 首都に? 私が?
「ええ!? なんで!?」
本当になんで!?




