プロローグ・・・苦しむ少女_研究_『妖具』・・・
呪縛少女編。一応ルビを振っておきます。
一つの大画面の前。
管制室のようにPCと人でいっぱいの部屋。
「素晴らしい。見て見なよ、弥生。僕たちの夢がまた一歩躍進した姿を!」
「この少女、苦しそうですが?」
「力を手に入れるのに楽な道はないんだよ」
「そういうものですか」
「博士! 彼女はいつ頃『あれ』と同化できるのでしょうか?」
「うむ…薬物投与をあと数年は加える必要はあるじゃろ…それに人体器官もこれから壊れていくじゃろうからその都度『改良』する必要もある…使いものにするにはあと5年と言ったところじゃの。それから更に改良を加えなければならんし…」
「さすがに時間は掛かるようですね」
「これが研究というものじゃ。安心せい。『今回』の結果を踏まえて『次』は更に発展するじゃろ。『それ』を繰り返せばいずれ一ヶ月でこの研究は完成するじゃろ。何年掛かるかは分からないがな」
「素晴らしいです! 例え何年掛かってもいいですよ! 僕達はその礎で構わない! 僕達は僕達のできる限りのことをしましょう! 未来は未来の者たちに任せるのです!」
「儂は生きている間に完成させたいんだがの…この歳では無理か」
弥生と呼ばれた無表情な女性は画面の中の苦しむ少女を見ながら、ぽつりと呟いた。
「これが『妖具』ですか」




