その55、メリジューヌの事情
妖精にも事情があったです。
「メリジューヌか。確か、蛇妖精だね」
ドラコからアルコールを抜くと、すぐ目を覚ました。
で、状況説明をしたところ、そう言ったのである。
「妖精?」
「女性ばかりで、人間の男をさらうとか聞いたけど……」
「あんた、女が好きなの?」
「違う。男と間違えたのじゃ」
つっこむと、妖精女は不服そうに首を振った。
「まさか、彼女を男と間違えた?」
「だからそう言っておる」
「あはははは。それでドサクサでさらったと……」
ドラコは複雑な顔で首を振った。
「鎧から男の臭いがしたのでな……」
「ほうん?」
「あ、そういう……」
わたしにはわからなかったが、ドラコは納得したようだ。
「この鎧は、お父さんのお古を改造したものだから……」
「それで間違えたと。なるへそ」
「捕らえてみれば女じゃし……。まいったわえ」
「まいったのは、こっちだ」
わたしはメイスを手にメリジューヌを見た。
「あんたのせいで、酒不足になってみんな迷惑してんだよ」
「それはすまぬ……。じゃが、わらわには酒がたくさん必要だったのじゃ」
「……大量に?」
「さよう」
「理由を、話してくれるよね?」
わたしが肩をすくめると、横でドラコが言った。
「うむむ……。恥ずかしいことじゃが……」
「あんた、マイア山にいたって言ってたけど」
「……。ずいぶん遠いね。南の国境近くだよ」
ドラコがちょっと驚いた顔。
「わらわは、そこで長年暮らしておったのじゃ。しかし、追い出された」
「誰に?」
「よその土地から来た大ムカデじゃ」
そう言って、メリジューヌは悔しそうに唇を噛んだ。
「……なるほど。つまり、住処を追われて逃げ出して……」
「その復讐戦のために、魔力を貯めこむため、お酒を盗んでいたと……」
こういうことらしかった。
「うむ。そうなのじゃ……」
「なるほど。そういえば、マイアは酒どころとしても有名な場所だね。あれ、そういえば最近名前をきかないなあ」
と、ドラコは指を顎に当てて言った。
「ムカデのせいで水が汚れ、酒も造れんようになっておる。おかげで、クルラホーンどもも、逃げてきたのじゃよ」
「ふーん。じゃ、この酒妖精はあんたの?」
「眷属じゃ」
「なるほど……」
そういえば。
酒妖精たちは目が縦長で蛇みたいだ。それに蛇の尻尾もはえていた。
「しかし、こっちとしては街道を荒らす怪物を討伐せにゃならんしなあ」
わたしは……困ってしまった。
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