その76、リンボッド家を調査せよ
ノクターン版はサービスシーン増やしてまいる予定です。
そして。
わたしたちは三日ほど王都に滞在した。
その間、ドラコ妹ことヘッダをそばにおいて監視。
力士に拘束魔法をかけさせ、遠出ができないようにさせて。
それ以外はほっておいたが、暇さえあればドラコと口論している。
「姉上は、ご自分の立場がわかっていない!」
「だから……!」
「結婚に芝居みたいな恋愛なぞありえないってわからないのですか!?」
「愛とか恋以前の問題だよ! 人間性が……」
「そんなもの……!」
と、やかましい、やかましい。
おんなじ内容を何度も繰り返している感じで、実にうざい。
とはいえ、放り出して親衛隊でも連れてこられると鬱陶しいのだ。
いいかげんでぶん殴ってやろうかと思っていた矢先、
「戻りましてござる」
忍者が帰ってきた。
早速に報告を聞いてみると……。
「……ドラコ、あんた黙ってたね?」
姉妹ゲンカを一時中断していたドラコに、わたしは言った。
「え?」
「いや、デシレアお嬢様……」
「……そっか。それも調べさせたんだね……」
「…………」
リンボッド公爵家令嬢――デシレア・リンボッド。
それがドラコの本名らしい。
家出したことも、妹のことも。胡散臭い婚約者のことも――まあ、事実だった。
しかし、もう一つ。
「マイア山というか、あのへん一体はリンボッドの領地らしいじゃないか」
「形だけね……。昔は酒妖精とも交流があったらしいけど……」
「今は放置してると」
「おじい様の時に妖精と険悪になったらしくって……」
恥ずかしそうにドラコは言った。
「それも聞いたけどね」
上等の酒どころになっていた山を欲しがって、妖精と揉めたのだ。
結局制圧には失敗して、そのへんから家も傾きだしたらしい。
まるで妖精の祟りだな。
そのへんは、今度タベルナに聞いてやろうか……。
「ほんで、婚約者のことだけど、あんたんちはかなり借金してるようだねえ」
「くっ……」
ヘッダが悔しそうにしてる。
「没落しかけの名家と金のある新興貴族と、わかりやすい組み合わせだけどさ。姉上が逃げたおかげで、かなりおうちは不利になっているわ」
「……! だからこそ、姉上に……!」
「ま、けど。大丈夫と思うよ?」
「なに?」
「どういうこと……?」
「調べたところ、多少時間がかかるかもしれんけど、うまく運ぶわ」
怪訝そうな姉妹を見て、わたしは笑ってしまう。
「まあ、早い話、かわいげのない妹で手を打つだろうってこと。良かったね?」
「え!?」
と、姉妹はそろって叫んだ。なかなかのタイミング。
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