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仲間になりたそうに見ないで下さい  作者: ヒコしろう


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第55話 謁見の間で起きた事

タリウスさんの案内で、石作りの城に入って行く…

魔族の方々は極端に身長の高い方や低い方やがいるので、天井は身長の高い方に合わせて、三メートル以上あり、扉も門の様な扉に小さなドアが設置してある不思議な作りだ。


俺とアゼルとメリザはキョロキョロしながら広い廊下を歩く…タリウスさんが、


「部屋や、廊下が大っきくてビックリでしょ?

魔族には巨大な魔物から進化した者も居るので、大きな魔族に合わせると、こうなっちゃうんだ。

でも、貴族の皆さんは古の召喚士の一族と異世界の神様や、天使やらの末裔だから、案外人族と見た目は変わらないから安心して良いと思うよ…

でも、いくらポルタさんが、良い人でも、いきなり魔王様に謁見は無理だから、宰相のハーゲイル・ルキフグス様に逢ってもらうからね。」


と説明してくれた。


確かに、正に馬サイズのタリウスさんが、歩き回れる広さの廊下…なんなら馬車で乗り入れても平気なようだ…

あと、まぁ、いきなり貴族でもない人間が来たら、安全の為にそうなるよね…と理解し、俺は、


「はい、タリウスさんのおかげで、魔王国に来れて、トントン拍子でお城にまで入れただけで感謝です。

宰相様にマルス帝国の方々からの手紙を、魔王陛下に届けて頂けるように託したら、あとは食糧をお渡し出来れば、ほぼ目的は達成しますから…」


と礼を述べるとタリウスさんは、


「町の皆も喜ぶよ。

長い冬の間、保存食ばかりだったし、何よりも、数年前に300年ぶりに魔王様に覚醒されたシシリー様が即位されて、我々に力を授けてくれるまでは、本当にひっそりと隠れ住んでいたから、ひもじさに耐え続けたヤツばかりだ…

新鮮な野菜や果物を食ったことの無い子供も居る…食糧支援は本当に有難いよ…」


としみじみ語った。


そんな話をしながら到着した扉のまえで、タリウスさんが、


「あっ、そうそう。

ポルタさんも兄妹の2人も、宰相様はファーストネームで呼ぶと不機嫌になるから、(ルキフグス様)か(宰相様)って呼んであげてくださいね。」


と忠告された。


俺は、少し不思議に思いながらも、


「はい、心得ました。

本当にありがとうね、タリウスさん」


と手をふりタリウスさんと別れ、宰相さんの執務室の前で案内をタリウスさんから翼の生えたお兄さんに交代した。


お兄さんは、デカい扉の一部の小扉をノックし、


「宰相さま、帝国からのお客様をお連れしました。」


と、いうと、部屋の中から、


「入るがよい。」


と渋い声が聞こえる。


デカい扉に設置された普通サイズの扉をくぐり、通された部屋は縮尺や遠近感が狂いそうな作りであった。


広い部屋の端に机が、幾つかあるだけの執務室…


体育館で追試を受けているような雰囲気で、資料の束を持った監視員に見られながら、バリバリと問題に取り組むような…

禿げ頭が見える…のが宰相様のハーゲイル・ルキフグスさんらしい。


だからファーストネームのハーゲイルがNGなのかぁ…と、納得していると、落武者ヘヤーの宰相様が、


「帝国からの客人と聞いているが…」


と、手を止めて聞いてくる宰相さんに、俺は、アイテムボックスから皇帝陛下からの書簡を取り出して、


「ルキフグス宰相閣下、まずはお時間を頂きありがとうございます。

私は、現在、帝国の〈魔の森〉の一部を間接的に管理しております〈ポルタ〉と申します。

後ろの二人は我が兄妹達です。

現皇帝、アルフリード・エルド・マルスより魔王陛下への書簡を届けに参りました。

それと合わせて、帝国内の各王からの書簡と、皇帝陛下から食糧の支援物資も預かっております。

周辺の国々に攻め込まれ、撃退されたと伺っております…

是非、魔王国の国民の皆様への、お祝いのも兼ねまして、お納めいただければと存じます。」


と皇帝陛下からの書簡を差し出すと、それを受け取る宰相さんは、


「魔王陛下と手紙を確認した後に支援物資は受け取る事にします。

何もない所ですが、お部屋用意致しますので、本日はゆっくりと休まれませ。」


と言ってくれた。


魔族には、オーガさん達で少し耐性があるが、やはり貴族の部分にはまだ緊張する。


宰相さんの指示でテキパキ動く魔族の方々のはバリエーション豊かで覚えるのが大変だ。


王様達からの手紙も、爬虫類っぽい文官さん?の手押しワゴンに出した後に、


鳥の魔物の魔族さん?に、


「こちらです。」


と案内されて魔王城の客室に通された。


魔王城の客室のベッドも机もデカい…しかし、俺とアゼルとメリザが同じ部屋に通されたが…ベッドが一つだけだった。


普通に三人で眠れる広さのベッドではあるが…と思っていると、


「従者の方々のはこちらです。」


とアゼルとメリザは隣の部屋に案内されていた。


よく見ると客室のいたる所にドアがあり、なんと他の部屋には鳥型魔物の方々用の止まり木の部屋や、水性魔物の方々の用のプールみたいな部屋など、客室と言っても多種多様な作りだった。


色々な種族をもてなすのは大変そうだな…と、考えながら、


アゼルとメリザの部屋に行こうとすると、2人も、だだっ広い部屋に「落ち着かない…」と、俺の部屋に入ってきた。


自分がオモチャサイズにでもなった気分で巨人用の部屋の使い心地を確かめていると、入り口の扉が忙しなく叩かれ、


「ぽ、ポルタ殿!入ってよいか?」


と先ほどより、声のトーンが高い宰相さんがやって来て、俺が、扉を開けると飛び込んできた。


そして、


「明日まで待てぬゆえ、魔王陛下が逢いたいと申しておるので、急で悪いが、皆さんで謁見の間へお越し頂きたいので、よろしくお願いいたします。」


と、言われた…

急でビックリだが、いよいよ魔王陛下のご尊顔を拝し奉る事になったので、くれぐれも粗相が無いようにせねば…と緊張する俺達だが、慌てるルキフグス宰相閣下に急かされて、急ぎ足で謁見の間に案内される事となる。


そこは、既に魔族の貴族と思われる十数名と、様々な種族の騎士達と空の玉座が有る場所だった。


促されるままに進むと、方々から、好意的な視線や、懐疑的な視線に、殺す!と言っている様な敵意の視線に射ぬかれながら、玉座が見える最前列まで通された。


あの、顔色の悪そうな青白いオッサン達は露骨な殺意を向けてきたな…怖いわぁ~、魔族の貴族…と思いつつも左右から痛い様な視線を受けて進み、玉座の側まで到着したのだが、まだ背中に敵意を感じている…


近衛兵士の


「魔王陛下のおなぁ~りぃぃぃ!」


との声が聞こえると、殺意はスッと消えた…


流石に魔王陛下の前で殺意むき出しはマズいと思う程度の分別はあるのだろう…と、少しホッとする俺の前に魔王陛下と護衛の騎士の方々が登場した。


俺は、勝手に黒いマントの真ん中分けの紳士を勝手に想像しながら、玉座の方を眺めていると、美しいブルーのワンピースを着た、アホ毛がチャームポイントの2つお団子ヘアーの少女が現れた。


少女は、チョコチョコ歩き玉座にピョコンと座り、


「みんな、楽にして。

それで、あなたがポルタ殿だね。」


と、聞くので、


俺は、『魔王陛下だよね!?』と、内心驚きながらも…

顔には出さずに、引き締まった顔つきのまま


「はい、ポルタに御座います。」


と答える。


すると、少女は、


「皇帝陛下からの手紙を読んだんだけど、話し合いで、合意が出来たら、魔の森に再び戻るのを協力してくれるって本当?」


とキラキラした期待の眼差しで見てくる。


そして、部屋の魔族達がザワザワしだす。


俺は、


「現在、魔の森の半分程は私の配下の城蟻の女王が管理しており、話し合いで合意が出来れば、魔王国にお返しする事も考えております。

それには、まず、皆様と仲良くなり、解り合うところからだと、皇帝陛下の指示にて、食糧支援物資をお持ちいたしました。」


と、俺が頭を下げると


「おぉ!」と貴族達がざわめく声が聞こえ、2つお団子ヘアーの少女は、


「おぉ、ポルタ殿は既に魔族と手を取り合って居るのだな!素晴らしい!!」


と、言って、魔王陛下は玉座からピョンと飛び降りて、俺に近づき、俺の顔を覗きこみ、


「我々も仲良くいたそう、ポルタ殿!」


と、俺の手をガシッと両手でにぎる。


周囲の魔族達からは、拍手や歓声が上がり、


…そして、

アホ毛の2つお団子ヘアーの少女は、俺を見つめたまま


「して、ぽ、ポルタ殿は年は幾つになるのだ?」


と、急に緊張しながら聞いてくる…

あまりの急角度の質問に戸惑いながらも俺が、


「16に御座います。」


と答えると、魔王陛下はハァハァしながら、


「なんと、同い年ではないか!!これはきっと運命じゃな!!」


と、興奮しながら、握った手をブンブンと振る。


そして、何かを決心した目をし、急に、


「宰相!私、ボルタの嫁になる!」


と、宣言をする魔王陛下…


なんでだ?何がどうなっている?と焦り散らかす俺は、再び背中に感じる殺意を気にしながらも、


「魔王陛下…お戯れは…」


とはぐらかそうと、答えると、

お団子ヘアーの少女はアホ毛を揺らしながら首を横に振り、


「戯れでは無い!ポルタの目を見て確信した。

私はポルタの嫁に成る為に生まれてきたの!私の中の全部が、ポルタに反応してるの!!」


と…


魔王陛下…魔族の皆さんが驚いているし、数名に殺意を向けられております…俺は、戸惑いながらも、


「魔王陛下…!?」


と声をかけると、頬を膨らませた少女が、


「嫌っ!魔王陛下なんて呼ばないで!」


と拗ねる。


いやいや、名前とか知らないから…魔王陛下が、女性と、数分前まで知らなかったのに…

他の呼び方なんて知るわけがないよぉ~…

出会って即、結婚宣言って…企画物のAのVかよ!!と、慌てる俺は、


「陛下のお名前をまだ存じません…私は何と、お呼びすれば?」


と聞くと、アホ毛のお団子頭の少女は、


「シシリー・バアル・ゼブブよ。

シシリーと呼んで下さいまし、私のポルタ様!」


と…言ってニッコリと微笑む。


タリウスさんの言っていたシシリー様は家名では無くて、個人名なのね…

!!あぁ~、俺、解っちゃった。

バアル・ゼブブ…つまり、

昔異世界から呼び出した神様達(魔王)様であるベルゼブブさんの末裔で、先祖の力を濃く引き継いで覚醒したのね…シシリーさんは…

要は、元々どこぞの神様だったけど、なんやかんやで悪魔に成った蝿の王(ベルゼブブ)さんの遺伝子が、騒いで、

俺の虫の王のスキルに反応したのね…多分…でも、どうしよう?

生暖かい視線や、冷ややかな視線は我慢できますが、

殺意の視線が、数名の貴族さんからと、何故か妹からも注がれて居りますので…心が持たない。


俺は、懇願する様に、


「シシリー様、とりあえず、

お手を離してから落ち着いて話しませんか?」


と提案すると、満面の笑顔で、


「このままで!」


と、却下された…

助けてください!視線が痛い!!

あと、整理する時間を頂けませんか…もう、ハートが持ちません…


読んでいただき有り難うございます。

頑張って投稿しますので応援ヨロシクお願いします。


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