その57、蛇妖精は殺しちゃいけない
妖精の呪い。
「で……?」
「前々から、マイア山のふもとでは水質汚染が問題になっていたんです」
「じゃあ、調査は?」
「今回のことがきっかけである程度は行われたようですが……」
受付は言葉を濁した。
「なんです?」
「その報酬がね……」
「ないんですか、まさか」
「いえ、ないことは、ないんですが、まあその地元の寄付から捻出されたもので……
「少額なんでね?」
「……そうです」
言いにくそうに、しかし、受付はうなずいた。
「簡単な仕事なんですか?」
「いえ、かなり危険なようです。モンスターの情報もあまりないですし」
「割に合わないんじゃ、やる人はいないでしょう」
「ええ、ワームを追い出すようなモンスターだから、かなり危険でしょう。しかし、どうにも上でも揉めていまして、こういうことに」
……。
利権問題、というやつであろうか?
このままマイアの酒どころがなくなっているほうが都合が良い人もいるのか……。
「まあ、そういうこともあるんでしょうねえ」
「……はあ、まあ、はい」
「それはそれとして」
わたしは、チラリと横にいるモノを見た。
力士に拘束されているメリジューヌである。
あれから。
わたしはずっとこいつを捕まえたままなのだ。
ギルドでも、
「すぐにはどうこうできないので、そちらで預かりを……」
と、ウヤムヤのまま押し付けられてしまった。
「いや、ちゃんと渡すから、そっちで管理してくださいよ」
「ですが、その……」
「――わらわを殺してみよ。七代まで祟り尽くし、呪い尽くし、血脈を全て断ち切ってくれるからなああ……!!」
メリジューヌは捕まった状態で、周辺を威圧しまくるのだった。
それに、ギルドは異常なまでに脅えている。
「お前、何なん?」
「ふん。筋肉女、わらわを殺さないで良かったのう?」
「殺してほしいのか?」
「な、なんじゃと!?」
「殺さないけど」
「お、おどかすな……!」
「まあ、そういうことなんです」
と、受付は困った顔で言った。
「何がですか?」
「メリジューヌは死ぬ直前に、殺した相手やそれを命じた相手に、強烈な呪いをかけるので、めったに殺せないそうで……」
「そりゃ厄介な」
「ふふん。恐れ入ったか」
「だから、上も思い切ったことをできないようで……」
思ったよりも厄介な相手らしかった。後悔先に立たずだなあ。
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