表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS of ハルピュイア  作者: 右左丸
第二章 天弓の舞姫の長い二日目
21/26

女の話してるのにペットの話してるみたいで何かムカつく。

 昼食を食べた後、午後はどう過ごそうかなと思っていたら誰かが部屋を訪ねて来た。


「やぁクルト、そいつがお前が父上から賜った奴隷か?」

「おしゃべりディーツを切ったそうだな。全く、お前は人の扱い方を知らないと見える」

「ユエル兄上、サティリ兄上」


 どうやら訪問者はクルトの兄弟だったようだ。

 と言う事はこいつらも王子か。

 ユエルはあっちの世界の俺と同じくらいの身長だから、10代後半かな? エゼルと同じ金髪で、陽キャ感が漂っている。

 サティリも、ユエルより頭一つ低い身長で髪は黒髪だった。

 王族は全員金髪陽キャかと思ったけどサティリからは何処か陰湿な雰囲気を感じる。


「へぇ。可愛いのを下賜されたな。羨ましいぞクルト」

「これはお前には勿体無いな。俺に寄越せ」

「お断りしますサティリ兄上。この子は僕に下賜されたんですから」


 サティリに顎クイされた俺をクルトがやんわりと庇ってくれた。

 クルトは無邪気な笑顔を顔に張り付かせて対応している。

 しかし昨日この顔のままディーツの首を跳ねた所を見た俺は薄ら寒く感じた。


「サティリ、この子は父上がクルトに下賜された物だ。安易に欲しがるな」

「しかし兄上。クルトは父上が宮殿にお戻りになるのを門で待ち構えて居たそうではないですか。最初から何かをねだろうと言う魂胆だったに違いありません」

「良いではないか。父上から賜る物が毎回良い物とは限らんからな。クルトはディーツを上手く使って情報を集めていたから、今回はその褒美だろう」


 クルトに俺を要求して来るサティリをユエルが止めてくれる。

 良かったー、良い奴の方が年上で。


「しかし、中々良い女との巡り合わせと言うのは無い物だな」

「見目の良い女は父上に持って行かれますからな」

「そのせいで俺達に女が回って来ない事に気づいた父上が息子達に女を与えて回っているようだぞ、俺も最近賜った。しかし父上から賜る女は何と言うか、俺の好みと合わん」

「父上は従順で大人しくて身元がしっかりした女ばかり下げ渡しているようですが」

「それだよ。俺はもっとこう、火傷しそうな女に手を出してみたいんだがなぁ」

「それは宜しい。焼け死んだら私の継承権が一つ上がります」

「ははは。サティリ、お前の歯に衣着せぬ物言いは相変わらずだな」


 ユエルがバシバシとサティリの背中を叩くとサティリはゲホゲホと(むせ)た。


「その点、クルトが賜った女は中々に生意気そうで良いな。亜人の女と言うのは考えていなかった、俺もこう言う女が欲しい。しかし首輪を付けて好きにすると言うのは俺の好みではないな。やはり女は少し手を焼くくらいの方が可愛くないか?」

「全く同意しかねます。女は従順である方が良いに決まっております。私も次に賜るのは隷属した女が良いです」

「はっ、お前とは好みが合わんな。クルトはどう思う? お前はどんな女が好みだ?」

「私は今、この子が殊の外気に入っております」

「ふははっ、ではサティリに取られんようにしっかり守っておけ」

「……ふん」


 二人はひとしきり俺を鑑賞した後クルトと一緒に部屋を出て行った。

 出て行く時のサティリの俺を見る目が怖くて、俺は翼で身体を隠した。





    ◇    ◇    ◇




 あー怖かった、何あの二人。

 何しに来たか知らんけど女の話してるのにペットの話してるみたいで何かムカつく。


(ねぇアスカ)


 なに?


(アンタ今後どうする気なの?)


 どうするって何が?


(……はぁ、やっぱハーピーって鳥頭だわ)


 あ゛ん?

 何種族ごとディスってくれてんだ?


(あのね、アンタの身にこれから起きる事を大雑把に2つのルートに分けて説明するから聞きなさい)


 ほうほう。


(まずこのまま何もせずに夜になった場合、アンタはクルト王子からヤられちゃうわ)


 なん……だと……。


(今朝エゼルにアンタを取られちゃいそうになってたからね、今クルト王子の頭の中は嫉妬と独占欲が渦巻いてるはずよ。私そう言うの感じ取れるの)


 やべーじゃん、早く逃げなきゃ。


(逃げた場合は、高確率でエゼルに捕まって今度こそヤられちゃうわね。そもそも逃げ切った所でその首輪してたら居場所見つかっちゃうわよ)


 ぐぬぬ、早く足の鎖を外して首輪を破壊しないと。

 さっき足が届きそうだったし鎖さえ外せれば何とかなりそう。


(どうやって鎖を外すの? 鎖を外すには錠前のカギを外さないといけないわよ? 誰が外してくれるの? 外してくれる人が居たとして、夜になる前にアンタを助けに来てくれなきゃアンタはやっぱりヤられちゃうわよ)


 ……どうしよう。


(逆に考えてみたらどう? ヤられちゃっても良いやって)


 嫌だよ!

 今朝エゼルに押し倒されたの思い出すだけで鳥肌が立つよ!


(アンタ鳥でしょ? いえ、そこはまぁ置いて置いて。どうしても男に抱かれたくないなら私から提案があるわ)


 提案?


(ええ、アンタ男に抱かれるのが怖いんでしょう?)


 怖いって言うか、いや怖いのもあるけど。

 嫌悪感が凄い。


(だからね、代わってあげても良いわよ?)


 代わる?


(ええ、アンタが男に抱かれてる間、アタシがアンタの意識と入れ替わってあげても良いわよ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ