その74、聞いてみた姉妹の事情
これがいわゆるラスボス?
「私も、何か気になったから色々調べてたんだけど。そしたら、まあ……」
出るわ出るわ。だったらしい。
聞けば。
知人の婚約者を寝取って妊娠させた挙句、あっさり捨てたとか。
その女性は身体きまわって自殺したとか。
領民の結婚式に借金を盾に乱入したとか。
で、初夜権をチラつかせて手籠めにしたとか。
まあ、ろくでもないことこの上なし。
それでも商才とかはあるらしく、けっこう稼いでいるでいるようだった。
こっから落ちぶれつつあるリンボッド家に接近。
見目麗しい令嬢たるドラコを嫁に……というわけらしい。
「腐っても公爵家だから、あまり爵位の高くない相手としては願ったり、だと」
「そういうこと」
「けど、逃げ出したってしょうがない気もするけどね」
「そう、かな……」
「だって妹がいるんでしょ?」
と、わたしは襲ってきた不審者を見た。まだ気絶している。
「もうこいつと結婚してるんじゃない?」
「多分、それはないかな……」
「なんで?」
「もしそうだったら、こんな風に一人で出歩いてるなんてありえないよ」
「まあ、いいとこのお嬢様なら……ね」
わたしはなるほど、とうなずくけど。
「いや、しかし? そんなら未婚だってやらんでしょう、一人歩き!?」
「普通はね」
ドラコはまたも苦笑。
「……つまり、普通じゃないってことか?」
「うん。妹は、一応うちの親衛隊隊長やってて」
「令嬢なのに?」
「……母親が違うんだ。なんていうか、妾腹ってやつかな」
「ほへ? 庶民とか身分が低いとか?」
「そんな感じ……」
人に事情アリだねえ。
見た感じ、使い古されたテンプレの女騎士っぽく思えたのにな。
「しかし、コネありっつても、親衛隊とかの人間でしょ。あれでよく……」
「それはユウが規格外なんだと思うな」
「ええー」
「いや、そうだって。フツー龍骨鋼の塊振り回したりできないから」
「そんなもんかなあ」
てなことを言い合っていると、
「うう……」
不審者ことドラコ妹が起きたようだった。
「大丈夫、ヘッダ?」
ドラコは気遣っている様子だ。しかし、あんまり色気のない名前だな?
日本人だから、そう感じるかな。
「貴様……!」
わたしを見るなり、妹は跳ね上がった。
そこを、頭を掴んで押さえつける。
「暴れんな、暴れんなよ……」
妹はもがいてわたしを蹴ってくるのだった。鬱陶しい……。
むかついたので、押さえつける手にちょっと力を入れてやった。
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