雄太 誕生日SS
本日、3月14日は主人公 鷹羽雄太の誕生日です。
このお話は、数年後二人で誕生日を過ごしている様子です。
ここまでお読みくださってる皆様には「この作者は、どこまで試練を与えるんだぁ〜」と思われたかも知れませんが、こう言う未来も考えているのだなって思っていただければ嬉しいです。
では、どうぞ
(。・ω・。)ノ♡
「お誕生日おめでとう、雄太くん」
「ありがとう、春香」
景色の良い琵琶湖沿いのカフェのオープンテラスで誕生日を祝ってもらって、雄太の心は幸せな気持ちでいっぱいだった。
パティシエに特別に用意してもらったと言う小さなケーキの向こうで、最愛の女性がプレゼントの箱を手に笑っている。
「プレゼントは、雄太くんのリクエスト通りにしたよ」
「ああ」
毎年、色んなプレゼントを考えてくれていた。たまに、何が良いかと問われ、欲しい物を言ったり、好きな料理を作ってくれていた。お気に入りのワインを買ってくれた時もあった。
初めての重賞を勝った時にもらった物は雄太の宝物となり、今も大切に使っていた。家には、お揃いで買った物もたくさんコレクションボードに飾ってある。
(俺は、春香が傍に居てくれるだけで良い。一番の誕生日のプレゼントは、その日の春香だ)
今日まで、何度も何度も辛く悲しい事を経験した。周りを巻き込んだ事も、周りに助けられた事もあった。一生、立ち直れないかと思う事もあった。
しかし、それ以上の幸せをくれた最愛の女性。深い愛情も持ち、優しく思いやりに溢れ、そして、強い女性。
(本当、色々あったよな……)
人生も競馬も同じだと思った。上り坂があれば、下り坂もある。キツいコーナーもあれば、荒れた重馬場の時もある。だから、紆余曲折を互いの手を取り乗り越えて来た。
滅多にはないが、春香を泣かせた事もあった。原因は様々だが、十中八九雄太に非があり、周りから怒られたりした。
怪我をした時に、誰より頼りになる春香。低迷期と呼ばれた時も、春香と乗り越えた。どんな時でも、一切恩着せがましい事を言わず、騎手鷹羽雄太を支えてくれた春香が居なかったら、今の自分はなかったと思う。
「いつもありがとう、春香。感謝してる」
「ん? 私、大した事は出来ないから」
元々、童顔で年相応には見えなかった最愛の女性は、相変わらず可愛く微笑む。
(春香が、大人っぽく見られたいって言って、セクシーな服を試着した時の似合わなさは半端なかったな)
雄太が必死で笑いを堪えている事に気付いた春香は、拗ねてはみたものの、自分でも似合わないと思ったらしく、しばらく試着室にこもって出て来なかった。
今では、上品な落ち着いた服装も似合うようにはなった。それも魅力的ではあるが、ラフな格好でトレセン内を歩き、厩舎に顔を出し騎手達や厩務員達と話している姿や馬と戯れている姿が一番好きだと思っている。
「どうしたの? 私の顔に何か付いてる?」
「春香は変わらないなって思って、さ」
少し首を傾げながら訊く癖も好きだ。
「雄太くんは、格好良さに磨きがかかったよね。女性ファンも更に増えたし」
「俺が好きなのは春香だけだから。妬かなくて良いからな?」
ヤキモチを妬いては拗ねて、頬を膨らませて、潤んだ瞳で雄太を見ていた春香。それは、今でもたまにある。
(本当、自己肯定感が低いんだからな。どれだけ、俺が春香に惚れてるか分かってないんだから、困ったモンだよ)
周りを見回し、誰も見てない事を確認し、抱き締めてキスをする。
「ん……」
まだ、暖かいとは言えないけれど、春香を抱き締めていると温かい。もう一度キスしてからポケットから小さな袋を出して渡した。
「じゃあ、これは俺から」
「ありがとう」
雄太からのホワイトデーのプレゼントを満面の笑みで受け取る春香。
(本当、良い顔するんだから)
「雄太くん」
「何?」
「今日まで、ありがとう。来年も一緒に誕生日のお祝いしようね」
「それは、俺のセリフだから。来年も一緒に誕生日を過ごそうな」
「うん」
そう言って、また抱き合う。
(これからも、ずっと春香と一緒に歩んで行くんだ。どんな事があっても、絶対に諦めない。二人なら乗り越えられるって、俺は知ってるから)
いかがでしたでしょうか?
「わ……私だって、幸せなストーリーも書けるんだからねっ(汗)」
そんな感じですね。
これからも紆余曲折ありますが、登場キャラ共々、作者をも温かく見守ってやってください。
よろしくお願いします。
(*´ω`*)




