その44、お酒の問題・健康問題
陰謀の臭い
まあ、聞くところによると王様というのは。
タバコはやらず、酒はたしなむ程度。
毎日に食事には気を使い、美食よりもバランスの良いものを好まれる。
「およそ国王らしくない」
という批判もあるが、おかげで健康。風邪一つ引かない。
日々の国政にも真面目に取り組み、国内のインフラを充実させている。
これだけなら良いのだが、
「どうも酒は気狂い水というのか、よろしくない。聞けば城下でも、酒が原因で喧嘩もめ事が
しょっちゅう起こっているとか――」
そこに来て、公爵家の醜聞ときた。
「これはいかん。民の手本となるべき、貴族、それも公爵家がこんな有様では……」
そして、今回の酒規制となったようだ。
「実は酒を全面的に禁止ということも考えられたらしいです」
「そりゃ乱暴ですよ」
「ええ、宮廷でもあわてたそうで――たしなむ程度、少しばかり楽しむ程度なら、日々の疲れ
や憂さを晴らすのに役に立つ――といって止められたとか」
「まあ、規制がかかった程度で良かったと?」
「どうでしょうねえ。いくら体に悪いといっても日々の楽しみが規制されるのは」
「みんな嫌か」
「街の酒場では、王様の悪口が飛び交っているようで。『余計なお世話だ』と」
「あはははは」
人間は体に悪いこともしたいし、健全なことばかりではおさまらないらしい。
……。
まあ、規制の多い世の中は、わたしだって嫌だけどな。
「これも影響していて、貴族のパーティーでも料理が変わってきているとか。脂っこいものや砂糖を多く使ったものはやめ、ヘルシー重視のものが流行っていると」
「はーん」
「女性からは好意的意見もあるようですけど、やはり評判はどうにも」
「美味しいものってたいてい太りやすいもんなあ……」
「まあ、肥満体はこの頃では好かれませんけど。元々、バランスの取れた肉体こそが理想的とされていて、過剰な脂肪や筋肉は敬遠されやすいとも。貴族の話ですが」
「ぬ……」
そう言われると、ちょっとアレだ。
わたしもバランスを欠いた肉体になりつつある。
身長が伸び、筋肉ばかりが発達。
今はまだバランス内だけど、およそ女性らしいとは言い難いものに……。
「だからまあ、みんなやり方は色々ですが、隠れてたしなんでいるようです」
「たしなむ程度なら良かったのと違いますか?」
「そうなんですけどね」
と、タフトは首を振った。
「今では王都の酒場は、薄めた酒を高い値段で出しているという有様で。その上、日々密告が相次いで、お役人も忙しいと」
「ダメじゃないですか」
「ダメですね」
アル中がいかんというのはわかる。
しかし、行き過ぎて国の統治まで良くないことになってるやん。
「それというのも、王都にお酒が入らなくなっているのが原因です」
正確にはその一つですけど、とタフトはため息。
「……で、隊商を襲うクルラホーンですか」
「ええ。元来、そんな盗賊まがいのことをする妖精ではないのですが……」
うーん。陰謀の臭いがするかも。
応援よろしく!!




