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その56、酒での揉め事は……


まずは一段落?







「お、お前は鬼か、悪魔か!? わらわの窮状を聞いて、殺すと言うのか!?」


 メリジューヌは後ろに飛びのき、非難してきた。


「いや。だって実際悪事をやったわけだし」


「まあまあ」


 困るわたしを、ドラコがなだめてきた。


「確かに悪いことだけど、一概に責めるばっかりも違うんじゃない?」


「しかし」


「ともかく、詳しい事情をギルドに報告したら?」


「討伐しろって言うんじゃないの」


「ひぃ! 殺すのか!? 祟るぞ!? 子孫は死に絶えるぞ!?」


 わたしの言葉に、メリジューヌは飛び上がった。


「おどかさないで……。自覚ないのか知らないけど、ユウはギルドでも注目株なんだよ。強いモンスターを倒しているし、今回だって見込まれて依頼されたんでしょ」


「んー……」


「ユウが口利きしたら、話聞いてもらえると思うよ?」


「なるほど……」


 そう言うと、メリジューヌがちょっと期待した顔つき。


「――でも、そんな義理ないしなあ?」


「薄情者ぉ!! 殺したら呪われるからなあ!? 血脈が絶えるぞ!」


「酒盗人なんかしてた、お前が悪い。っていうか、子孫なんていない」


「うぐぐ……!」


 涙目でわたしを睨む蛇妖精。殴ってやろうか。


「意地悪しないで、助けてあげれば? 妖精に恩を売るのは、幸運を呼び込むって言うよ」


 渋るわたしに、ドラコはとりなそうとしている。


「なんか、この蛇に感じるところでもあるわけ?」


「んー。なんでだろ? あんまり他人な気がしなくって」


「ふーん?」


 見た感じ、さほど共通点もないようだが……。

 とはいえ、こうなると討伐するというのも気が引ける。


「じゃあ、こいつ拘束して。できる?」


「うっす」


 力士はリング状の光……魔力か? それで妖精女を縛った。

 動けなくなったメリジューヌを連れて、わたしたちは冒険者ギルドへ向かう。


 さて、そして。


 わたしたちが離れた後、隊商は無事王都についたようである。


 帰りは別の護衛がつくことになっており、召喚戦士も各自送還。

 で、ギルドにワームことメリジューヌについて報告したところ、


「マイアのほうは問題になっていたようです」


 モノニクスの街に帰った際、わたしはいつもの受付にそう教えられた。


「ほう?」


「メリジューヌのことは噂程度でしたが、クルラホーンがお酒を売り買いしていたんですよ。けど、ある時期から急に周辺の水が汚くなって、妖精もいなくなった。マイアのお酒はとても美味しいので、評判だったんですけどね」


「ほーん。じゃあ、困ったことになったわけですかな」


「ええ、でも、ギルドのほうは放置していたようで」


「なんで?」


「……マイアのお酒がなくなったんで、他のお酒が売れるようになったんですよ」


「ははあ、つまりライバルが減ったわけですね?」


「おかげで、よその国からもお酒を買うようになっていって。色々揉めてね……」


 どうやら、そのへんのことで儲けた人間が何かやったらしい。


 それで喜んでいたら、今回の騒ぎになったわけか……。






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