魂って何なの?
オフャムと一緒に宮殿の中を歩き回っていく。
階段を上ったり下りたりしていると牢屋の様な場所に出た。
廊下の両脇が鉄の柵になって居て中には何人かの囚人が入っているようだ。
アルヴィンもこの辺に捕まってるのかな?
オフャムは看守を眠らせようと眠り薬を取り出してタイミングを測っている。
俺は邪魔にならないように身を潜ませてじっとしているように言われたので暇だ。
退屈しのぎに先程の会話を思い出す。
エゼルは勇者と魔王の魂をぶつかり合わせて相殺しようとしているらしい。
魔王の魂って今何処にあるんだろう?
マルフミーラは今俺の頭の中に居るよね?
それとも遠くから魔法か何かで声だけ飛ばしてるのか?
そもそも魂って何?
…………分からん。
こう言う時は聞いてみるに限る。
ねぇ、マルフミーラ。
(何よ?)
魂って何なの?
(魂は生命体を構成する4つの要素の一つよ)
4つの要素?
(肉体、精神体、魂、命。生命体って言うのは大体この4つの要素で構成されているものが多いわ。たまーに肉体がなかったりする奴もいるけどね)
悪魔とか?
(そうね、悪魔はエーテルで作った肉体を纏っている事もあるけど、本質は精神体を主にした生命体ね。まぁ精神体も霊体やら意識体やらに細分化出来るんだけど細かい事まで言ってたらきりがないからざっくり覚えてれば良いわ)
エーテルって何?
(エーテルって言うのは魔力を変換して精製できるリソースの一種よ)
魔力って何?
(うーん、説明すると長くなるから。超便利な力って認識してればいいと思うわ)
雑すぎでしょ。
(じゃあもうちょっと説明してあげる。まず生命体が肉体、精神体、魂、命、の4つで構成されているってのはさっきも言ったわね。
肉体は精神体が物質界に干渉する為のツールであり、精神体は意識体が肉体に干渉する為のツール……と思ってればいいわ、本当は他にも色々あるんだけど。
で、肉体も精神体も命が無ければ動かないの。例えば肉体精神魂命の内、肉体を失えばレイスになったり精神を失えばゾンビになったりするわ、でも命を失ったらアンデットも死ぬの。
まぁマナやオドが余程異常か過剰な状態でない限り、肉体と精神体が離れたら命も無くなるんだけどね。
ああ、マナって言うのは体内の魔力の事で、オドって言うのは体外の魔力の呼称ね、自然力とか精霊力とか言ったりもするわ。
肉体精神魂命、これらは全て魔力に変換する事が出来るの、あんたの妹の夢魔は相手の精気を吸うけど、これって精神体や命を吸ってるのよ、だから吸いすぎると当然相手は死ぬわ。
サルガタナスのダンジョンなんて、入って来た奴等の肉体精神魂命全部取り込んで魔力に変換しちゃうこともあるわ。
そして魂なんだけど、これはんー、一言では説明できないから幾つかの機能に分けて説明するわ。
まず魂の持つ役割の一つとしてはバッテリーの機能が有るの、これは電気を蓄積する訳じゃ無くて、存在力を蓄積するのよ。
生命体の一生分の存在の力は魂に込められて世界に還元される、還元された魂はまた生命に流転して存在の力を備蓄する。
その循環が魂の本来の役割なんだけど、存在の力を取り合った神々は――)
「おい」
「ピェ!?」
「お前が寝てどうするニャ。早く来るニャ」
あれー、俺今寝てた?
何か大事な話を聞いてた気がしたんだけど、あれー?
(……もういいわ)
うわぁ、ごめんマルフミーラ。
何か説明聞いてたら意識がふーってなっていつの間にか寝てたみたい。
(あっそ)
怒んないで、機嫌直してよ。
脳内でどうにかマルフミーラの機嫌を取ろうとしつつオフャムについて行く。
それが良くなかったんだろう。
ガシッ
鉄柵から伸びた手に首輪を掴まれてしまった。
「なん――カハッ」
首輪を思いっきり引っ張られて息が止まる。
いや、息が止まるどころじゃない。
鉄柵に頭が挟まっても首輪を引っ張る力は弱まらない。
首の骨、折れ――
「ハーッ、ハーッ、おんなぁ」
「な……ん……」
「おんな、女だぁ!」
生臭い息の男が。
鉄柵越しにもう一本の手を伸ばして来た。
作者
「長々とした設定の垂れ流しでしたね、面倒と感じた方は全部読み飛ばしちゃってください」
メスガキ2
「それは前書きで言わないと駄目なんじゃないかな?」
マルフミーラ
「私の台詞の割合は毎回これくらいにしなさい」
作者
「強欲すぎぃ!」
メスガキ2
「作者さん、魂の説明足りて無くないかい?」
作者
「いや、実はそうなんです。魂は人間の存在の力を溜め込んで世界に還元するとか言いながら、ダンジョンに取り込まれたら魔力になっちゃうとか書いてあるし」
マルフミーラ
「書いてあるって、書いたのはアンタでしょ」
作者
「ダンジョンは魂も取り込んで魔力にしてしまうのですが、実はこれはエネルギー効率が凄く悪くて。例えるならば種イモを使って芋を栽培して収穫するのが魂の循環だとするならば、ダンジョンがやってるのは種イモを燃やして暖を取っちゃう。みたいな感じです」
メスガキ2
「もっと良い例えが無数にあっただろうに何故それにした」
作者
「いやー、後で作中で説明できればなーと思いつつ。作者が忘れる前に後書きで説明する事にしました」
マルフミーラ
「アンタ自分の作品の設定忘れるの早すぎなのよ」
メスガキ2
「作者さん、ボクの事出すのも忘れないでよね」




